1.
あのまま薬をもらわなかったとすれば
病に向き合うこともなく
ときどき不調、で括りあげてきたのかもしれない。日没と
払暁でめくる暦のスピードで
2.
父も、だと
母にとっての閨房 ....
心の少年兵よ
きみは今も
新興住宅地の上を翔(かけ)ているのだろうか
月光を浴びながら
忘却に立ち向かっているのだろうか
確かめたくて窓から首を出せば
電柱で立て膝 笑っているはずだ
( ....
http://www5.ocn.ne.jp/~kzt/toudai/sekiguchi-ouhuku.htm
フランス在住の関口涼子さん(昭和63年度現代詩手帖賞受賞)によるフランス現代詩事情の ....
仮令 核心に迫ることが難しくても
危ぶむことはない
只 一生が無駄に終わるだけだ
あの夕日が落ち切ってしまった後に
歌声っていいよね
ときにからだを風が吹き抜けるように
重い比喩から僕らを自由にしてくれる
面白い話は ないけど
そういうたわいのなさが
回線を伝わって
耳に降るシャワーになる
もう一 ....
俺には誰もが秘密を打ち明けたがる
朝食はサンドイッチ
耳はついてない
幾何の精神、と打鍵する。
これも最終解ではないような気もするが、
ピンと来るものがあったので、書いた。
僕にとっては、
極北。
針は否応もなく振り向く。
守るべき君主はいない 少年の夏を照らした城下町にも
高い波蹴飛ばし歩く夕暮れにあによめとなるひとは手を振る
好きな娘の前では翼を折り畳む 仲間が傍を通り過ぎてく
受賞式当日なにもない ....
きみはそれでも命を投げ出したかい?
「農園のイヴ」が彼女でなかったとしても
コーヒーを煎れる。
年賀状を打ち出す。
レイアウトを直す。
素晴しき年末年始。
星占いも好意的で。
何が大事といって
クリスマスの燭光ほど大事なものがあろうか
雪の降る朝
ああ 今日は早く帰らなければ と
背広の襟をピシッと揃える家長の意気込みほどの純情が他にあるだろうか
スリップを覚悟で ....
何も聞こえない
ここは夜明け前の
センターラインの上を歩いて
街路樹は灯りを浴びて
少しのあいだ希望を抱くと この胸は
「船」は南から来る
思い切って踏み出してごらん、
白線のむこうへ。
ただし降りるひとが先です。
きみが
目を細めて女性の下着を見るとき
針のような災いが
膨らんだ胸中を狙っている
あなたには帰るところがありますが
この世界には帰るところがありません
この世界は ひとりぼっちです
空腹に堪えかねて
絵葉書を呑み込んだ。
青く浮き出た静脈の中を
函館の夜景が漂っている。
追いついてこれないから
僕は立ち止まり 振り返る
時間という無のなかで
息を切らし 駆け寄ってくる
たった一人しかいない、僕だけの「死」を。
そっくりそのまま書くことを覚えれば
きっと
今の境遇を甘ったるく 写せるだろう
一枚のレコードが教えてくれる新しい名前
短い髪の女の子を好きだったこと
はるか彼方に望んでいたはずの人生を振り ....
なにか大胆なことをしようじゃないか
ひとから蔑まれるようなことでもいい
きみにだってきっと誰かから
羨ましがられてい ることが一つ位は必ずあるぞ
ひとまず
我と我が身を見つめ直そうじゃないか ....
一度話してみるよ
僕にとっても
大事なことだし
彼にとっても
きっとそうだから
みんな
一人に戻ってしまうんだね
法の不備
「どこよりも安く」
コロッケバーガーにポテト
七福神の女
エスカレーターなのに途中で歩かされる
イバラギじゃなくてイバラキ
円の動きだと回転軸は止まっている
下馬評通りの「サプ ....
木の葉の太陽は
林檎の実
狐の友は
冬毛の箒
いくつになっても
昔は昔
心ない人々の心ない祈り
とてもせつなくて
頭はぼーっと痛んでくるし
しばらく世界が止まってしまう
いつものようにベンチに腰掛け
左手で
目の前の虻を追い・・・
すると子供の声
「ほら、 ....
雪に閉ざされて一人
燃える暖炉の前で
お人形を作るの
一つ
二つ
作り過ぎたら暖炉にくべて燃やすわ
ねっ いいでしょ
神様
たとえば甘酸っぱく、人生を感じ取ること。
真夜中にコーラを飲んだり
誰かの訃報を期待したりしながら
シャープペンシルの新しいデザインを
考案するある種の好事家であること。
肝心な時に限って
....
僕はきみといると楽しいし
きみも僕といると楽しそうだけど
わかるかい
そんなのは全部嘘っぱちなんだ
真実として二人を貫くのは
僕等がまだ完全じゃないってこと
掲示板に貼られたポスターみたい ....
あの日
僕はいくつかの過ちをおかした
あの日
僕は過ちをおかしたのだ
秋風が吹く枯れすすきの原で
膝をつき泣いていた
誰が僕を許してくれるというのだ
空には縹渺と雲が流れ
手の ....
必然的に 君の名前を筆画まで刻み込み
それから
誰も辿り着くことのない君だけのアウトラインを見つめ
僕の冷たい遺伝子は
悲しく 鳴きあげる。
「きみが好きだよ」
柿の実よ
柿の実
とても渋そうね
空にも嫌われて
青く拡がる海を目の前にして
僕は姿を消そうとしている
海月の様に透けていく指に
橙色の血管がゆるく輝いている
午前の空を流れる雲 は
のどかないのちを描いてみせた
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