君から電話が来なくて重要なロックバンドが生まれる
餅ヴィシャス
ドトールで女と待ち合わせ
といっても携帯時代
正確にはドトールで女の連絡を待っていたが
まるで、連絡が来ない
ドトール地下のライブハウスでは
メロコアバンドが「青春」について叫んでいるのが
なんとなく聞えてくるけれど
あいにくドトール向かいの肉屋のおっさんの方が
声もいいし、メッセージ性だって強い
「肩ロースが500円に値下げ!」やから
てめえの青春がどうのこうのって唄より
断然役に立つんだよコラ!
「青春」より「生活」なんだよコラ!
FUCK!(糞くらえ)
と思ったが
実際に人に糞を食わせようとした場合
それはスカトロといってあまりよろしくないので
屁でもくらえ! と心の中で唱え直して
地下のメロコアバンドに向けておならをした
が、あくまでもここは「ドトール」内なので
そのへんも考慮しつつ
ドトールのBGMと 肉屋の呼び込み
そして地下のメロコアバンドのサウンドが
一番、合わさった瞬間に紛れて
かわいく「ぷっ」としてやった
その瞬間
カウンター席に座っていた俺の隣りで
尻のあたりに顔が来る感じでソファーに深々座っていた
ものすごくやくざっぽいおじさんが
「われコラァ!」とシャウト!
9本の指で俺の奥襟をつかみシャウト!
キックボクシングでいう「チャランボ」の状態でシャウト!
いろいろ叫んではるわ
このやくざのシャウトも地下のメロコアバンドより良かった
こっちの方が断然迫力があるんだよコラ!
ほんまもんなんだよコラ!
FUCK!
とは思わない。緊急事態やもん。
しかしながら
現時点で、俺、肉屋、やくざの3人でバンドを組んだ場合
とりあえず、地下のメロコアバンドより売れる可能性が高いな
と、地下のメロコアバンドの将来性の無さに少し同情しつつ
自身のおならはかわいい音だった割に結構臭かったんだな
と、平素の食生活についても反省しながら
やくざの膝蹴りをトートバッグで凌いでいたら
肉屋のおっさんが仲裁に入ってくれた
初めて共鳴する
肉切り包丁
ドス
スタンガン
メロコアバンドの演奏はもう終わっていた
君からの連絡はまだ来ない