おじいさんの毛糸帽子、
先っちょの球が揺れ
寒さに震える頭が傾ぎ
白い髭に霜降り模様
時の最中を彷徨って
十二月の一日、
青く瞬く街の電飾、
帰郷するには早すぎる
哀悼する ....
夕べに小雨、
待ち人あらわれず
肉は冷え切り
床に伏し
深い眠りに
底は抜け
聖なる宇宙の
内よりぽっかり
今宵限りと
銀河をわたり
輝く恒星のうた
耳澄まし ....
朝に雨、やみ
空気、冷気を孕み
熱持つ体、気だるい一歩
人々は駅へと集積し
多淫な花々は身を隠し
岬の断崖に打ち寄せる高波、
泡立つ潮の激したうねり、
通勤快速内の無言の厚化 ....
雨が
少しばかり
降った夕、
庭の裏手から
ぬっと現れる
太陽、
凝視する
私を笑う
海、
青に黄金に
風は吹き
雑木林の木々から
ひらひらはらはら
葉が舞い落ちる
もう次から次に
舞い落ちる
病院からの帰り道、
バス停に立つ
僕の頭上を
ひらひらはらはら
黄色い群れ、高曇りの空
....
ぬぬぬ
塗壁
宇宙の思考に
生の感触確かめて
光の閃き意味喪失
明るむ明るむ意識の地平
ぽっとイメージすっとぽっと
水晶の海に
安らいで
生の世界
宏大な開け
〇
....
薄暮に滲んでいく
空の色、哀しいね
今日、無限の空の青
透き通り
たゆたいながら
のがれていく
あおくすきとおるそら
なにかがいる
さっきからさかんに
よぶこえは ....
煌めきの音響、
コバルトブルーの
空はうねり
貫流する
冷え切った肉に
熱、熱を感じ
意識、開く
死という無限の眼に
ただひたすらな静かさのうち、
雪降る宇宙 あり
ただ落ち着 ....
独り、
たたずむ
ベランダの先
濡れ始めた路面、
開く花の傘たち、
肉は痛んで意識、屈曲
大きく忙しく息、継ぐ
今日は雨降り、日々移り
路面に映る、現の影
透明な雨滴 ....
垂直に打ち降ろす
進行する時の裂け目、
ビートと旋律に剔抉され
あらわとなる、現となる
この瞬間、
ゾーンに入って
意識は舞台
差し出される
漆黒の壁、
開いた聖書、
その ....
無数の形象、踊る心の内
光と闇の交錯に、
夜へ夜へと入っていく 境界にて
紅く輝く花、咲いていた
森の入り口、
貴女はそれを摘み
私の小部屋に飾った
森へ森の奥へと入って ....
厳しくひとり、立って生き
優しくひらき、繋がり生き
この紺碧の空の下、
移り変わる形象に
不安定な心、歯軋りし
突っ張る肉、イラついて
活魚飛び跳ねる浜辺にて
みなぎる命の香を嗅 ....
心泳いで心泳いで
遠い村の浜辺で
銀に飛び跳ねる
無数のビンビ追い
飛び跳ねていたのは
確か、あの娘たち
銀の帯締め
天から舞い降り
浜辺に遊んだ
銀の帯締めあの娘たち
....
にく、しずか
いしき、おちつき
しずむ
たましいの ふかいところ
ものあることの ないぶへ
たましいとにくの きんこう
わたしはわたしを つかんで
しこうのうちへ ....
ひなたぼこ、
光の海を泳いでる
子供たちの有り余る声、
響く大地に
泉の水が溢れ出す、
泉の清水、止めどなく
それは内密な場所で起こること
それは秘められたもう一つの現実
....
今日は雨、
初冬の冷たい雨
アスファルトは艶やかに濡れ輝き
窪みのあちこちの水溜まり、
雨滴は落ちる、
微かな銀輪の照り輝き
人は来て、人は去る
銀輪を踏み
雨滴に肩を濡らし
人 ....
遠くカラスが去っていく
静謐なはずのこの地が
今は揺らぎ
千の耳鳴りに
ざわめきたち
やがて夜闇が侵食する、
切断されたこの地を
それが、襲う
黄色い犬、徘徊し
黄色い犬、群 ....
隣家の灯り、
赤々点いて
車列は街道に、
長々伸び
ピエタの画像*、
あまりに重く
俺はひたすら、
横になる
燃える心臓
喰われる脳髄
憂鬱な心、逆巻く時
どれもこれも言葉遊 ....
この冷夜、
肉の激痛発作に
垂直の時間帯は破壊され
雨雨雨雨、降り降り降り
開いた聖書、白く縁取られ
漆黒の闇に浮き上がる
在るもの在るもの、
すべて濃密に
問いを発散し
....
葉影は優しく
金色の光彩に
濃い斑の筋を引き
森の入り口に
伸びていた
目に見えないもの、
目に見えるもの、
それぞれ同等に
照らし出す
秋の日差しが
彼女の瞳の奥に
不思議に魅 ....
静かに律動する、肉体
朝の冷気に覚醒する、意識
心はゆったり世界の像を映し出す
信号待ち、
赤ん坊を抱っこ紐で胸に支え
片手でスマホを操作する若い母親、
くっきりとした二重 ....
均衡が訪れる
肉の猛りは一時、収まり
わたしの眼は、
横たわる白い小部屋を凝視する
三次元の実在、余りに静かな
静止する時間の流れ
白壁に掛けられた
カンディンスキー ....
でっかいでっかい
かたまりが
わたしたちを
つつんでいる
わたしという響き独り
あなたという響き独り
偶さかの出逢いにて
響き合う
わたしの内は一時、
あなたに明け渡され
....
この生の一瞬が
愛しいという実感に
ずんと沈み込む時、
この意識の鮮明を努めて保持し
高く指を突き立て澄み渡る空に
ああ 擦れ違う人、独り独り
我々は皆同じ、我々は皆同じ、
....
ぬぼっとあらわれる
なみうつにくの
ずっとぐっとふかみから
なまみのかんしょくぬるり
ぼんぼんぼんずんずんずん
みすべのふちからあがったばかり
いつのひかいつのときか
あなたもいった ....
ぼんやりと
静けさにたたずみ
軒先から
雨滴、ポツリ ポッ
透明に落ち
痛む肉のわたしを包みます
遠い遠い故郷から
木霊するよな初冬の雨降り
冷気、奥まる意識を浸し
ゆるり、覚醒 ....
そろそろと痛み出した肉背負う
嘘はない肉は本音を吐き出して
冷え切った肉にお前なと問いかける
沈黙に
横たわって
いる
肉体は熱を持ち
沈黙が
横たわって
いる
遠い水平線を凝視し
空と海の光彩とうねり
鉛色の地が震え揺れ動く時、
静かだ
静けさ、重層 ....
今日も秋晴れ、青い空
過ぎ行く時に憩いたゆたい
高く高く打ち上げて
思い、すっと持ち上げて
還っていったあなたを思う、
ぬるぬるにまみれ青いビニールシートに
産まれ落ちた瞬間のおまえを ....
大地、割れ裂ける
独り人、逃れるすべなく
とどろく雷鳴に
四囲の壁、破壊され
恩寵、落ちて来る
ただ静かさ、開け
新たな次元、与えられ
直観される貴女の内面、 ....
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