いまはもうない家の
いまはもうない裏の畑で
空いっぱいに舞っていた
アキアカネ。

物干し竿に 洗濯物に
それをとりこもうとしてる母の髪に
それを見ている私の肩に
アキアカネ。

 ....
おそろしげなる{ルビ杣人=そまびと}の
十人かかりて動かせぬ
切り倒されし杉ありき
杉と契りしむすめごが
赤き襷をきりと締め
えいやと綱を引きやれば
やれかなしやと大杉は
するりするりと ....
海底深く沈むというその都市を
あなたはルルイエと呼びました
それともそれは
ル・リエーだったかもしれません

その名の発音さえ定かでない都市の
おそらくひどく冷たいのであろう
石造りの歪 ....
ふんぐるい・むぐるうなふう・くとぅるふ・るるいえ・うが=なぐる・ふたぐん、

呪文を唱えて、
銀の鍵で夜空の門を開けば、
きっとあなたに出逢うことができる。

たとえば遙かな時間の影の向こ ....
印を結ぶまでもなく
彼のものを召喚するまでもなく
すでに定められていたらしかった
パルプの汚泥で黒ずむ東海の海辺に生まれ落ちたとき
太陽と水星はともに宝瓶宮にあった

あるいは優しい人びと ....
以前やませば(山田せばすちゃんのこと)とメッセで話していて、たもつさんの詩とやませばの詩の違いは、たもつさんのほうがマジメそーに見えることだと私は言ったが、よく考えればちょっと違うな。やませばの詩には .... 1.

洞窟は亜硫酸ガスに満ちている。
酸素濃度計は警告の悲鳴をあげ続け、
俺のマスクは目詰まりしている。
俺が生きているのはどうやら奇跡的なこと。

俺を拒み人間を拒む洞窟世界で、
 ....
身体に七つの穴を穿たれたので死んだときいた それが誤謬とも誤伝とも思えなかったが 顔のないままにあのひとが俺の前にいた まさか千と千尋のカオナシに触発されて生き返ったわけじゃあるまい とは思うのだが  .... ばくばくと奇妙な声で嘆いて八つ足は怯えて。

八つ足が食い散らかした誰かの足。
腕を伸ばして拾い集めるとどこかで呼子が鳴る。
あれが合図なのだとしても、
立ち上がることはできない俺には足がな ....
まず言っておかなきゃならない
これを読んでるあなたは
(あなたが誰であれ)
この雑文における「あなた」ではない
あなたと「あなた」は別人である
筆者と「私」も別人である
まずあなたにこれだ ....
――油膜のような色なんだ、赤にも緑にも見える。

Tはテーブルの上のカップに視線を注いだまま
落ち着かない様子で呟き口に手を当てる
僕は僕で
冠雪して間もない山なみを窓ガラス越しに見ながら
 ....
フィオレルロ・ボドニのように
私は宇宙船に乗り
フィオレルロ・ボドニのように
私は火星まぢかに迫り
フィオレルロ・ボドニのように
虚像と知りながら虚像を夢みた

恋が月や火星や木星のよう ....
この惑星のこのあたりはそろそろ晩秋で
赤く色づきはじめたハゼの葉が
窓の外に揺れ

この惑星のこのあたりはそろそろ夕刻で
暗くなってきた室内に
パソコンの画面がまたたき
またたき

 ....
まずは詩をひとつお読みください。
著作権は切れております。

***

「琉球娘仔歌」佐藤惣之助

その黒髪の上(へ)に瓜籠やのせて
その黒髪の上に仔豚やのせて
紅藍(べに)の花よま ....
そういえば私は批評を読むのが好きだ。詩を読むのが苦痛になりかけているとしても、批評を読むのは苦痛ではない。それは私にとって快楽だ。みつべえさんの批評を読んでいて、思い出した。私は、いい詩を読みたいなあ .... 端的に言って金と暇がない。頭にくるほどない。ないのだが詩を読む。寸暇を惜しんで読む。詩も書かずに詩を読む。最近ほんとにほとんど詩を書いてない。とゆーか、書けない。ここに投稿してる私の詩は古いのばっかだ .... すき透る十三夜とぎれた会話を惜しむ
出逢うとしてもそのさきは五里霧中
きらきらとまたたく七夕飾りをさげていても
すくすく伸びた若竹は四季を知らぬまま枯れる

がくがくと堕ちてゆけばああ八面玲 ....
詩人が食卓のナプキンに詩を書き得た時代は過ぎた?
それとも今なおわれわれにそうした牧歌的行動は可能?

