向日葵がすっくと一本
お天道さまにごあいさつ
わたしも真似てごあいさつ
きょう美術館でシャガール展は観なかった
美しい青が踊り
悲しくなって微笑んだ
僕は僕の人生とミスマッチしている
一人の時にだけ呼吸する
奇妙な半魚人だ
夏に生まれな ....
どの道も
少し進んだところでたち消える
草原の三叉路
生い茂る草は風の方角に
倒れては起き上がる波
恋慕い
探し求めたものを見失い
(つまり触れ得た事のないものの喪失のあげく)
....
パチンと弾けとんだ
洗濯バサミ
ひらいて、はさむ
どんなに風の強い日だって
あなたがいいというまで
ただもくもくと
しがみついてきた
のに
繰り返されてきた
しごく簡単な仕組みが ....
太陽のしたり顔を避けて
君の水辺へ下って行きなさい
蜉蝣の翅のように影を透かしながら
夏の斧で頭を割られるその前に
美しく人目を避けながら
地下のカフェへ逃げ込みなさい
壁画を歩く蛇の ....
著作権は著作者の死後五十年を経過するまでの間、存続する。
(著作権法 第五十一条 第二項)
死んでも背負(しょ)って、あるくものだと思ったか
だれ ....
あんパンを頬張る
午睡のなかでぼくは
とうめいな壁になっていた
どこか遠いところから
木魚の澄んだ響き
井戸の水に棲むたくさんの微生物
午睡から醒めてぼ ....
冬の蛇のように
ゆるやかなとぐろを巻き
光たちはもう、
眠りに落ちてしまったから
わたしは雨の音だけが
心を満たしていてほしい
歌をうたうくちびるのよう ....
あした多分死なない
多分の確率は活断層みたいなもんだ
そこで地震が起こったことがないから
活断層じゃなくて
たんなる断層なんだというだけの確率だ
きょう訓練を受けてあらためて後悔した
俺は ....
雨が車窓をたたいています
だから明日そちらは雨でしょう
月曜の深い夜のさびしさに
ぼくは子供の頃を思い出します
てるてる坊主ゆれています
灰の心が雨にたたかれています
....
私は孤独を愛する
静けさに 怯えながら
私は世界を愛する
この手で 汚しながら
私は自分を愛する
鏡に 閉じ込めながら
私は友を愛する
その富を 妬みながら
....
身体のなかにわだかまっているものたちが心を刺す
なんだかチクチクして気色悪いのだが我慢する
もういいさ年貢の納め時だと何かが言ういや違うと別な声もする
人間はこうやってせめぎ合いながら生きてゆく ....
悲しいから嘘をつく
しばらくじっと
あなたの顔を見つめていたい
理由など聞かないで欲しい
悲しいと嘘をついてしまうから
気圧のせいかな
悲しい悲しい
気圧 ....
なんだか知らないけど子供四人と嫁さんがくるみたいだ
自分の子供ほどの歳だがまあいいか
なんとなくずるずると付き合っていた
あんまり恋愛感情も無かったしただ子供達が懐いてくれただけさ
まあい ....
あおい穂がよそぐ水の表を
(それは音楽)
ちいさな円が浮いては消える
(それは音楽)
見えない命がそこにある
(それは音楽)
おたまじゃくし ....
燐光のような蛍の光が激しく錯綜して
魂も混ざるように
交錯して仄かな灯火となりて漂う
十字架の丘で祈る者よ
忘れてはならない
たとえ食事を採る時も
たとえ眠りにつく時も ....
そんなもの
いつの間に出来たのかな
自爆放置は
相手への敬意
そんな
あたり前の距離感でなく
いつの間に
きずな
うまれていたのだろう
自爆は当たり前に
しらん ....
天の川見上げて泳ぐ真夜中のプールの底は銀河の途中
全部シモネタに聞こえている
子に差しのべた腕からは
女の斬られた両腕からは
水が滴った
血でなく間断なく水が
滴り落ちた
空に差しのべた腕からは
男の斬られた両腕からは
樹が生えた
蛆でなく際限なく枝葉が
....
穏やかな
朝の何処かで
キジバトが鳴いているけれど
耳で
探しかけてすぐやめる
どうでもいいじゃないか
そんなこと
美味しい
朝の何かが
芳ばしい匂いをたてているけれど
....
誰も知らないひと。
誰かが傍に居ることを知らないひと。
隣で話しているひとが誰なのか知らないひと。
周りのことを知りたくもないから、知らないひと。
自分が誰なのか知らないひと。 ....
時代に迎合したものは
腐食しやすい傾向がある
二十世紀以降は特に足が早い
あなたがガスオーブンを被り
光速ロケットに乗ったあの日から
世界は五十歳ほど老けた
だがあなたの詩は瞳のように ....
電磁波はタイムスリップしているという。
相殺されなかったクォークは未来から電磁波を引っ張ってきて調和しているのだ。
クロノスタシスとそれは似ている。
この原理をつかえばタイムマシンは ....
生きてりゃ
色んなことがあるよねぇ。
割合的にはね、嫌なことの方が
若干多いような気もするけれど
僕らは、そういった嫌なことに遭遇する度に
“リセットボ ....
だせばふつうな
おいらのよわさ
ちちんぷいぷい
ちちんぷいぷい
あまえたいけど
そんなことしたら
だせばふつうな
おいらのよわさ
ちちんぷいぷい ....
口には出さなくとも
目つきで解る
軽蔑の刃
四角い花壇の隅を汚す
ゴミを捨てたのは誰
落とし主は現れず
誰も手を汚したくない
でも傷つけずにはいられない
だか ....
眠るまえと
眠ったあとの
あいだ
同じ宇宙を
よだれが流れていった
トキエは泣いている。薄暗い納戸の奥の、
紅い鏡掛を開いた鏡台の前に座り、泣きなが
ら化粧をしている。「おかあちゃん」幼い私
はトキエに纏わり付いて、その名を呼び続け
ている。戸外から蜜柑 ....
絶対的な漆黒に支配されながら
もう消えてしまいたい、と
泣き続けた夜
だけどそんな闇でさえ
萎え始める瞬間がある
私の意志とは関係なく
朝は必ずやって来るのだから―
地球が営みを辞めな ....
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