友だちの家に遊びに行った
門のところで、久しぶり、と挨拶されたので
久しぶり、と答えた
もてなしてくれるのだろうか
和室に案内されて
お茶とお大福を振舞ってくれた
正直な話、あ ....
 
 
バスが山道のカーブを曲がりきれずに
ガードレールと  
摂食した
バスとガードレールが何を食べているのか
ここからはよく見えなかった
ただ黙々と摂食を続けていた
いっしょにバス ....
 
 
隙間から押し寄せる波が
文庫本の栞を
何に使うのだろう
一枚さらって
もとの海に戻っていく

生き物の柔らかな陰影
そのようなものがあると
いつまでも
触れていたくなる
 ....
 
 
病院の待合室で
ヒマワリたちがソファーに並んで
自分の名前が呼ばれるのを待っている
けれどヒマワリたちには
個別の名前が無いので
何時まで経っても呼ばれはしない
ヒマワリは次々 ....
 
 
ブーツを仕分ける
仕分けまくる

 「ブーツの仕分けに関する判断基準」(抄)
  第三条 良いブーツ(以下「良いブーツ」という。)は天国を歩ける
   ブーツとする。
  2  ....
 
 
瞬きが景色をつくる
壁面に反射する光
戻ってくる
街路樹の梢たち
人々の独白は
磁器を数える単位となり
いつまでも終わらないので
扉は貧しい影の所有者となる
そして形はいつ ....
 
歯磨きが終わり
コップを手に取ると
何かのゼリーのような感触がして
指が中へと沈んでいく
そして右手は
コップそのものになってしまう
これから歯ブラシは
左手で持たなければいけない ....
 
 
鞄を探していた
たった一つの鞄だった
大切にしていた鞄だった
心当たりのあるところは
すべて探した
鞄の中も探してみたのに
布製のハンカチや
プラスチック製の文房具など
必 ....
 
 
木に実っていた最後の世界が
その重さに耐え切れず
落ちる
あっ、という誰かの叫びは
空気を震わせることなく
そのまま大気中へと浸透していく
店頭に並んでいた時計の化石を
少年 ....
 
 
冷蔵庫 冷やしたいから 冷やしてる


洗濯機 洗いたいから 洗ってる


右を見て 左を見たら 眠ってる


霜月の 雨に降られて 眠ってる


椅子がある ただ ....
 
  
  
国道のアスファルトを
食べている様子が映像として流れる
「今朝のカバ」のコーナー
テレビの表面はいつも
山奥にある沼のように寂しいので
スイッチを入れれば
色とりどり ....
 
 
人が地下道の階段を下りて行く
地下道の中には
何も無いけれど
ただ、向こう側に行きたい
というだけで
地下道へと下りて行く
やがて階段を上り
再び地上に出たとしても
同じ空 ....
 
 
夕暮れの校庭で
少年が一人
逆上がりの練習をしている
息はすでに上がり
手のマメは破れているけれど
何度も地面を蹴り続けている
成功したところで
得られるものも
失うものも ....
 
 
僕にヒゲが生えていた頃
あなたは優しくヒゲを撫でてくれた。
今ではすっかりヒゲは枯れ
ビルなどの建築物が建ち
唇の近くまで人も歩くようになったけれど。
あなたの手のことはあまり思 ....
 
 
計算ドリルをしていると
首筋に夜明けがやってくる
近くに声の病院があるので
あたり一面、ささやきや独り言が
しん、としている
隣の人が自転車に乗って
仕事場へと向かう様子が見え ....
 
 
近所の庭先に
みかんが生っている
枝は良く伸び
実は公道にまではみ出している
その下にひとつ
うんこが落ちている
多分、犬の

うんこ
何て素晴らしい響きなんだろう
純 ....
 
 
静かな時計の匂いが
降り積もる教室で
僕らは眠るための訓練をしています
皆、先生に買ってもらったばかりの
蓮根を大事に抱えて
明日の晴れる日を想像しています
教室の隅には
か ....
 
 
デオキシリボ核酸
でおきしりぼかくさん
でおきしりぼすけさん

格さん(渥美格之進)
 横内正
助さん(佐々木助三郎)
 里見浩太朗

正しくは
助さん(佐々木助三郎 ....
 
 
光る小さな玉が
ふわふわと三つ
それぞれに適度な引力を持ち
時にはふわふわと引き合い
ふわふわと離れ
角もないのに接触した拍子に
傷をつけ、傷をつけ合い
そうかと思えば
 ....
 
