もうすぐ春 だけど
コートの内に閉ざされていて
希少種の純血の
黒々とした望郷は
遠く
空の一点で氷結した。
何よりも広い夜
一心に消え去る水鳥を
無感覚の透明さで 愛した。
今日もまた夜は長いだろう。
僕は狙撃されるだろう。
....
I
切り抜けられるかNOBUKOさん
結論の下った炭鉱の島から
あなたは僕の行方を指し示さなければならないのです
II
21の夏
生まれたばかりのNOBUKOさん
雲が多い、ねず ....
今度台風が来たら女の子をやめようと思う
嵐になるんだ
「青が好きだということにしよう」
そう決めて 僕はこの世に生まれた。
ドイツ語の単語集には
使えそうな例文が溢れていて
これも その一つ
父娘の会話に当てはめ
楽しむことも可能だ
「道は再び乾いた」とか
何とか
彼女はいつ父を許すの ....
かげ と綴る処遇の
握るペンのグリップがまた落とす影。
長官は自著を開くことがあるのだろうか、
例にさえひらめく才知に引きつけられるかのように。
俊英の在りようは一通りではないが
「わが解体 ....
1.
湿った韻律へ。
肋を晒す木々の懐を遡行し、
喪失のしぶきを散らす探索の漕ぎ手に
なり果てたね、影は。
(見立てられた「白紙」も
やがては人身を嘯き・・・)
鼻先をつまむ苦笑いの、 ....
「ごめんね」と去る微笑みの明るさに差し込む翳は「何でもないの」
血の故に告げやりがたき想ひあり 都鳥をばともに見上げて
蕾とは最も若き花なれば 散る痛ましさもて在れるものなり
どっちなんだろうか
んー
天地を持ち歩く
「これが私。そしてこれが染井吉野。」
星をむすび
いのちを芽吹かせ給う引力(ちから)が
見よう見真似、受精を試みただけさ。
きみに
僕の、人生で最後の遅刻をプレゼントしたかったんだ。
いつも最前列で受講していた、その
小さなレンズ越しにきらめく冴えきった野心に。
その、危うい透度に。
このまま
雨が降りだす地点まで視線を走らせてみようか
いつも
この広さを見ている
一心不乱の息づかいが
助詞をくるわせ
やつらのアイドルの地位を与えるのだ
何だ 君は
ただの委員長じゃないか
少しばかり髪が綺麗なだけじゃないか
笑ったりするな
みんな
風
つまり
空気ではなく
激しいやりとりなのだ
参ったか
参ったぞ
1.
ほんとうは傷めていない膝をもてあましながら
ジーンズだけは新しく履きかえたクリスマス
この街の密度を写した覇気のない家電量販店で
僕は一人の少女を盗み見てしまう
***
....
詩の何たるかを
読んではじめて知る。
しがらみを外れた所で
軽く、愉しんでいる。
軽く。
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