sky
umineko
あの日を境に
世界は明らかに下り坂に入ったんだ
たとえばさ
えらい人が逮捕される時ってあるでしょう?
あれね
時代劇の捕り物みたいに、突然いっせいに取り囲むってことは
実はないんだよね
まず
数日前、すくなし前日には電話がはいる
明日逮捕しようと思うんですけど 御都合はどうでしょう
って
それを知ってしまうと
もう
信じられなくなるでしょう?
それと同じで
あの日
崩落したふたつの影は
もっと違うものが
崩落した
あるいは
澄み切った青空に
湧き上がる白煙
壊れた窓から
無数に降ってくるオフィスの書類
つまり
文字は敗北した
青空に
散らばるしかなかったんだ
私は
だから
書くのをやめない
私のことばが紙くずとなり
たとえ
青空の下に散っても
見上げている
青空に散らばった無数の白と
壊れた窓から
手を振る 影を
私は
ここでずっと見ている
なんのために?
そんな風に聞かれたら
たぶん
私は答えるだろう
明日
空を飛ぶためだ