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*一行物語とは 全体で「。」が一度だけ現れて、そこで終わる物語。短い。改行不可。ブラウザの表示の都合による折り返しは可。 一行詩不可。あくまで物語。 *例いくつか ・ふたりともついつい体に有刺鉄線を巻いてくるので、何度デートをかさねても抱き合うことがなく服を脱がせあうこともない。 ・幼馴染のふたりが年老いて死刑囚の監獄で再会し、一方が執行のために連れ去られる日まで、寝る間も惜しんで、幼年時代の出来事や故郷の風光を思い出しあった。 ・墓地から枯れた花束を盗んでくるたびに背骨が少しずつ湾曲してゆく。 飯田茂実『一行物語集 世界は蜜でみたされる』(水声社、一九九八年刊)より *他参考リンク Monk『おはなし 1〜50』 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=10872 天寿をまっとうし、極楽浄土に着いたが、ひとっこひとりいない。 きみのそばがいちばん落ち着くよ、と薄笑うと、彼女は「うどんは?」と言った。 目覚めて、朝食を食べ、昼食を作り、昼食を食べ、夕食を作り、夕食を食べ、朝食を作り、八年眠る。 草履を脱いで、Tシャツを脱いで、短パンを脱いで、砂浜に寝転がると、蟹が目の前を通り過ぎた。 「サボテンのトゲには『当たり』があって、当たりを抜いてしまうとパーンってなるんだぜー」、が祖父の遺言。 実家では、休日にいつも父と母がアップルパイを焼く、というエピソードは聞いた友人らを必ず驚かせる鉄板ネタなのだが、実家のある村ではりんごを神として崇めていることまではなんとなく言えない。 幸福に育った愛らしい娘が、ある夜、眠気を忘れて星空を見続けていたのだが、太陽はいつまでも昇らず、いつしか娘の瞳の中に納まっていて、娘が眠ると当然世界は闇に包まれたのだが、あらゆる音まで消え去ったのは不思議なことだ。 彼女が3Dめがねを外すと、握っていた彼の手が、クシャリといった。 ほんとだよ、を繰り返す恋人の話に、うそでしょ、と繰り返す彼女は、恋人が嘘になるよう、お祈りするのを欠かさない。 妻は、朝起きられない私がニワトリになろうと決意するのをみて、包丁を研ぎ始めた。 寂しい不平なども無く、信じていくことだけはできたんだと寂しさを信じさせられていく鬱病の、私。 イルカのイルカショーを見に行くと疲れたけれど、休むことにするとジャンプした水に祝福された。 疲れたのでお茶をし、団子を食べたが、胃には苦い。 私はもっと早くに死ぬつもりでした と川面を眺めて無理に笑っていた。 『後で泣きを見るセンサー』を投げてきた奴と友達になってから、一緒によく泣いている。 『寂しい街』に寂しがり屋がいっぱいいるが、それぞれは友達にならないので、区画整理がいらず市役所は暇だった。 嘘をつかれた子栗鼠が家出をしてもそこが栗鼠籠の中で、カラカラを回すだけだったらどんなに悲しいでしょうと思うとお母さん栗鼠はやっぱり嘘がつけなくて、いつかこの栗鼠籠から子栗鼠を出してやろうと企む。 魚とどぶ川を歩いてた油膜に、誰かの夢の水面に波紋を放しにいく。 何もないような手に幸運を見た恋をする。 茶碗に名前を付けて我が子のように可愛がっていたが、後で知った事にはそれは隣人の子だという事実であった。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 スレッドを新規に作成したり、コメントを書き込むにはログインが必要です。
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