雨の生糸で編んだ夜
街の灯りのビーズ揺れ
傘の上では獣の足音
軽やかに
六月の匂い
たてがみやしっぽに乗って
運ばれる
鈴蘭を揺らす雨粒は
小粒のおいしいドロップス
だどもあの ....
お互いに今日は言葉で癒されないうつむく唇食べたら怒った
まっすぐに歩こうとするくるぶしと額に悲恋の花の刺青
熱のある 夜に雪降る ほろほろほ 溶けていくのはこだわりだろうか ....
この世で一番ってほどじゃないが
悲しいことそれは
生煮えのラーメン
のびきったラーメン
タイミング大事だぞ
そう人生はタイミング
そんな歌もあったような
時間を自由に操れない
だか ....
両瞼月の形の白い傷
露出した骨を矯正してる口
三日後に二足歩行で倒れます
初夏の朝 身体の中はまっくらけ
磨かれた床に無数の目玉落つ
....
冷蔵庫ゆっくり冷えていくものが光のような気がしてならない
やっと今一人で立てた足元にいろんなものが這いのぼってくる
ゴミ置き場月光に散る貝殻が泣いてるまぶたに見えなくもない ....
ハミングバード
鳴き声を知らない
激しく羽ばたいて
空中でとまり
蜜を吸う鳥
小さな鳥
ハミングバード
忙しく飛ぶので
翼が見えない
何を言おうかと思って
何も言えないと知 ....
その国
国なのに王を持たず
恋人もいない
波打ちぎわが逃げ続けるので
海は憧れの的
つぐみの子が口を開け
「夢が叶った」
と ....
いちがい
という音が好き
でも「いちがいという音が好き」と言ってる自分は
あと60年たったら確実に死んでる
それは動かしがたく
確定してる
一概に言える
すごくすごく好きなのに
....
ねじくれているという言葉の過剰に驚いている
ねじれているだけでいいのに
ねじ
くれて
いる
ねじくれてれて
ねじれれれ
その意味は混乱と混線と余剰
ほとんどという音の繰り返しと意味 ....
あおいよ
全身で戦った
きみ
守られたいけど
守るのもいいなと思う
守るために戦うよ
守られるのはお姫様
守るのは兵士
エイリアン2のリプリーみたく
エイリアンクイーンに ....
モノトーンの本棚に
黄色いちょうちょ
アルマジロはフランス産
きのこの鍵
ポケットにがま口
ゆりかごにコルセット
リンゴ チョコ コーヒー ドゥナツ
ピクニクラララン
にわか雨で ....
公園で遊んで忘れたプラスチックのじょうろを
思い出せる自信がない
あの子を呼ぶ老婆の声
飴かチョコレート(とけかかった)
寒さを感じることなく
料理は鍋のふちに背伸びし
あくを注意 ....
ひとりのおおかしぎが
海を渡ってきたのを
見ましたか?
それはどんなふうだったでしょうか
せなかを丸めて
いつものように
口もきかずに
それでいてたくさんのことを
瞳で語り
そん ....
アイスキャンデーを半分まで食べて
もういらないと感じた
激しい波の音がだんだん遠のいて
かわりに
飾り気のない雲がほそくたなびいてゆく
陸と船をつなぐ白いテープのように
別れ
の ....
いやに煙くさいので
ジューサーは目をあけると
驚いて動けない
火があちこちで燃えている
ジューサーはそばに転がっている
オレンジに緊急事態をうったえた
オレンジも目をあけると
驚いて動け ....
旅に出るときがあるとすれば
あかるい5月
校舎からブラバンの練習
球を打つ高い音
スプリンクラーの音
横切るツバメ
ポップコーン買って
炭酸ジュースも買って
旅ってどこへ?
分か ....
ある日突然
子どもたちは先祖がえりをした
背は小さく
言葉を失い
歌うこと
踊ることだけになり
海へ列を作りゆこう
歌い
踊りながらゆこう
砂浜で広がり
ねころぶ子どもたちそれ ....
行かなくてはと思っていた
ここではなくどこか
北風の背中には
銀の翼があると思って
それに乗って行こうかと
寒い街中に出て
裸足であるく
身軽でいいと
荷物も何も捨てて
名前だけ ....
是非にと所望された電柱
お前の未来は明るい
お前の姉さんはおととい
嫁いだばかりで戻ってきた
カラスの巣はハンガー
ハンガーとハンガーとハンガーで
流動的なヒナたちが
どこで育っているの ....
うるう年に生まれたので、四年にいっかいしか年を取りません
目下のもくひょうは人類平和のために
ごはんを残しません
となりのおじいちゃんが言いました
戦時中はこんなぜいたくはできんかった
おじ ....
夕暮れは冬の茜色
窓辺にはバラ
ひとつひとつ、凛と咲いている
病人のひどい言葉を
なかなか許せないでいた
自分のことはすぐに
許すのに
さっきまでは
持って行こうと思って買った ....
ヘンゼルとグレーテルは
かしこさとかわいらしさで人気だけど
ほんとのところは
名前がよかったんだと思う
ヘンセルとクレーテルだったら
だめだったと思う
魔女にも勝てないし
道にも迷わ ....
うわあちょっとすごいじゃない
もうこんな素敵な風景に
すぐさまさるぐつわをかませ
何もしゃべれなくするんだ
そして静かに、静かに
風景が
あたしの中に
満ちる
まで
....
聖なる夜のイブにだって
血は何リットルも流れる
殺人てわけじゃなく
輸血用の血が無駄に捨てられたってことだけど
ニュースで言ってた
それを聞いたからってわけじゃないけど
聖なる夜に ....
そうかこれからはもう
小さな公園で手をつなぐこともなく
いつまでも手を振って明日また会うことを
誓わなくなるんだ
僕らの道は花
風にゆれておぼつかない
緑に光る茎や葉っぱ
時々は誰か ....
一里のヒンバがめおととなって
丘を下り始めたとき
二里三里ともおそらく
自らの距離をもう距離とは言えず
巨とか凶ばかりがやたらに目に大きく写り
逃げ出したいのをぐっとこらえるがもう
一里の ....
空の背中に
茜色の翼が生えて
夜が終わる
オーケストラの余韻のように
薄れゆく星たち
ああおはよう
今朝のミルクはいつもより冷えて
そんなことが
秋へと読み進むセンテンス
明 ....
むかしむかしと言っても、きのうのきのうくらいカマキリ一家が仲よく草むらの中でくらしていました。今日も父さんカマキリがかりにでかけていきます。「いってらっしゃい。」と母さんカマキリ「いってらっちゃーい ....
さざんかの咲いている道を下っていました
私は光るペーパーナイフをたずさえて
ナイフはとてもよく切れるのです
手紙の封
白い手紙の封をサクリと
その手紙には何が書いてあったのか
今忘れる ....
花束をもらったのは
もう随分前のことだ
大きくて赤い
松明のような花そのあかりが
次第に痩せて暗くなっていくのが
寂しかった
怪我をして入院中
病室まで訪ねて
炎のような花束をくれ ....
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