雲よ 雲はゆく
波よ 波はゆく
鳥よ 鳥はゆく
風よ 風はゆく

さすらいのはて
ふりだしに
戻ってゆく
石を高温で焼き
それを鍋に放り込み
作る料理があると聞いて
心が痛む

そんなに
熱したら
石に住む
この子たちは
どうなるのだろう
かあさん、熱いよう、と
泣くんじゃないか
 ....
壊れてしまったレコード
もしくは
石のように固いバームクーヘン化した父
その口からは
絶えず呪詛がこぼれる
隣に住まう
父の兄上との確執が
幼い頃から
絵巻物のようにまた綴られる
も ....
死にたての顔は
愛する人にだけ
見せたいと思う
それは最後の贈り物

だから
病院ではなく
家がいい

生まれたての顔だって
昔は
家で見られたのに

ほかほかの湯気をたてた ....
長いこと
なにかを探しながら
生きてきたけれど
とりたてて
見つけたものは
何もないような
気がする

わたしは
よくばりだったのだろう

長かった夜が明ける
昏い空に
ひと ....
私たちが
毎日利用していたO駅は
すっかり様変わりし
駅ビルが隣接
広々と立派になっていた
女子高時代の友らと
改札口で待ち合わせる

あの頃
ここには
伝言板があって
「00ち ....
桜が降ってくる
雪が降ってくるように

その時
人は
空を見上げずには
いられない
人は
命の終わりに
気づかないふりなど
出来はしないから

空から降ってくる
ひらひらと
 ....
    摘まれるのならあなたの指先で摘まれたいとささやく、
    生まれたばかりの黄緑色の新芽は、ニンフの羽のよう
    にやわらかいけれど、たちまち老化する残酷な御伽話
    を内包して ....
{画像=120404231231.jpg }
やっとこ咲いた
桜の前で
人々は
デジカメやケータイの
シャッターを切るのに忙しい
かくして
ひとひらに宿る
いのちの姿は
小さなSDカ ....
窓辺にやってきた
小鳥が泣く
さも かなしそうに
おまえもひとりなのかい
世界はこんなにも
広いというのに

庭のとまり木で
小鳥が啼く
さも たのしそうに
うたをおぼえたんだね
 ....
入れ子だよ君は僕のマトリョーシカ
    金環蝕キーンカーンキーン

みかづきがぼんやりうすい場所がある
        爪工場で働くこびと
ささくれだった
心は
ささくれごと
捨てるべし

さもなくば
ささくれは
夜毎の宴で
成長つづけ
わたくしは
ささくれの
奴隷に成り果ててしまうだろう

闇に伸びる金鎖

 ....
とうきびをかじる
ささやかな甘さが
舌をとらえて
愛撫する
脳神経へと伝わって
それは幸せな記憶になり
藍のリボンがかけられる
目印、として

シナプスは電気信号をおくる
わたしは ....
消毒薬で洗った
白い部屋は
どこまでも
清潔で よそよそしい

菌という菌は
すべて
死滅し
有機体は私ひとり
お見舞いにもらった
ガーベラが
いつのまにか
造花に変わる
( ....
入ってくるものが
多すぎる
出ていくものは
少なすぎる
残ったものは
結晶化し
塩辛い粒となる

時々こうして
泣いてみるのは
心の塩を
涙にまぜて
捨てているからなんだ

 ....
海の底の
とある場所に
海亀の墓場があるという

大海原を
潮流にのって
悠々と回遊していく
海亀は
死期を悟ると
特別な流れをつかまえる

それに乗り
終焉を迎えるために
 ....
薄いセロファンに
優しく包まれている
そのなかに
甘いものが
入っていることを
私は知っている

子供のころ
歯医者が大嫌いだった
何より
歯医者のおじさんが嫌いだった
というか ....
別れの時は
いつか来る
出会ったこと
その全ての先に
別れがある

ほんとうに
うれしい時は
泣いてもいいけど
ほんとうに
かなしい時は
笑っていたい

泣いて笑って
人生 ....
金持ちも
貧乏人も
健康な人も
病んでいる人も
希望に燃えている人も
絶望の淵に座り込んでいる人も
お気楽な人も
深刻な人も
白い人も
黒い人も
満たされた人も
飢えた人も
か ....
森林公園のなかに
それはそれは
長いすべりだいがあった

