断片集「幸せの庭」
簑田伶子
一.
春待ちゆびが
くちびるにふれて
かた
むね
こし
と
跳ねていく
抱きぐせがつくからだめよ
二.
ぱた ぱた
と舞う洗濯物を
清潔とするなら
しろくよごれていた
午後という午後
てのひらは対になっていて
三.
涙ガラスというのは砕いたときに
破片がこぼれていくみたいにきら
きらきらきら放たれていくのです
、ひかりと呼んでもかまわない
ジンジャーエールを川に流そうか
四.
さくらんぼのことを
さくらん坊といったのは
あなたのせい
夜桜
あいしてるをききながら
い抜き言葉 と
こっそりおもったのは
五.
夏の朝のような笑顔で
(愛について語るか
愛を語るか
愛す)
六.
ドロップって
前世みたいなひびきね
夕ぐれが悲しいのは
明白な事実で
それとは関係なく
あなたはうつくしい