わたしのさみしさは
浅見 豊
夏、わたしのさみしさへ
はぐれた雲がひとつその影をおとしてゆきました。
青い空はわたしのものではなく
雲はしずかにながれてゆきます。
そのあわいかげにいつか はなの
しろいひとひらがあらわれ
いずこからともなく舞いそしてみずに浮かんできえるのを、
そのさみしげな姿がなにともなくただよいきえてゆくのを
わたしはそこに眺めていたのでした。
ただ
いとしくうまれ
いとしく生き
いとしく死ぬことを思い
生き
ひとよ
だからそこにいてください そして
そのやわらかなからだでわたしのさみしさをだいていてください。
わたしのさみしさは哀しいのでもなく
じれったいのでもなく けれど
みずのなかをただようはなのようで、
だからそれをかなしませないでください。