磔刑に甘んじて
それらしく展翅され
大陸から
島嶼国家へ

もとめてもいない愛を注がれに
責任は重大だが
昼寝
二度寝
わかっていながら
最終譚にはまだ遠い
修辞も 出てこない
苦しい言い訳のような
もつれ方
手慣れてはいるが
切実さに
欠けている
眠い季節には 煙い詩を
重い施設には 検非違使を
 ....
知っていたさ
それがただ一つの郷愁なのだから
僕は僕 君は君
無言のままで遠くへ行こう
なによりも言葉は青く
虚の果てに月は落ちてく
さあ 透明な心をのせて
有人飛行はどこへ飛ばそう
 ....
カッターナイフの先のうす暗い沼
新聞の活字を吸い込んで
重く帯電する
蓄積されたイメージは?年に二回
野良猫の舌へ落雷するのであります
微笑みが 目を伏せる
レンズを拒むようにして


「もう生きていたくない」
見えないところにも
まだ傷は残っているとのことだ
(春先に
 裂かれた痕はむしろ眼差しに深い)
風が吹くた ....
父の故郷の防砂堤防で見知っていたこと
何度も何度も形にしようとして
歌をしくじり 高速ドライブの連続写真を打ち捨てて
それでも
記憶の外に追いやることができない
フルヴォリュームのヘッドフォ ....
草のよこに
好きな
歌を並べる。

ロロロリル
ラル ──
今度誘われたら
断ろう、と思っていたらしい。
(あんまりじゃないか)
遠く崩れる雲を
見つめているよう ....
「時間が欲しい。」
そこまで言うのなら、試みてやってもいい。
我等がしばらく感じ入ることのなかった領域へと
いざなえ。
一日で仕上げるのだ。 海の暗さをかかえこんだ分厚い風が
ママチャリ乗りの体熱を ふかく
こそげ取ってゆき
ワンシーンを当て込んだ目論見の甘さを
丸ごとワンシーンに収めたら

  見えているはずのないギャラリー
 ....
神話は 連行せず
閲覧室の平らかなテーブルへ と
招致する。

組んだ腕に身を預け 上から
覗き込む。さて ──


「・・・こいつら、馬鹿ばっかりだ。」
薄ぼけた郷里における仰臥にあって
ロックンロールの焦燥を体躯に引き受けていた少年 は
押し花のように

忘れられた、ってわけでもないのだが
ファミレスでの勉励は
もう転がり込む先をなくした ....
風は空気の歪みであり
よく見れば色もついている。

嘘。
濃いウィスキーを一滴たらした夜にひろがる
昼は 望んでも得られない静寂。
買い換えた、二代目の目覚まし時計が
裏蓋をなくしたまま枕頭を守ってくれている。
「日々の営み」以上のことが要求される人 ....
群盲 象をなでる

象がバターになる
切り詰められた言葉しか持たない子供たちは
短い針で生爪をつつき合い
TVで覚えた微笑みをかぶりながら
不信感を募らせている
青空と死を望み
重たい関節をひきずって
ゆがみ合っている
物心 ....
書こうとする試みが
厚い夏の一室に
雷撃のノスタルジアを 低く
響かせる

窓がなくても 開く
ピアノの蓋のように
あるいは熱せられた二枚貝のように
タイムマシンを買いました
十年先が懐かしい

タイムマシンを買いました
最新型を買う為に

タイムマシンを買いました
月賦が死語になる前に

タイムマシンを買いました
CD-Rが読 ....
鏡は知っている、として
おまえはどうなんだ?

生きているのか?
魂を病んでいるのか?
つるりとした風の肌触りに身を震わせているのか?

無闇に齢ばかり食っていないで
答えを 落として ....
ごめんな
ヤスコ タエ ミツオ
ごめんな
ヤスコ 泣くなって
俺は不死身だ
四肢も鱗も眠る
夜 我らは死の裔
耳骨を整え
大絶滅を待っていた
消えたり、
浮かんだり。

突っつかれたり。
ゆっくり速く流れ去っていったり。

生きる苦しみを、すっかり笑い飛ばしたり。

「淋しかぁないさ。
 仲間だって ほら、こんなにいっぱい ....
なにか重大なことが起こっているという感じを
常に持ち続けていることはできない。
ひとたび心の向きを表へと変えてしまえば
あり得た過失
深く刺さった数々の思い出に
身を
さらす危険もそれだけ ....
大きくなりませんでした。 令徳の窓は 細く開かれて
虫の音を汲んでは
濡れた体表に 熱を奪いながら打ち掛ける

滴りが独居を証す秋の夜
言い替えを試しては 白く拡がる画面に
やっと馴染んだ目を時折 走らせる
「走 ....
おーい
そっち行っちゃだめだー
ふいに明るくなった?
街角で空を見上げると
ぼくの姿は小さい。
二酸化炭素のなかに 夕立は 末期の水
炎暑の臨終を見届け
遺された雲はようやくめいめいの空へと
散ってゆく

蒼ざめた弔問客に
もらわれてゆく
吉岡孝次(259)
タイトル カテゴリ Point 日付
船旅のアゲハ自由詩109/6/29 20:32
世界の果てとしての私自由詩209/6/20 20:37
もう、おやすみ自由詩109/6/9 21:20
髪をかきあげて未来へ自由詩109/6/5 20:10
食物連鎖自由詩109/6/3 20:28
広場自由詩109/5/31 18:37
月は自由詩009/5/26 23:34
ピクニック自由詩309/5/17 21:02
使徒βへ自由詩009/5/16 21:01
画曜日自由詩209/5/14 22:57
釣り師ともども自由詩009/4/5 20:33
だってよく似ている自由詩209/4/4 20:32
ポアレは腕で振れ自由詩109/4/1 20:51
豆知識自由詩109/3/30 20:49
#37自由詩108/11/29 21:16
落度自由詩108/11/22 6:35
幼虫自由詩108/7/28 22:23
トラックボールは使えない自由詩108/7/27 17:02
タイムマシンを買いました自由詩408/4/6 19:49
ワンマン・シンジケート自由詩208/3/23 19:11
ウチにサンタが来ない訳自由詩307/12/22 19:13
逆算自由詩007/12/11 20:37
洪水の後で自由詩207/12/9 21:32
半生記拾遺自由詩107/11/15 21:55
「大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!」自由詩207/10/20 19:49
主語と述語自由詩007/9/30 9:51
詩人たちへ自由詩307/9/14 20:25
クローズ・アップ自由詩107/9/1 21:10
業火自由詩107/8/19 22:16
灰より蒼く自由詩507/8/4 11:16

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