冬は突き放すような抱擁
軽くドレスの裾を振るだけで
白い吹雪が真昼を閉じ込める
冬は火傷するほど冷たいキス
サイドミラーの氷を指先で落とすと
風の中 君の声が聞こえてきた
子どものころ ....
私は穴ぼこだらけ
のそのそと歩きまわり
山の斜面にぼろぼろ突き出た粘土を掴んで
くにゃくにゃ捏ねて
ちぎって少しずつ穴ぼこを埋めていく
何だか安心する
舗装された山 ....
今日のTシャツは白です
嗚呼 おっかあのカレーが喰いてぇ
今日の下着は黒です
嗚呼 田舎に帰りてぇ
月の青は涙の青 青青青 青
何もかも、失ってしまった。
そう思えてしまった時には
自分の手のひらを、そっと開いて見てほしい。
確かに、その手のひらには何もないけど、
だけど ....
星をみたくて
夜風をすいたくて
みんなシーンとしたくて
使命感だけが
ほのぼのと燃えていた
哀しくてなみだより
胸のいたみより
息ができなくなった
....
探していた?
なにを?
鉄の味を
どぶのかたちを
骨の軋みを
探していた?
甲州街道に
サンタクロースたちが
冷えた夜を
道行くひとの
....
旅のおわりをかんじていた
あなたと
向かい合っていたら
一対のカップと湯気のむこう
あるいはガラス窓のすぐあちら側の世界
あなたの考えていることが
いちどでもわかったなら
....
きょうは月よう日。絵本教室の日だった。
夏休みも、もうすぐおわる。あんなにうるさく鳴いていた蝉も、けさはとても静かだった。おかあさんは朝からいそがしく洗濯していたから、わたしも手伝うことにした。 ....
かなしみを知る人の瞳に
映る光は
美しい矢を描く
夜を知る人の瞳に
映る光を
星と呼ぶ
いつか必ずなくなるさだめの
命もまた
美しい矢を描くだろう
天涯のあちらこちらに
美 ....
日曜日の夕方
群青色の冷たい空
閉じ込められたような
地平線の端がじわりと燃える
正解がないのは
どの道を選んでも同じ
世界を美しいと思うのは
積み上げられてきた
歪な歴史 ....
騒めきを静めるように
掻きならす
腕にたくさんの糸をつないだ
はずだった、気づけばほつればかりで
抱かれた幻想に惑う
声すら届きもしないのにこんなにも
頼りない宛てに頼るなんて
美し ....
今日も待ち針を刺す
心の縁に
ずれないように
歪まないように
一針一針
ゆっくりと
ただまっすぐに縫いたいだけ
私の心の裏側に
注意深く
ちくりちくりと
針を刺す
明日は真っ直ぐ ....
子狐のきょうだいが じゃれあっている
とんで
はねて
おって
にげて
まちぶせして
かみついて
雪を蹴散らし
狩る者の本能を
喰われる者の宿命を
疑似体験をしている
思い切り ....
夕日を行く
東京の西の町を行く
選挙でまた
ひとはいっとき
応援する先を替えてゆく
その移り気と盲信のお祭りに
70年まえ
アメリカと戦った日本を見る
夕日を行く
つけ麺ジャイア ....
佛具磨いているアーメン
121216
臓器売買のニュースが流れる度に
余裕のある人達が居るものだなと思う
肝臓も腎臓もだいじな臓器だから
だいじに扱わなければならないのは言うま ....
121216
斜めに細く引かれた線を
蜘蛛が引っ張ったように煌めかせては
まるで天国模様だと僕は思う
ギラギラした太陽があっという間に沈む季節には
....
凍えた体を温めてくれと願ったのは、あたいの罪
躊躇なく温めてくれたのは、あなたの罪
そんな罪を、微妙なあたいたちは愛とよんだ
だれかが来たのかもしれない。わたしはイチローのあとを追いかけて、玄関のドアを開けてみたけれどだれもいなかった。イチローは玄関の前のしろい郵便ポストのうえに、すばやく飛び乗ると、ほそくて長いしっぽをま ....
この曲は アフロ・キューバンのリズムで
と 演奏の方の解説を聞き 苦笑
アフロ・キューバと 聞き間違えて
詩にまでしてしまった
でもアフリカのリズムである事はあっている
いや別に 勝気 ....
おそらく僕の知らない
無数のははがいたのだろうと思う
まあ今も昔も聞いたってこたえないだろうが
母の遺品を整理している
書道用具
浦和のなんとか堂とかいうところで購入した
....
沈黙の惑星は
能弁なのかもしれない
その星の水際にはとりどりの
言葉の端くれが堆積しているという
それを採集することが
盲目の考古学者たちの日々の務めなのだという
中央の大陸に ....
早朝の散歩で
ふと、こちらに合図した
草の露に宿るひと粒の太陽
それがこころの鏡なら
一体どんな思いを
反射して
私は歩いてゆくだろう――
きょうは街が
青く繁っている
角じゅうに発生する
感情を食べているので
三時になったら
たばこ屋の角を曲がる
ひとつの体を
なんとか動かそう
雨がふっても
きっと曲がろう
....
夜
すべるような肌のうえで
銀色はしずかに鳴り
あなたの呼吸とおなじ間隔でふるえながら
ありもしない幸福に
触れることさえできる
朝
目を覚ますまえに君は
降りつもった時間を
....
パトレミスの海岸線のうえ
対岸の樹木のかげうっすらと
水辺より空はかすかに白ばみ
薄青のそらをうすい雲がすぎて流る
エレナ・マイヨールは農場にのこされた機械のかげを
すばやく片づけられた部屋 ....
冷蔵庫に忘れ物がいっぱい
梅田さんと 佐藤さん(17歳〜27歳の女子2人組)
『 サンタさんになりたい 』
佐「あんな、私、サンタクロースになりたいねん」
梅「なんやの、いきなり」
佐「12 ....
詩は傷みです
あなたとわたしの間で
血が流れるように
空白を引き裂いた文字です
詩は苦しみです
あなたとわたしが共に
吐き続けたように
空白に汚れたままに散らかした ....
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