雨が降る
丘に埋められた木の実の底に
たゆたう森を燃やすために

ほつれた右目から
麦の穂がゆれる
ぼろぼろの人形をくわえて
金網をくぐる裸の猫に
背中にゆれる麦畑に

ちぎれた腕 ....
詩は何かの間違い
詩は理由のない必然
詩は空白の括弧
詩は消えにくい足跡
詩は灯台
詩は寝言
詩はサーカス
詩は星空に足す星
詩は精子
詩はストリップ
詩は足のふるえ
詩は目のふ ....
そしてまた
時を迎えた一枚が 枝から
静かに離れ
少しのあいだ宙にゆれ
小さな音を立てて
落ち着く

雲とともに水たまりを漂い
やぶれたポルノの栞になり
四角く切り取られた月の光に不 ....
緑は木々の透明をろ過する
歌おうと
目の穴を
鳥たちの影は細く伸びゆき
皿に盛り付けた朝を啄む

ありふれた爪痕で編まれ
内臓はひらかれ
時に浮かべられる
せせらぎとともに
薄い結 ....
ハイライトが俺を焦がして
ケムリになって昇った先で
ハイライトが俺を焦がして
雲を焦がして黒く染めた

アスファルトにキスをした
干からびたラスコーリニコフを
大股で跨いだお前の肌を
 ....
母の腕に抱かれて 赤子は
もう死んでもいいと思った
今日も
魚たちの移住を阻止しようと
夕刻、空がダイエットする
泳げ
カラフルな蓮をよけて
ゆっくりと
ふくらんでゆく風船
際限のないあくび
黒点を跳ね上げ 蛇口から流れる闇
コックはねじ切れている
のびてゆくバスタブの海を
あらゆる方向へ沈んでゆく 果実に
大陸が浮かんでいる ....
紫煙の記憶が折り重なる木枠 
スピーカーに雑草が繁茂する
煤けた天井から黒い茎が垂れ
席のすぐ上で円錐の花が開く
ここは暖色の蜜であふれている
白い蜜に沈む 緑の無邪気な囚人たちは
小さな ....
美しい詩があった
あんまり美しいので
みんなが声に出して読んだ
あんまり美しいので
他はどうでもよくなった
草は伸びるのをやめ
タイヤも、カネも、太陽も
回るのをやめた
ぼくは回った
 ....
ずいぶん長いあいだ
持ち歩いたくせに
名前もかたちも知らない
自分の小さな臓器みたいに

そそがれる水を受けて
影にまで朝を分け与える
いつもの
透明なグラスを知らない
星は星に座って
星を広げた
片手で星をすすりながら
遠くの星で、星たちが殺し合うのを知った
星の上に、ひとしずく星が流れた
空に散って 風に舞った
遠くなればなるほど
小さな星は小さ ....
いまはもう
降り注がれた毒の
牙は抜け落ち
月がのぼるように
人は絶えている
それでもまだ
新しいモノクロ
様々な直立が
階調をまさぐり
どこまでも伸びようと
相殺できない
そうさらあ さらそわあ
さおわあ するるるるう
すふぃいいおお おおううう
しょうほう
さはああ そふううおおお
おおうう るらるうう
ふうち くうち
じいい ひゅうおおお
うんじゅう ....
闇は町を飲み下していく
水性の夜空と
夜行性の水が交わる
境目を覗き見るように
島の火から水平に引いた補助線は
離陸していく
それが星だと気づくと
線は頭上を越えていく指先だった

 ....
彼女のささやきは
太古の空に置き忘れた 君の本当のイニシャルであったり
気づかれぬまま 君を愛した風の名であったりする

彼女のささやきは
瞼にそっと置かれたぬくもりであったり
愛撫がすく ....
彼女は死んでいる
悲しくはない
はじめから光などなかった 
彼女は死んでいた はじめから
なにもかもが闇だった 
なにもかもが星でも なにもかもが糞でも同じことだ
彼女は包んで欲しいと言う ....
空と僕らには距離がなかった
窓は開かれていた
白いテーブルの上に
幾千の微細動
まるでナイロンの弦を束ねた
世界のつけ根はたなびき
差し入れる指は風に同調する
触れた先からほろほろと物語 ....
落ちていた
ふちのない穴のなかを
空は役割を捨てたらしい
光はボレロに合わせてゆるゆる回り
白い猿たちは「  」の頭を転がして遊んでいる
飽きてしまうと時計の針を集め出した

君の手の ....
氷水蒸流(19)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
やわいの文書グループ09/7/12
投稿作品
ロアン自由詩809/7/11 23:35
詩は[group]自由詩209/3/9 17:16
秋の瞼自由詩508/10/11 10:30
ゆりかご自由詩208/9/13 8:23
空の吸い口自由詩108/9/2 12:13
天才自由詩808/9/1 19:24
ポリシー[group]自由詩108/8/17 20:37
際限のない自由詩308/6/3 22:56
かすれたフルート自由詩508/5/23 18:46
ソーセージ[group]自由詩808/2/26 22:16
遠いところ自由詩208/2/15 16:41
星は星に座って[group]自由詩508/2/1 12:33
消音自由詩307/9/12 0:25
[group]自由詩307/7/27 10:00
夜島へ[group]自由詩807/6/22 20:24
ささ[group]自由詩707/6/2 0:08
抱擁自由詩507/5/29 18:15
屋根のない明るい部屋で[group]自由詩907/5/26 22:49
葉月葉自由詩707/5/17 10:59

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