現代詩フォーラム50選を発表し、わたしがたのしい。という企画です。
批評祭がずっと前におわっても、平気で大発表してしまいます。ラスト!
最後に、感想を書きました。最終行までお付き合いいただければ幸いです。
031
君から電話が来なくて重要なロックバンドが生まれる / 餅ヴィシャスさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=23847
カッコよさ+ユーモアの融合でしびれまくりました本作。
この作品もすでにレビューしていますが、外せないですね。
なにかをきっかけに爆発する物語。やっぱり好きです。
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=193073
032
祝福のおわった夜に / choriさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=10
自己愛につらぬかれているのに、不思議とにくめないchoriさんの初期作。
軽やかな語り口にのせて、ふたりの姿が鮮明に浮き上がるようです。
リーディングをされているからか、ひじょうにクチあたりのよい言葉が選ばれていて
リズムやテンポが口ずさむと美しい名作になっているとおもう。
033
ごらん、ゆうぐれる / みいさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=17732
語感の使い手といえば、みいさんは外せないでしょう。「ごらん、ゆうぐれる」
意味をスッキリすべて分かって愉しむという系統の作品ではないものの、
このたどたどしい特異な語感にはあらがえない魅力を感じるのではないでしょうか。
音読すると、よりいっそう言葉の選び方の妙がわかります。推薦。
034
sky / uminekoさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=48600
かならずどこかに気に入ってしまう言葉やフレーズを読ませてくれるuminekoさん。
読後の軽やかさ、爽やかさ、は派手ではないものの長く読み続けたい作者のひとりです。
本作は、9.11というむずかしいテーマをあつかっているにもかかわらず、
重たすぎず、かといって底の浅さなどは一切感じさせない、決意に満ちたすごい作品。
035
うさこ、戦う / 最果タヒさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=178483
でたー、最果さん。作品数は少ないもののえらばずにはいられないさすがの存在感。
なにかを比喩しようとするけれど、伝える意志をわざと途中で折ったり、横道にそれたり
決して中身が空ではないはずなのに、限りなく空にしてみせる「変さ」がおもしろい。
間違いなく表現力では抜けている作者ですが、それを露骨に誇示しない味わい深い一作。
036
飛光 / ワタナbシンゴさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=5050
これは気合いをいれてみなさん読んでいただきたい。衝撃作。
おぎゃあ。という赤ん坊の泣き声からはじまるこの作品。
原始的なまでの生命の力強さが強烈に叩き込まれていて、圧倒されてしまいました。
言葉で表現する。というのはまさにこういうものを言うのだと思います。凄まじい。
037
わたしのさみしさは / 浅見 豊さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=35091
この詩をみなさんにおすすめできてよかったとおもうぐらい、個人的に好きな作品。
「いとしくうまれ、いとしく生き、いとしく死ぬことを思い、生き」この部分に
ぐわーっと掴まれてしまった。切なすぎて、涙腺ゆるんでしまう。
他に「蛍光灯がきれて買いに行く日」なども隠れた名作。必見です。
038
そしてシグナルタワー、女子 / しもつき七さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=161719
タイトルからもうハイセンスな、しもつき七さんの「そしてシグナルタワー、女子」
ふつう使わないような奇抜なフレーズを、疾走する勢いにまかせながら、
それでも読ませてしまう強烈な腕力。根っこにたしかな文章力を感じる鮮烈な一品。
「ハイテク、とつぶやいて」の部分なんて、かっこよすぎるもんなあ。すごい。
039
ところで / みつべえさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=19009
伝説の「そろもん」シリーズ生みの親、みつべえさんの作品から「ところで」
この短さのなかで、ユーモアと味わいを込めつつ、なおかつ読者もつかむという
その研ぎ澄まされたポエム力は圧巻の一言。ほかに「凪の日」なども名作です。
毎日そろもんが携帯電話に送られてくるサービス。絶対加入する。
040
十三月記 / 嘉野千尋さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=27970
なんといっても、言葉のもつあたたかさが何より魅力的な嘉野さんの一作。
アクロバティックな刺激ももちろん最高ですが、さりげなく丁寧な言葉選びで
他者との違いを獲得している素敵な作品。エンターテイメントとしても優秀な
「幻視顕微鏡」や「海辺の詩集」など名作多数の作者です。
041
軽さへのあこがれ / 佐々宝砂さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=151410
最適な文体に最適な長さ。これは詩の基礎にして奥義である。というのは、
今、ぼくが考えた名言ですが、それをまさに体現するような作品。
これも以前レビューしました。
