人という字は支え合っている
同時に
人という字は依存しあっている
人ゆえに

どちらが
依存する度合いが多いのだろう
右側? 左側?
一見すると だんぜん左側のようであるが
実は
 ....
Fの
セーターの裾から
一本の毛糸が出ていたので
引っ張ってみた

スルスルと
それは
面白いように引き出せる
どんどん出てくる
止まらない

糸の編み目が崩壊する時の
微かな ....
三角くじを引いた
三角形の赤い紙が
二枚合せに貼ってあり
それをはがすと
一等
二等
三等とか
なにがしかが書いてあるようだ

スピードくじとも
いうそうな

アナログなスピー ....
「柿の実を全部採ったら だめなんよ」
そう言って
祖母は
せっかく実った柿の実を
いくつか
まばらに残しておくのが常でした

ひとつは
お腹をすかせた小鳥のために
ひとつは
木登り ....
線路の上を
ただひたすらに走る毎日は
それが
仕事とはいえ
時につまらないものに
見えてきます

そんな時でした
あなたに出会ったのは

午前八時三十五分
あなたは向こうから
 ....
前世はおむつでした
その前は
朝顔を咲かせた藍染の浴衣でした

かすかに覚えているのです
あなたと
一緒に
縁側で線香花火をしましたね
華々しく燃えたあと
ぽたりと火種は落ちて
こ ....
{画像=120115084740.jpg}
なにかを磨こうとして
氷柱になった

なにかを磨こうとして
尖った剣になった

強く生きていくには
どれだけ磨けばいいのだろう

強く ....
  古骨をそっとかしげる わっちの手
  包むは惚れたお方の手
  初雪でありんす、あたたかい

  北風を待つ渡り鳥
  いつか別れの袖ふるを知り
  もちぃっと一緒にいておくんなまし
 ....
今日の昼ごはんに
ピザを焼いた

冷蔵庫の片隅で
あやうく忘れられそうになっていた
正月から持ち越しのハムを
細かく切って載せてみる

魚焼きグリルを予熱する
五分ののちに
三日前 ....
「行ってきます」と 
「さようなら」は
同義語

「さようなら」と 
「行ってきます」は
同義語

はて
どちらを言うべきか
最期の時に

選べないのなら
いっそ ばかばかし ....
むやみやたらに
不安になった

刑務所から脱走した
殺人未遂の犯罪者
まだ捕まっていないらしい

今にも そいつが
玄関のチャイムを鳴らしそうで

いやいや
災厄はチャイムなんか ....
あなたを知りたいと思って
見つめ合うことを覚えた
わたしを伝えたいと思って
言葉が生まれた

アフリカの大地で
二本足で立つことを選んだ{ルビ人間=ヒト}は
動物の中で一番弱い動物になっ ....
朝になる昼が訪れ夜になる
       できれば朝日の刻に逝きたい

目をつぶり羊を数えながら死ぬ
       安らかであれその瞬間よ

思い出し笑いしている冬の午後
       や ....
砂浜に埋めてきたものは
なんでしょう

恋を謳った 小さな貝殻
光なくして落ちた 星の骸
流れ着いた 白い骨
異国の文字が書かれた さびぬれた空き缶

最後に埋められるものは
なんで ....
凍えた掌あたためる
あなたのてぶくろに
なりたいのです

ミトンもよいけど五本指
指先ひとつひとつを
包むよう

ほどけた心を毛糸にし
もいちど編めば
よみがえる

凍えた掌あ ....
流れ着いた言葉たちは
ただ静かに 集う

そこは
言葉の渚
私はじっと佇んでいた

寄る辺ない 潮騒
波打ち際の 白い泡
心を探しにやってきました

吹き叫ぶ雪の心はどこにありますか
愛なんか信じた
己のしくじりを
怒っているのかもしれません

うつむいた水仙の心はどこにありますか
抑えても抑えても匂って ....
かがり火が灯る冬の夜
どこかで
誰かが泣いています

寒々とした出窓に置かれた
ピエロのオルゲエル人形
1ミリたりとも動くことはありません
ネジを巻かれたのは
いつだったか
もう思い ....
寒くなれ
痛いほど寒くなれ
凍れば凍るほど
僕は強くなる
霜柱

