一時間が五十分だったり

雲の翳りを見上げるきみとの数瞬が永遠だったり
冬になるまで待とうと思う
ひとに頼るのは恥ずかしいことだから
未必の故意を事務局は騙り
少し冷たい手を僕は今日初めて握る
野鳥を屠ったにしては
摘み食いに飽いた息子たちの指先にも軽く
徴たる銃声は林へと 轟くことなく

赤い殻の尻に
つややかな萼を被せて
女工を娶り同僚とはレートを調整して賭に臨むバイク乗り、 ....
余計な毒が流れて
そんな上を空がひろがる

からだを起こせば
眼下には枯れかけた草に覆われた河川敷が
こう
何て言うか
紅葉狩りなんて別にいいよな、
てな具合に
自生していて

 ....
背の高い女の子がむこうから歩いてきて
あ あぶないなと思ったことがあります


坂の上ですれ違いました
いいえ
距離はたっぷりおいて です


あなたなら
振り返ったでしょうか
 ....
空が大地の蔭に入るゴールデンアワーに
むやみと明るい部屋で本を読む小心を
切り換えてみた。
新しい生き方はドアの前で踵を返したらしく
ディスプレイが
人目に触れることのないスクリプトをのうの ....
エリンギの味知らぬ亡父(ちち)秋彼岸

享年へ一桁を切る秋彼岸

秋彼岸帰りの車窓は暗きもの

眉上げて「秋彼岸」なる私語を捨つ
たいして得難いわけでもない物資を
家ではフライパンを振ることも
包丁で指を切ったこともない室長が

(そうでもないさ)

笹の葉で
A4の企画書で

そういう
物語を レジにて
「何といっても詩は青春の文学だからなあ」


旬を逸して
まだ辞世にも遠く
── 誰にも満足せず
来た道をそのまま
宣すべき決意よりも旨い着想を好むとは
ますますもって僕は僕らしくなっ ....
手袋越しにも 血は
いつも彼女たちの冷笑よりかは熱い

車は好きじゃないけど
便利だから
なるべく目立たないのを買い換えている

安息日に旅立てる魂はしあわせだろうか?
でも僕はそこか ....
1.
日輪を遮らず 烏は
二本の足を地につける
羽根は
格納音もなく 胴に
寄り添う甲殻

2.
「暑い」かどうかは
鳩にでも訊いてくれ
黙秘を決め込んだら
おおよそ クロ

 ....
「魂には、鬼が棲むのよ。」

あんた イギリス人でしょうが。
くるくる変わるきみの表情
「表情」っていうのは言いにくいんだから
笑ってないで僕にキスして
あゝ 一日の終りには
きれいに話す女の声を浴びるように聞きたい
昔のように
夢中になって刻み込んだ言葉に自分を教えてもらいたい
ただ阻むだけで癒すことをしない睡魔に
けじめと没頭をもたらす私 ....
商工会議所の前、電灯に
掻き集められた雲霞の群れを
顔を覆って突破する遊びにつきあわされていた母。

あの密なる若さを
涙では薄めず
あの密なる五人での数年間を

娘二人への埋もれた泉 ....
時間が余ったら
室温を派手に下げて
床の高さに身を横たえて
これからの
路は 広くなる一方だと楽観してみよう

「風邪だったらもう治ってるって!」
外堀埋めて 夏の陣 楽器を
カーペットの上に

下ろす音を聞いちゃいけないかい?


行きつけのサイトの
あなたらしく
打ち解けた、近影に。
教師という生き方があまり好きではなかった
ドラマの続きにばかり気を取られていた
頭痛がいつもひどかった
回顧録には間に合いそうになかった
今度こそはうまくやろうと心に誓った
新しいバラードを ....
夏だ
充分に言葉を選べ
テストでは「モラトリアム」と判定されても
その紛れもない中途半端さこそが
僕 なのだ
全き陽光からも水からも逃れて
冷房の効いた古臭い喫茶店を
渡り歩こう

 ....
水汲みや
弟たちの世話がある
学校だって遠い

夜 目を覚ます
星が道しるべ
洞窟まで
一人で

煤を立ちのぼらせ
教科書を開く
栞のあったところを指差すと

髑髏は

 ....
白く沸き上がる夏の
密度
シャツをふるわす暴風のごとき若さよ
つややかな広葉樹を巻き込んで
青空はぐいぐいと強くなっていった
むなしく湿り気を含んだ黒土の畝に
投げ込まれた埃まみれの石の側 ....
都会にしては日系ばかりだ
スタジオ・ワークにしかないのか
一つには偏光する楽色
世紀末にだってまだ時間はあるし


  ベテラン、にも季語
  「八月」
  あるいは
  「宿命」
 ....
帰る頃に雨が降るだろうことは
知っていた
これらの町にも美女は住む
スカートの前をつかみ
 脚に絡まぬようにして
等高線のように海藻の打ち上げられた砂浜を
泳げるだけの美しさを持ち堪えた細波へと
肋骨を運んで

母が防空壕で泣いた町 四倉(よつくら)でも
父が敵機から身を伏せた郷 千々石(ちぢわ)でも
 ....
潮風に混じる、うっすらとした腐肉の臭いが
たなびいて
夏休みは 濃く淡く、

かがやいてゆく。
宿泊客を
一つの虚構として捉えてみた場合

ホテルは有料の空き部屋で


人々を
無限小の潮騒として受けいれるなら

わが罪も この星の思い出
囁いて 灰にして
探索機って ネガティブか聴き込んで
水着の上から流行るトリックで 七夕
罰せられた二人を潮風に裁かせて
いろいろなことがあった
いや なさすぎた
為すべきことを為し
為すべからざることをも為し
僕の一生は
いよいよ終わりに近づく

考えてみよう
僕が為したことどもを
恥じることはないか ....
自分で考えればいい
気分で老いて
夜分に孝養を尽くす立場にも身はない

日は真昼に本当は真上から差さない
だから明るく
色を抜くことで「時」に焦げ目をつけたりする

この部屋に埃を落す ....
吉岡孝次(259)
タイトル カテゴリ Point 日付
不規則な生活自由詩505/10/14 21:59
フォークダンス自由詩105/10/4 21:42
散弾自由詩005/10/1 18:20
二足の秋自由詩1*05/9/27 21:52
夕に自由詩005/9/22 22:43
初期の警告自由詩005/9/17 21:24
秋彼岸俳句005/9/14 20:51
8h/24h自由詩205/9/11 21:29
詩的生活[group]自由詩205/9/9 21:08
37.5℃自由詩005/9/7 21:22
鳥媒禍自由詩3*05/9/3 21:41
課外授業[group]自由詩005/8/29 22:39
きみって人は自由詩205/8/23 22:01
短い針の喜望峰未詩・独白105/8/19 21:35
俺の親、密な自由詩105/8/16 7:54
洗濯日和[group]自由詩105/8/14 23:41
ホテイアオイ自由詩005/8/13 7:41
会うときはいつも厄年自由詩105/8/8 20:51
県立高校[group]自由詩205/7/30 23:26
僕の初期設定自由詩305/7/28 19:53
朗読髑髏[group]自由詩305/7/26 20:12
曲がって路地自由詩005/7/22 21:17
工房通い自由詩105/7/20 21:23
地下鉄の階段を自由詩105/7/15 21:56
振り返って浸ってみる自由詩005/7/14 21:01
いつかは貝塚自由詩105/7/11 20:28
リゾート自由詩105/7/9 23:40
After June自由詩0*05/7/7 19:41
南風自由詩105/7/5 22:57
おそろしく眺めの悪い部屋自由詩105/6/27 21:52

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