ゆるい
傾斜のそれは
すべると
ローラーが
カラカラと音をたてて
人をすべらせていく

ゆっくりと
ゆっくりと

 ....
{画像=120317205808.jpg}

野に集えよ
きんぽうげ

小さき
いつつの
花弁ゆらし
 ....
びいどろの中に
浮かぶ泡
気泡があるのは
不良品なのか
値下げの札がつけてあった

かなしい音が
とこしえに

びいどろに
刻まれた
唐草文様

ふるさとの野辺に咲く
名も ....
小柄な人なら入ってしまうような
大きなコインロッカーを
開ける時
必ず怖くなる

屍体を隠しておくには
ちょうどいいと
どこからか
声が聞こえて
息をとめて
扉を開く

{引用 ....
さよならと
手をふる時は
指と指の間を
すこし開けて
すきまを作る

かなしみが
そこから
上手に
逃げていくように

美しい水を
手にためる時は
指と指の間を
ぴたりと閉 ....
ママの手は
てんごくのにおいがすると
五つの子が
うっとりとして
わたしの手を離さない

てんごくも
じごくも
絵本のなかに
出てきたね

てんごくに
匂いがあるなんて
知ら ....
家を出る時に
ちらほらと
降り出した雪が
そう時間をおかないうちに
吹雪いてきた

三月もなかばだというのに

フロントガラスに
積もってゆく雪を
ワイパーでどける

ラジオか ....
祈る人はそっと目をつぶる

瞳に映るものは有限であっても
瞼に浮かぶものは無限だ

祈る人は無言である

言葉はいくら重ねても
心のかなしみには追いつかない

祈る人はみじろぎせず ....
朝露が
葉先でゆれる

あなたに
出逢えて良かったと
別れを惜しむように
きらきら
ゆれている

またいつか、は
ないけれど
またいつか、と
ほほえんで
さいごの
さいごに ....
あいちゃんのおちゃわんは
ぷらすちっくでできています

あいちゃんは
とうとうみつからなかったけれど
このおちゃわんだけは
どろのなかから
みつかったと
おばあちゃんが
はなしてくれ ....
とりあえずキリトリセンを入れてみる
         別れ話のリハーサルとして


雨が降る 地中に埋まるすべてもの
         かばね弔う雨が降る


帰り道忘れず戻ってくれば ....
そらの珊瑚(985)
タイトル カテゴリ Point 日付
雲よ雲自由詩4*12/4/10 10:26
ストーンチャイルド自由詩15*12/4/8 8:54
石蕗の家(改題しました)自由詩12*12/4/7 15:25
プレゼント自由詩11*12/4/7 9:22
美しい朝自由詩11*12/4/7 8:44
冷凍保存自由詩8*12/4/6 9:41
自由詩20*12/4/5 23:16
茶摘み自由詩10*12/4/5 7:57
カード型記憶装置自由詩19*12/4/4 22:47
さえずり自由詩16*12/3/24 13:06
ほぼ等身大[group]短歌10*12/3/24 11:32
ささくれ自由詩6*12/3/24 9:12
Sugar water自由詩9*12/3/23 9:36
戯言自由詩10*12/3/22 20:32
Salt water自由詩9*12/3/22 6:53
海亀の墓場自由詩11*12/3/21 7:18
あめだま自由詩12*12/3/20 8:42
Wonderful days自由詩5*12/3/19 9:41
星のこども自由詩8*12/3/19 9:29
長いすべりだい自由詩11*12/3/18 11:28
きんぽうげ自由詩10*12/3/17 20:45
とこしえ自由詩12*12/3/17 7:57
コインロッカーレクイエム自由詩11*12/3/16 9:08
手のかたち自由詩14*12/3/15 10:11
てんごく自由詩26*12/3/14 8:07
春の雪自由詩1612/3/13 8:33
祈る人自由詩11*12/3/12 8:03
さよならのかわりに自由詩1012/3/11 9:45
あいちゃんのおちゃわん自由詩20*12/3/10 10:21
ペーパーハウス[group]短歌612/3/9 19:38

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