砂浜になぜか
まるのまま打ち上げられたりんご
いつからあるのか
りんごはなかば透き通っている
食べたらひどくだめそうなのに
僕はそれを舌にのせる
のを逐一 想像する
おいしい ....
冬からようやく春になります
夜空がもう春になりました たぶん
桜がもう芽吹いています
知っていますか
東京、よりも半月も遅い
川の流れは順調です
これ以上ないほど順調です
その先 ....
あなたの自転車の
前輪ホイールの中に
くたばったハムスターみたいな
雪
鍵をかける
指のやわらかさ
にすら蓋をする
ないことになっている
あたしのこのこい
....
昔の紙飛行機を見つけたよ
不思議な文字が書いてあった
それはそれはびっしりだった
ここの野原のようだった
黒い服を好いてたひとが
白くて不安なちいさなこ
すべてがあふれ ....
ようようくりかえすことばを
きみにいえるわけがなく
しらぬまにきれたひふが
ゆっくりとすなにしずんでゆくので
「ゆーとぴあ」とぼくがいったが
きみにいえるわけがなく
た ....
そんなにも
さよならをいいたいのなら
だれかほかのひとに
いってもらったらいかがですか
くずそうと
しながらも
すがっている
スプーン
ここ ....
という先にない、
に君が口付けしている
明日ばかりをぼくはいらない
落ちてくれたら考える、
よ
花はよく咲いたが
実をなさなかった
わたしの部屋には
白磁があるが
それには違う
実を山としよう
....
砂丘であなたに会いたかった
あなたの足をつかみたかった
行き倒れる寸前の
砂に埋もれたあなたの足を
谷であなたに会いたかった
あなたの骨を接ぎたかった
花をとろ ....
わたしの靴を捨てないでください
底が削れて ヒールが丸くなっても
それはわたしの足
わたしの毛布を捨てないでください
綿がはみ出していても
それはわたしの ....
ひとつだけ
たくさん
あげるから
ひとつだけ
たくさん
たべてね
おねがいね。
性交の時のあえぎは
どこまで聞こえるのでしょうね。
かなしみや
よろこびや
いとしさは
どこまで響くでしょうね
知って伝わって
心っていわれてるものの中で
精錬 ....
うっかり秋口に
スリップ姿で煙草を吸いに出た少女は
うっかり14歳のおとこのこに
エッチされてしまった
灰皿代わりのペットボトルを
少女は死んでも手放すまいと思った
....
ここは人の家なのだ
息の音がするのは当たり前だ
二階の影は濃い
下にはあたしと
8歳のころ掬った
金魚のなれのはてだけ
(彼はどうしてこう長生きなのか)
(そろそろ死 ....
a
せかいは、ぼくはここにいるの
だいがっしょうでまるでしんでいるようです
あまりにこえがおおすぎて、
もうききわけのつかないのです。
あれはだいすき ....
すずなりだすずなりだ
耳の実、枝にすずなりだ
煮てさ焼いてさ
食いましょか
木の葉で隠してあげましょか
すずなりだすずなりだ
耳の実、枝にすずなりだ ....
蜘蛛みでだべ、
あたしの白ぇむなもと、に、
まだ恋してらった。
蝶みでによ、
からまってらった。
もういねえのによ
そこに蜘蛛だば、
んだはんて、
こうやって
ひとりでねらんだ。
ミルクと砂糖がないと駄目なんだって
そこそこに君が吹いた嘘と虚勢に
僕は今もつまずきながらです
そのノドボトケに白百合の花
ただ愛しい愛しい ....
罪をあがなおうとは言わない
空は青い。
青くなくてもいい。
来る途中に蟻を踏みつぶした朝だ
兄は云う
この井戸を掘り返してなるものか、
と。
野井戸はけして深くなく、
雨水が満ちているのだが。
野井戸はすでに開かれて、
....
逆さ花 茎をあたしにどうしろというの
願ってもない 連れ込み宿の壁れんれん
アスファルト届き届かず朱い爪
(ペンギンの声引きつる ....
ひだはそれを吸い込んで
ぼくはたとえば茫然とし
まるで関係のなさそうななにかに
縋ろう縋ろうとするさまはこっけいなんだろうと思う。
風鈴がな ....
どうしようもなさも手伝って
今日の夜は37度
人に縋るのも止したいような暑さです
あなたは決まって三歩先
速度を緩める優しさです
月だけ大きく真黄色で
止ま ....
ぼくはかみなりを聞いてゐる
かみなりは遠くなつたり近くなつたりしてゐる
外は雨のやうではないのだが
ぼくはかみなりを聞いてゐるのだ
いつも
....
ひるがえる灰色のシャツ
がそっぽを向く夕暮れ
の片隅に咲いている花
とそれをなじるあなた
本当は愛してたいのに
を口にしないひと
そして思ってもいないのかも
と勝手に悲し ....
冷蔵庫には蟹がある
九本足の蟹がある
あたしは今夜見ないふり
首の赤味を押さえます
もしか
あなたが欲しいのが
甲羅の色のランプなら
あたしは ....
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