かみなりと水玉
フユナ
ぼくはかみなりを聞いてゐる
かみなりは遠くなつたり近くなつたりしてゐる
外は雨のやうではないのだが
ぼくはかみなりを聞いてゐるのだ
いつも
かみなりはよく落ちてゐる
よく真ン中へ落ちてゐる
戸惑ふほどに落ちてゐる
戸惑ふほどに落ちるたび
ぼくはただ、ただ
ああ、と思ふ
ぼくはかみなりを聞いてゐる
かみなりは水玉である
白濁の飲み物の
殻のやうな水玉である
かみなりは胸元にゐる
かみなりの膝には
荒い畳目の跡が濃くある
ぼくはかみなりを聞いてゐる
かみなりは遠くなつたり近くなつたりしてゐる
外は雨のやうではないのだが
ぼくはかみなりを聞いてゐるのだ
自由詩
かみなりと水玉
Copyright
フユナ
2004-06-25 03:25:02