楽園だと思ってたどり着いたところには
泥土と瓦礫がただただ、広がっていて
許してください
と言っていた
なみだで労って
構わないからと応じ
でも本当はとても
かなしかった
労い ....
忘れないでね
忘れないで
わたしを
待っていてね
待っていて
遠くの星に奉げる
ちいさな祈りひとつ
さだまらない明日を
見ないふりは
するまい
歩いてきた道を捨てる ....
良かった恋なんてひとつもなかった
流行歌は嘘つきだ
恋を嫌いになるために
わたしはいままで恋をしてきた
会いたいひとがいない過去しか
持っていないことの貧しさは
愛を知らないままに置き ....
永遠を悟らないということが
幸いだとでも言うように
その、部屋が蒼ざめてゆくのを
どうすることもできないでいた
個のいのちの永劫が無いことは
蔦の絡まる由緒ある図書蔵ではなくとも
....
張り巡らされた鉄条網に
体当たりでぶつかっていって
やっと出口と思っていた
からだから滴っているのは
紅い色した言葉の絶叫
纏ったままで視界にみたのは
さらに取り囲む鉄条網
なぜ ....
空のにびいろを映して
川面がはにかみながら
揺らいでいる
風の手のひらのなすが
ままに
ただしく海を目指しながらも
どこかに
屈託
これが、これがね
教えてあげる東京の色
....
わたしのまなざしはさやかですか
猫が生まれた
二匹生まれた
かあちゃん猫が
ダンボールに連れてった
ある夜のこと…
翌朝起きてダンボール
こっそり覗いて見てみたら
なんと四匹生まれてた
おばあちゃんがね
これは ....
みていた憧憬は
カップのなかの角砂糖のように
溶けていった
まるで経ってゆく日日のように
あっけなく
脆さを
弁護するつもりはない
ただ
愛することができる
無償で
*
....
七夕は梅雨空に終わり
宙で二人が会えたのかどうか
そんな話題は太古のものとなり
地上ではいよいよの夏の盛りとなった
皆が思い出作りのパズルに取り組み始め
わが子のためにと口実をつけ
案 ....
再びの夜明けを
ひまわりは信じている
どこの哲学者の蔵にも
視ることのできない
廻りの神秘をも悟っている
発った桜花が
その根元で人間たちに
享楽されたことをまったく
嘆いていなか ....
ちょうどよいのが
ティファニーの偽物だった
だから彼女は
それを大切に身に着けていた
彼女は泣かない
代わりにティファニーの偽物が
泣いてくれるから
だから彼女は泣いたことがない
....
さよならが
遠いころ知っていた子守唄は
ほがらかにリズミカルだった
時刻も狂わずにいつも傍らにいて
毎日の手入れも不要だし
挨拶は君から
だったね、と
なんでかな子守唄に
こんな歳にな ....
あらかたを
売ってしまったよ
色、を一つ
手に入れるために
君の時間を
止めるために
やっと会えるのだ
と思ったから
*
待っていた
待っていた
ずっとずっと ....
梅雨の晴れ間キット
あとは花に蝶が来れば
風涼やか時は凪ぎ
憂い忘れる隙間あるはず
雨上がり待つキット
組み立てながらあした
届くはずの新しい
レンズはもうあおい
そらをみて
....
風のち雨のち曇り空
わたしのこころの
お天気です
一つ足りない
忘れていない?
こころの湖面が
ゆらいでたずねる
*
晴れのち雨のち曇り空
のち晴れ晴れさやかな
風 ....
夕方に母さんに
言ってみたかった
今夜のごはんはなあに
母さんは包丁を使っている最中なのに
振り向いて笑み
あおの好きなものよ
じゃあポトフだね?
母さんはふふっとまた
笑み
....
どうしてかな
これはキット嘘だ
でも
本当だ
みつめて
誰が組み立てたの
*
指が空から
手をともなって
降りてきた
そして
ただしさを
その
ありの ....
みたくなくって
早めに帰った
傘も持っていなかったし
そして安堵している部屋で
祈るの
禍が、外を痛めつけますように
わたしは
大丈夫だもん
順番から言っても
そ ....
たずねてくれた
優しいひとに
わたし打ち明けられなかった
淋しいんです
おなか空いてます
泣きたいんです
理由わかんないけど
部屋まで毎週来てくれる
とってもあたたかなひとに
....
手許に冬のひかり
太陽と向き合えた日日
の証し
が
遠慮がちに
問いかけてくる
忘れたの?
やっとそれだけ
本当に
遠慮がちに
*
応えなくっちゃ
、裏腹に
半年後の陽光に
背を向ける
オーガンジー越しに
陽光が燦燦と
なすすべなく
靴はあまりに遠く
緩慢なる自殺行為
と
たとえられたわたしの
日日
*
ブルー
君なら寄り添ってくれるかい
今夜会いにゆくよ
闇にあおく
あ ....
風の運ぶ
時間のキットは
風景を組み立て
それは
留まることがない
ただしく
いつもただしく
移ろって
移ろってまた
帰ってくる
そんな、
キット
骨になったあなたに
灰になったあなたに
星になったあなたに
風になったあなたに
会える墓標はどこにもない
いつわりだけが木霊する
空ろな小屋が
今夜はどんなふうに
またいつわり ....
来年を知らない花が
風と遊んでいた
、ふっと凪いで
花は戸惑う
それでも無心に
凛とある
いつかのまたの
友だちを
信じて無心に
凛とある
*
花には
....
人並みに
ほど遠い日日
ただ野に咲く
すみれであれば
良かったと
軽い手荷物で降り立った
六月の駅
梅雨の晴れ間
見あげると若い鮎が
翼を休めていた
炎上、
前の雰囲気のなかで
穏やかに営んでいる街路
山羊のこどもに
みちをたずねると
右 ....
間違えて泣いている
六月に北西風が泣いている
迷い込んでしまって
六月の森で困っている
仲良しのいない
寒い、隣には
ふと子猫が
寄り添ってきた
北西風は怖がらないよう
気を ....
整ったものが
好まれるのだという
篤い信仰のもとに
整えられたツツジよ
応えなくて良い
そのままで
答えてごらん君の
生きてきた軌跡を
どんな色の刃が
君を好んできたのかを
....
一人だったころは
素敵だった
宝石の眠りを
奔放に
貪っていられた
永遠は実在しない
一人だったころは
淋しかった
路傍で気づかれずに
一輪の君にも出会わずに
慟哭できたほ ....
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