髪をかきあげて未来へ
吉岡孝次

知っていたさ
それがただ一つの郷愁なのだから
僕は僕 君は君
無言のままで遠くへ行こう
なによりも言葉は青く
虚の果てに月は落ちてく
さあ 透明な心をのせて
有人飛行はどこへ飛ばそう
甘い匂いのしない清潔な耕地へと伸びる
白刃の電化路線には僕が手をあて
伸びてゆく 伸びてゆく
山を二つに割って希望を町へ
笑いながらふりむくきみの足どりは
音のない風を覚ましたよ
なめらかに
景色を抱きあげ道をひらくと
声は花束
靴を鳴らすことだってできる


再会は夏
新種のヒマワリ
たくしあげた左腕で
改札を越える日まで



自由詩 髪をかきあげて未来へ Copyright 吉岡孝次 2009-06-05 20:10:55
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