私の机の上には音楽と絵画と文学に類似した何かを収めた小さな箱がある、
これはナプキンでは ....
とりあえず、事実を基にまともに返事しましょう。
こーゆーの、大好きなんであります。
今夜から長野に行きますので、詩バージョンレスは長野から帰ってきてから。

1:机の上には,なにがありますか? ....
なんとなく後ろめたしと思へども夜に備えて眠る日盛り

働くも働かざるも自由なり君に逢ひゆく自由なしとて

ロボットの腕は緻密に動きゐてその暖かき体温あはれ

深夜0時冷たく硬き弁当を昼飯と ....
森はあたしの同級生で
森というのは苗字ではなく名前で
苗字は山田とか佐藤とか鈴木とか
そういう犬のクソみたいなたぐいだったと
思ってほしい

あたしはいつも森とだけ呼び捨てにした
mor ....
闇を歩くあなたの素足には
ぎらぎらする光点が
まとわりつくのです

螢じゃありません
火花です
さわれば火傷する
青白い火花です

死せる姉よ
いまも世界の暗い側を歩く
姉よ こ ....
姉は 目覚めて 自分が
見慣れたヒースの野原にはいないことを知った

姉の夫は彼女を顧みなかった
姉の夫は他の女と愛を誓った
姉の子供は流れ去った
姉はだから子どもたちと男たちを憎んだ
 ....
腰のものを赤く染めて鳥が鳴く。
うぶめ、と呼ばれる鳥である。
産の穢れに死んだ女は鳥となる。
ほう、と鳴くが聞こえるか。

生まぬとしても女は女と男は言う。
うぶめの悲しみを知らぬは幸福と ....
ゴミラは疲れてしまった。
うつむいて
とぼとぼと茶色い海辺をあるいた。

テトラポットが陽気な声で
「あたしはゴミじゃないわよ」と言った。
でもゴミラは知っていた、
テトラポットはゴミラ ....
あたしはエステに通った、
あたしは美容整形をした、
たぶん美しくなった、
あなたにわかる?

あたしはアルマーニの香水と、
ブルガリの時計と、
プラダのリュックと、
エル ....
時は準宝石の螺旋のように
生ける屍

口に出せない習慣、奇妙な行為
沈黙は死の匂い
どこまで行けばお茶の時間

暗黒のすべての色
この暗黒化する宇宙
時は乱れて
流れよ我が涙、と ....
目醒めて夢をみたのか
夢のなかで醒めたのか
ともあれ俺は夢のなかで
不意に見出したのだった
油絵具でかっきり描いたような無人の街と
そこにたたずんでいる俺自身を

夢なのだから飛べるはず ....
1.

海底にねセ氏120度の温泉を噴き出す海底火山があってね そこにはまっしろな蟹が住んでるんだよ なに食ってるかって硫化水素を利用して増えるバクテリアとかなんとかそんなものを食ってるんだけど  ....
世間はタソガレであるが
私はいま目覚めたところであり
いまからロードーしなきゃならんのであり
それは私が選択したことなので
いたしかたないのではあるが
なんてうんざりしてたまらないタソガレ
 ....
佐々宝砂(891)
タイトル カテゴリ Point 日付
アキアカネ(百蟲譜1)[group]自由詩603/11/13 22:00
ひきてゆかしむ[group]自由詩403/11/13 5:19
海辺の散歩[group]自由詩203/11/11 22:34
愛の技巧[group]自由詩503/11/11 22:29
ハスターの僕[group]自由詩303/11/11 22:26
失われた醤油を求めて — たもつさんの詩の印象 1 —散文(批評 ...703/11/8 15:21
白熱 リバース[group]自由詩503/11/8 12:30
白熱 サイドA[group]自由詩103/11/8 12:29
[group]自由詩1*03/11/7 11:14
「私」のノンレトリック自由詩6*03/11/5 11:39
ありうべからざる色彩[group]自由詩403/11/3 23:28
L is for LOVE自由詩003/11/1 3:24
九十億のそのつぎの自由詩603/11/1 3:04
南国の娘仔たち散文(批評 ...303/10/26 23:52
オマージュにオマージュ散文(批評 ...203/10/25 4:00
ああ人生に余裕がほしい散文(批評 ...7*03/10/23 1:12
La Madrigal Chiffre自由詩1*03/10/15 23:48
詩人のティッシュ(満帆さんに韻文レスバージョン)未詩・独白1*03/9/30 21:06
詩人のティッシュ(満帆さんに散文レスバージョン)散文(批評 ...003/9/28 0:29
夜勤即興詠短歌603/9/22 1:51
森の背中[group]自由詩5*03/9/19 3:36
リリスのためのララバイ自由詩103/9/17 0:42
死せる姉のためのバラッド自由詩203/9/17 0:39
私は石である。自由詩24*03/9/14 16:26
ゴミラの消失自由詩5*03/9/11 3:28
裸、あまりに裸自由詩303/9/8 3:43
今は亡き火星人の思い出に未詩・独白1*03/9/6 14:55
墜落のはじまり自由詩503/9/2 2:12
白熱[group]自由詩503/8/31 2:15
ただ書き殴ってみた独白自由詩203/8/28 17:02

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