辞書を捲る指が
陽をうけて透けている
あなたの顔を忘れ 声を忘れ 名を忘れ
それでも愛を覚えている
香ばしい指が私の道を行く
だからわたしは地図として鳴く
触れるとも触れずとも落つ肌の上
あるかなきかの道標など
つまらない日々の余白を奪い合い
鳴いて見せたらああおもしろい
....
ため息を小瓶に溜めて息をする
浅はかでしょ?嫌いになってね
星のような脆さで光っていた
鳥達が言葉を持ち
海を渡っていく
変わっていくことが分かっていた
愛だっていつか干上がるだろう
けれども僕たちの生活は
今のところまだ
星のような脆さで光 ....
ニュースを見る
テレビを消す
洗う手を
また汚れる
最悪だと思う
お前もお前もお前もお前も
同じように最悪だと思う
でも自分はそれよりももっと悪いと思う
女になったり親にな ....
起きたら形を保てなくなっていた。
持ち上げた腕がとろりと流れ、指は境目を失い、膝を立てようにも重たく淀む。なんとか頭を起こして身体の様子を見られるようになるまで40分近くかかってしまった。
記号が ....
どこまでもどこまでもどこまでも弱い 弱いあなたの横顔が好き
明けようとする夜の裾を掴む手は 切れて汚れて私の手
鶏小屋で
安易な名付け
浅い夢
散らかる祈り
深い傷跡
朝の迫る 小屋の中で
瞼のない鶏が 夢を見ている
句点の間に
翔び 落ちて
読点の染みになる
それは
憧れ 贖い
取るに足らない
それでいて
代えのきかない
祈り
....
よろこびが
泳いでいく
喜びが綻んでいく
赤くなりたかった
いっそ黒でもよかった
砕けていく
喜びのなかで
誰かになりたかった
去年よりはだいぶましな10月と11月を過ごしたと思う。
たくさん捨てたし、いろいろなものをたべた。ベランダに出していた観葉植物を部屋のなかにいれてやると、とたんに空気がしめっぽくなる。
色 ....
私たちは夜を刻んだ
傷ついて迎える朝は冷たくて
端々に夢のにおいがした
うまく歌えたらいいのに
はやく走れたら、高く飛べたら。
詩が書けたらいいのに。
なんにもできないで笑って ....
何が自分にとって悪いのかわからないです、と言った、何が起こるのかわからないから、物事が起こってから対処するしかないんです、とも。カウンセラーは、少し考えて、あなたの中で何が起こっているのかを検証す ....
まのぬけた青空が
街にかぶさっている
ニュースは底抜けにあかるく
うすっぺらいコーヒーをのむ
燃え尽きたかに見える炎がベッドのなかでもう一度あがろうとしている
夢殻を つまんで捨てる ....
詩は果てる?
男じゃあるまいし
じゃあ 言葉は気持を超えられる?
女じゃあるまいし、むりだよ
そんなことより
そんなことより眠っておいで
寒くてみじめで、女で男で、大きくて小さくて ....
これ以上失えないっていうくらい深い夜から君は見つかる
簡単な夢を見ている 生温い浅瀬であなたが手を振っている
熊たち、バター、静かな湖。
色付きのガラス、夜を引く指。
ナッツ・ケーキ、ベビーカー、巨大なガラス、水の音。
雨の日、混乱、猫の恋。
止まった電車、会話の裂け目、重たくなった蜜柑の木。
....
詠んだけど書かなかっただけ思っても言わなかっただけあなたには
飲んだ嘘吐き出した嘘夜の数 囁きの音 数え忘れた
あしたからあなたを忘れて生きていくひとりで靴を履いて出掛ける
溢るるは白紙にも似て時雨の日
目が覚めて失われるのは物語
燃え尽るのは安い情熱
もう一度しようと思った 間違いを
同じ熱さで焼かれてくれる?
うつぶせの君のまつ毛と同じくらい
やさしいものって他にないよな
朦朧としながら喉を焼かれるような、茫漠と激烈を行き来する神経、剥き出しかと思いきや硬い殻の内側に居るのだと言われ、それなら私の言葉は一体、誰に届くというんですか。「でもその殻が少しずつ薄くなってい ....
金色の
夢をみている うつくしい
世界があした
おわるといいね
饒舌な指の間で跳ねる君
誰の歌でも誰の指でも
恋の前兆の前兆の前兆の前兆のようなものを発見して、わたしいつの間にこんなとこに居るんだろうとかがんだら全部落としてしまった。それで一文無しになった。
何で気を紛らわすかってことだけど、仕事と ....
甘ったるいパンケーキをたべ
昔書いた 鳥についての詩についてふたたび考える
コーヒーがビールにかわり、
それが香りのないワインに変わるころ、
街の全ては朽ち果てている
わたしが愛したコン ....
書くことがたぶんいっぱいあると思う、言いたくもないごめんねとか、合わせたくもない予定とかと同じくらい
がたがた震えて、この震えがなんのためかわからず、あれこれ手をつくしても、わかっているのは、ち ....
思うところあって、スポーツ・ジムに通いだした。家のすぐ近くにあるので、(ほとんど隣といってもいいくらい)、行きたいときに行けるのがいい。それで、初めての日にひと通り機械の使い方を教えてもらったあと ....
暗やみを拭う光を待ちわびて
抱き寄せるのは 悲しい背中
それの終わりかけに、
べつになんにもいらなくて
あなたを困らせた
ふつうに愛せたら良かったとおもう
グラスに入れた氷が溶けていくみたいにとか、
生けた花がだんだん萎れていくみたい ....
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