一晩かかって
地面を持ち上げる
どうしてそんなことを
するのかって
そんなこと聞かれても
実際のところ
わから ....
深呼吸したら
小さな虫まで
吸い込んで思わずむせた
むせて吐いた
吐いて笑った
笑い続けたら
可笑しくて
ついに涙が出てきた

ついさっきまで
悲しかったはずなのに

ほんとに ....
{画像=120107114152.jpg}

春になっても
その球根は芽が出なかった
「おばあちゃん、これ、フリョーヒンだね」

知ってるよ
フリョーヒンは時々現れるんだ
僕が働い ....
あいつは
今頃どこで何をしているのか

街角のどこかに捨てられて
涙も出さずに
冷たくなっているのか

夜のうちに降り積もった雪に
もしかして
埋もれているかもしれない

鍵をか ....
溺れる人が
泳げないとは限りません
泳げるはずなのに
溺れてしまうことは
よくあることのようです
また
溺れた人を助けようとして
しがみつかれて
共に
溺れてしまうと
いうことも多 ....
一年の最後に
日めくりカレンダーは
ちょっとさみしげに
でも満足げに
最後の仕事を終えた

一日は
吹けばとぶような
薄っぺらい紙だったのに
過ぎ去ってみれば
こんなに厚い
めく ....
私は冷たい蝋燭です
暗い足元を
照らしてあげるふりして
本当はあなたの狂気を照らしているのです

私は冷たい蝋燭です
嘘だと
思うなら
私の灯に
触れてみて
とてもとても
冷たい ....
去年
義母が急逝した

晩年
持病で苦しんでいて
会えば
病気の苦しさばかりで
死にたいけど死ねないのよね、と言われると
そんなこと言わないでと
答えながら
鬱屈した気持ちになった ....
おはじきは
簡単なゲームだ

まず大切なのは
その形である
はじいても
相手を傷つけない
丸い形が望ましい
それは
自らを傷つけないためでもある

次に大切なのは
はじきたい相 ....
蟹鍋の
シメは雑炊に限ります
独断ですが
鍋を預かる私の特権なので
異議は認められません

鍋の湯に
眼に見えないほどの
小さな粒子になって
溶け出した
蟹の
本当の味がします
 ....
もしも今夜世界が終わるなら、参鶏湯を食べる

無人島に何を持っていくか、迷い続けてる

ああ、そうだ、小さいころ綿菓子屋さんになりたかった

どこかにきっとあると時々さがしてみるうちは、た ....
「ダリの絵も悪くないね」と狂気ある 

             君の笑顔も ぐにゃり歪みて


Sadeを聴きながら灰汁すくい取り日曜の午後ゆるりたゆたう

うつされた微熱で溶けるキャ ....
そらの珊瑚(985)
タイトル カテゴリ Point 日付
共依存自由詩6*12/1/18 8:53
いたづら自由詩5*12/1/17 11:06
謎くじ自由詩13*12/1/17 8:58
命のための命自由詩4*12/1/16 11:54
午前八時三十五分恋に落ちて自由詩7*12/1/16 11:05
布讃歌自由詩14+*12/1/15 14:13
round shape自由詩5*12/1/15 8:46
古骨情歌自由詩7*12/1/14 14:39
秋刀魚の魂自由詩8*12/1/14 13:42
黄昏が満ちてくる自由詩4*12/1/14 8:13
災厄はチャイムなんか鳴らしはしない自由詩7*12/1/13 11:11
The weak自由詩3*12/1/13 9:06
アネモネを抱く[group]短歌4*12/1/12 15:11
埋葬自由詩10*12/1/12 10:54
てぶくろ自由詩7*12/1/12 8:53
渚にて自由詩8*12/1/11 10:42
自由詩8*12/1/11 10:20
かがり火が灯る冬の夜に自由詩16+*12/1/10 10:55
冬の道自由詩10*12/1/10 9:33
不幸気取り自由詩11*12/1/7 23:06
百年球根自由詩11*12/1/7 10:23
ごめんよ自由詩6*12/1/6 10:28
溺れる人自由詩13*12/1/6 10:05
日めくりカレンダー自由詩7*12/1/5 19:48
冷たい蝋燭自由詩9*12/1/3 15:41
薄墨の絆自由詩24*12/1/1 21:39
おはじき自由詩10*11/12/31 9:20
ありがとう自由詩7*11/12/30 14:11
もしも今夜世界が終わるなら(自由律俳句)俳句5*11/12/30 13:36
一葉の旅短歌2+*11/12/29 15:31

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