 
荒野に冷蔵庫はあった

冷蔵庫は洗濯機を冷やしていた

洗濯機は食器洗浄機を洗っていた

食器洗浄機は炊飯器を洗浄していた

炊飯器はマトリョーシカを保温していた

マ ....
 
 
浦島太郎は海を見ていた
浜辺で膝を抱え
亀が海から来るのを待っていた

まだ青年だった
衣服から露出している腕や脚は
しなやかな筋肉で覆われていた

亀をいじめそうな腕白な ....
 
 
世界地図を描くと
いつもはみ出してしまう
そんな遠くの大陸に広がる
乾燥した椅子地帯では
今年もイスコロガシの
産卵時期をむかえている

普段、イスコロガシは椅子を餌としてい ....
逆立ちをしているゾウの足に
流れ星が刺さった
昼間の明るさで
誰にも見えなかった
ゾウは少し足が痛い気がしたけれど
逆立ちをやめてしまうと
子どもたちががっかりするので
我慢してその姿勢 ....
 
 
ハエが世界を一周した
けれどとても小さかったので
誰も気づかなかった

ハエは自分の冒険を書き綴った
ジャングルの中で極彩色の鳥の
くちばしから逃げ回った日々を
港のコンテナ ....
クジラの背中に
独裁者の豪邸が建った
どこよりも高く
民衆を見下ろせた
一匹のカマキリが飛んできて
両手の鎌でそれを壊した
拍手喝采のなか
クジラは大きな口を開けて
悠々と ....
 
 
忘れかけていた三行の約束を
同時通訳していく
身体が沈んでいくのがわかる
劣化して重たくなった雨傘みたいに
 
トイレットペーパーが
自動で巻き取られる音がする深夜
ブルペン ....
 
 
今日買ったばかりの枕が
突然海になる
髪が濡れて痛む
航行中の大型の帆船が
三半規管を横断する
 
交番の裏側をパトロールしている
詐欺師だった父は
水を泳ぐことができな ....
 
 
きみの肩こりが酷い満月の夜
ぼくは錆びた味のみかんを食べてる
朝からコタツがあり得ない
それでも決して負けはしない
ぼくは白い黒ヤギ
 
自由を求めて飛び跳ねる
自由の意味も ....
 
 
色鉛筆のケースの中で
弟が眠っている
一番落ち着ける場所らしい
父と母はテレビを見て
時々、笑ったり泣いたりを
繰り返している
ケースから出された色鉛筆で
僕は絵に色を塗る
 ....
 
 
見たことのない言葉で
あなたと話す
関係のある足音と
関係のない足音の狭間で
 
時々、古い橋の匂いがする
目を凝らすと橋の形はあるのに
渡る人々のため息が聞こえてこない
 ....
たもつ(1742)
タイトル カテゴリ Point 日付
おもてなし自由詩1110/12/18 18:26
自由詩610/12/16 22:35
帰宅するとき自由詩310/12/14 22:00
ヒマワリ病院自由詩610/12/12 22:32
ブーツ仕分け自由詩210/12/11 15:09
成分分析自由詩310/12/8 23:45
歯磨き自由詩310/12/7 18:11
自由詩210/12/6 19:25
採光自由詩710/12/3 22:53
「本日の五七五」より川柳410/12/2 5:56
モーニングショー自由詩310/12/1 20:11
地下道自由詩210/12/1 6:10
ソーダ水自由詩410/11/29 20:46
僕にヒゲが生えていた頃自由詩8*10/11/28 17:30
口実自由詩410/11/27 11:51
約束自由詩210/11/26 8:54
合宿自由詩310/11/25 6:01
デオキシリボ核酸自由詩210/11/20 6:18
ふわふわと光る玉の話自由詩810/11/16 21:39
みんなの話自由詩410/11/15 21:32
浦島太郎の話自由詩110/11/14 10:18
イスコロガシの話自由詩510/11/13 9:15
ゾウの話自由詩1610/11/10 21:45
ハエの話自由詩1210/11/9 17:49
クジラの話自由詩610/11/8 19:09
顕微鏡を覗くと自由詩710/11/4 21:47
レシート自由詩310/11/3 8:38
白い黒ヤギ自由詩210/11/1 22:16
色鉛筆自由詩1910/10/30 10:27
別れの言葉自由詩510/10/28 19:59

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