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=173862
何度よみかえしてもほれぼれするような無駄のなさ。
042
遠泳 / 砧 和日さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=87996
わたしの大のお気に入りの作者さんである、砧さんから「遠泳」。
あまりにも詩の内容と自分の経験がシンクロしすぎて、びっくりしてしまう。
そんなことが詩をたくさん読んでいるとごくまれにありますが、わたしは
この作品を読んでいろいろなことを思い出し「うぁぁ」とつぶやかざるを得なかった。
そのときのレビュー(
http://sundayworks.blog.shinobi.jp/Entry/11/)
043
断片集「幸せの庭」 / 簑田伶子さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=71265
断片集シリーズはどれもすばらしくて、贅沢な満足感にひたれるものばかり。
そのなかから「幸せの庭」をえらんでみました。1、3、5、6がとくに好き。
みのださんをRPG風にたとえると、MPが豊富な魔法使いという感じである。
「ドロップって 前世みたいなひびきね」なんて魔法だよなあ。素敵。
044
ポエムの国 / モリマサ公さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=56634
もう一連目からすごすぎるモリマサ公さんの「ポエムの国」。
はじめて読んだときは、意味をこえたところで衝撃を受けてしまった。
ひらがなの多さでかわいらしいようですが、毒を忍ばせてあるようなフレーズがあり
それがなんだかよいアクセントになって、深読みできる多様さにつながっていると思う。
045
かわいい匂い / チアーヌさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=20788
わたしは男なので、母性というものを知ることはできないわけですが、
今まで見てきたような、やさしくてあったかいだけのステレオタイプな母性ではなく、
どこか生々しい新しい母性像をこの詩で目の当たりして、腑に落ちたのを覚えてます。
あたらしい視点や視野を提示してくれるとても興味深い作品。ご一読を。
046
ペダル / ぬくみ りゑさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=144132
ぬくみさんは「エレクトロピカ」など傑作を多数輩出している作者ですが、
今読めるものも良作揃いで選ぶのになやみました。その中でも「ペダル」。
笑っていいのか一瞬考えて、いやいや、だめだ。とあわてて思い直したエピソードの破壊力に加えて、
自転車の描写でとどめをさされてしまいました。傑作です。
047
てん、 / はなさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=158197
女性の詩がつづいてますが、はなさんの作品も女性らしい感受性を
自由に表現しているところが素敵です。「てん、」はビルの屋上からはじまって、
はらはらする緊張感のなか進んでいくところがひきこまれる。落っこちちゃうよ。と
心配しつつ、最終行に「そうかぁ」と感情を動かされました。すばらしい!
048
六月の水球 / 佐野権太さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=186314
父と子の、いとしいやり取りが逆にせつなくなってしまう佐野さんの作品。
子供の無邪気さがこんなに真に迫るのは、ひとつひとつのシーンがとても、
吟味されているからでしょう。じょじょに人は成長していき大人になる。
「かなしみと折り合いをつけるやり方」の部分、響くなあ。名作。
049
chika / れつらさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=4952
れつらさんも名作多数ですが、なかでも「chika」は感情にくるものが大きい。
パソコンでゆっくりとスクロールしながら、一行一行をかみしめるように読むと、
4のハミングの、空白ですら意味を持つようになる。支離滅裂な解体された言葉さえ、
そこに感情を見出すことができる。とても、すばらしい。傑作。
***
ここまで読みとおした方は根性があるとおもう。おつかれさまでした。
全体を通しての感想を以下。
50選を作成中、えらぼうと決めていたあの作品、あの作者がない。ということが
けっこうありました。すでに書いていたのに、投稿前に退会。なんてこともあった。
そういったかたの作品をここで挙げることはとくにしません。
あと、ほんとうは入れたかった作品、作者のかたもまだまだいるのですが、これは
おいおいということになりそうです。
しかし、以前に投稿したレビューにも、どんどんリンク切れの波がおしよせています。
当然いろいろな事情があって、個人の自由なわけで「辞めないで、削除しないで」と
おしつけるつもりはありませんが、さびしいですね。
わたしがみなさんに伝えたいことは
「あなたの好きな作品も、ある日いつのまにか消えてくなくなるかも」ということです。
そういうときに、なにか感想を言葉にしてつたえておけばよかった。という後悔を
しないで済むなら、しないほうがいいとぼくは強くおもいます。
伝えたいことは、言わなければつたわらない。というのは、みなさん意外としらないので、
ツユサキの名言(笑)として心にとどめておくといいんじゃないでしょうか。
というわけで、以上です。ありがとうございました。
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050
It's up to you!! 50個目は君がきめるんだ! コメントに書きこむんだ! ポイントもするといいんだ!