贈呈
フユナ

性交の時のあえぎは
どこまで聞こえるのでしょうね。



かなしみや
よろこびや
いとしさは
どこまで響くでしょうね



知って伝わって
心っていわれてるものの中で
精錬されたり
昇華されたり
クズのように捨てられたり
あるいはピカソのように色とりどりに
秘められたり
等々されたりするでしょうかね。




抱いているあなたに
あるいはこの部屋を出て一階にいる弟に
外でダックスフンドを散歩させるおばさんに
そのおばさんを見ているおじいさんに
それとも遠い川向こうの男のひとに









性交の時のあえぎは
どこまで聞こえているのでしょうね。




海を渡って聞こえるといいですよね
土の中まで響きますかね
空気にも溶けるでしょうね
言葉も字も超えますね
そりゃそうですね
あえぎですからね




(でも恥ずかしいですね
 少し、恥ずかしいですね
 あえぐのは
 少し、恥ずかしいですね)




ちからに満ちるといいですね
性欲に目覚めるといいですね
愛されてると自惚れるといいですね
どこかにいけるといいですね
あなた。





ああ、そう
いい
ああ、
ああ、
ああ、
を花束なんかにして、
贈呈。






未詩・独白 贈呈 Copyright フユナ 2004-09-27 00:08:34
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