僕らは冬の森を行くあてなく歩いた
朝露の名残に靴が濡れ、靴下まで滲んでいた
つきまとう鳥がずっと上の方の枝で試すみたいに鳴いていた
その鳥のくちばしは長い鎌の様なシルエットだった
 ....
眠りが浅くて
何度も同じ夢を見る
形にならない世界
言葉にならない世界の夢


破れたシャツばかり身にまとって
午前零時には目を覚ます
冷たさに曇った窓を見て
カーテンの ....
うつろな夜に足元をもつれさせながら踊る
おまえのことを不器用だとは思いたくはない
月明かりは冷たく、病のように青白く
半身起こしたベッドで夢魔の尻尾を逃した


うつろな夜に ....
瞳を閉じて
静かにしていなよ
いまのおまえには
むずかしいことが多過ぎる
瞳を閉じて
自分が呼吸している事を確かめるんだ
空気が鼻から来て
また出て行くのをたしかに感じるんだ ....
薄暗がりにぼんやりと浮かぶお前のシルエット
 振り切れそうなフーリガンが俺の中で騒ぎ出す、堤防は決壊
濁流の中に投げ出された思春期の残り香がもがきながら見えなくなっていく

 あらしの ....
その夜に刻印は無い、とくにこれといって
しんとした冷たい、しんとした冷たい―隙間風が入り込むだけ
綿毛のように逃げていった古い名前と
綿ぼこりのように積みあがるいらぬ記憶
街路を通 ....
戻れない時間に眼をこらして
お前は明日への抜け道を探そうとしてる
新しい場所へ踏み出す勇気が無いんだろう
明日がいつかの焼き直しみたいになっちまうのは
紛れも無いお前自身のせいさ
 ....
君は凄く不器用で
僕の手を借りなきゃ左手の爪も上手く切れないような娘だった
だけど不思議なくらいこころに届く微笑みを所有していて
触れると指先からラベンダーの香りが流れ込むような娘だ ....
もう一度なんておいそれとは出来ないから
一度手にしたこれを最後まで続けていくだけさ
あれこれと手を出しても
出来る事なんてだいたい決まっているから
これだと決めたことを最後までやってい ....
目標のために歩きすぎた男が疲れ果て国道の自販機にもたれる
もはやそれが何のためかも判らず、目はかすみ、喘ぐように
排気ガスと埃に汚れた空気を吸い込む
ああ、あいつの心はもうすぐ折れてしま ....
おまえの首の引っ掻き傷を吟味してこのあとの綴りを決めよう、食い尽くすには惜しいほどの欲望だ、互いの首に絡み付いて―そのあと老いぼれるかどうか飽きるまで確かめてみようじゃないか
夜はベッド ....
教会の裏庭で
もう使われていない
左側面に大きな穴の開いた焼却炉にもたれて彼女と愛し合った
それをしたいと言ったのは彼女で
僕らがもう少しで別れ話をするだろうことは目に見えていた
 ....
派手に着飾って、香水を叩いて
俺を迎え入れる準備をするんだ
不手際を見つけたら二度とは訪ねないぜ
完璧なスタイルで物事を始めるんだ

街路には迷子が散乱してる
年端もいかない母 ....
俺のあたまのなかにひとつの答えがある、おまえのあたまの中にもうひとつの答えがある
それはおなじことについてなのに、まったくちがうことについてのふたつの答えのように見える
だけどそれは間 ....
夕焼けが雨雲に隠れて
使った後の絵具バケツみたいな色になる
マクドナルドの店先で備え付けの灰皿に吸殻を押し付けながら
やがて来るだろう雨の気配に唇をゆがめている
「オレンジの缶詰を買ってくる」 ....
いま、わたしは玄関の隅のしおれたパキラの、枯れた葉を一つ手に持って
騒々しく消えていった大切なひとつの
約束のことをまざまざと思い出していた

「キンモクセイが香る季節などに嘘をつ ....
長いことほったらかしていた
自転車のハンドルとサドルを拭いて
空っぽのタイヤに空気入れ
寒くなりはじめた街に
長袖でくり出す

鮮やかな白と紺が
入り混じる通学路
生徒達は ....
シューズボックスの中で朽ち果てていく過去は
いくら叫んでももう遠く届かない場所
あのころおまえが一番好きだった
動脈を流れる血のような紅いヒール

汚れた爪先にくちづけをして
 ....
おもてむき静かな
地下の濁流のような衝動
ガラス窓に映った顔だけがほくそ笑む
いつか
ナイフで蜂を殺したときの壁のいくつかの穴に
あのこを切り刻んで少しずつ詰め込む幻覚を見た
 ....
バスルームで
容赦なく濡れた孤独、もはやバスタオルの
吸水性の問題ではなく
それをどれだけ濡れたまま、濡れたまま抱えあげるかということに

アテイチュードはテストされ凍てついた
 ....
雨の名残は道の脇だけ
夏の名残は枯れた茎だけ
出した手紙の返信気にして
閉じたまぶたに弱気が群れる


携帯電話をいじくっていると
未整理のアドレスで肩が凝る
慣れた名前を ....
ホロウ・シカエルボク(1191)
タイトル カテゴリ Point 日付
さよなら世界自由詩0*07/11/25 22:13
グッドナイト自由詩3*07/11/23 22:17
ダンス(同じ小節)自由詩3*07/11/21 21:22
眠りがすべてを抱きしめるなんて嘘さ自由詩5*07/11/19 20:47
三日月の夜、フーリガンとエクスタシーが相対するセミダブル自由詩2*07/11/14 22:48
それで手に取ったミルクはどんなふうに始末をつける?自由詩3*07/11/12 22:51
卵の焼き加減に対して語ることがあるとするならばだ自由詩2*07/11/10 23:22
Don't Tear Me Up自由詩2*07/11/7 22:54
アンジーのシャープなハイキックが決まればだいたい問題なんて無 ...自由詩007/11/6 21:51
亡霊の午後自由詩1*07/11/5 21:49
老いるだけが死じゃない(詩にそれは言えない)自由詩1+*07/11/2 21:11
あの日、教会の裏庭で彼女は微笑みさえした自由詩3*07/11/1 23:50
予想以上のことが出来るといい自由詩3*07/10/30 23:42
と、いうような意味のありそうななさそうな戯言を僕は大きく足を ...自由詩1*07/10/30 0:23
べつに渇いちゃいない(Do you like me?)自由詩5*07/10/28 21:13
最後の手紙は出口から届くだろう自由詩3*07/10/27 22:53
よく判らないけどうまくない気分と幸か不幸かはたぶん関係がない自由詩3*07/10/26 22:53
Don't Call Me Up自由詩3*07/10/24 21:17
きっと鈍痛のほうがより涙を流せる自由詩3*07/10/23 21:56
孤独の内訳の大半は打ち捨てられたペニスに集約される(Grow ...自由詩2*07/10/22 0:26
ごらんよ、呆れかえるぐらいあざやかな朝じゃないか自由詩16*07/10/20 17:37

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