スパイスと宝石の匙で
耳を穿られる

《誰の膝が欲しい?――

頭の中から始まる旋回舞踏
透明な花びら 光彩のミスト 
すぐに船内の浴槽が揺れるよう
隠れた海が押し寄せて捲れだし
突 ....
一冊の本を収めるためには
大きな空間が割かれなければならない
一冊の抱懐する情報の連なりは
本そのものの行為の空間として
潤沢な広がりを要求するから
すべての本の必要とする空間を ....
指さしをするよう
誰かが泣いていた、場所を
孤独を落としたままの在処を

甘く過ぎる歴史が
引きずってきたものを剥がす
ことばにすぎないよう

私が誰かだったりした、瞬間に ....
「おーい おーい」
と誰かが大声で呼んでいる
ドラッグストアの狭い通路

こんな時 こんなところで
大声で呼ぶ声なんぞ
知らない人に決まっている
振り返ってはろくなことは無い
と知 ....
空に落ちたんだ
空というよりは
底なし沼だった
どろどろ溶けた
空気がまとって
少し空気抵抗が
かかってたから
ゆっくりそこを
あしでかきわけ
はじめたけれど
ずっとまえか ....
私、他人が好き
いつも、知らぬうちに近づいてきて
指を摘んでそっとひと言、
ご機嫌いかが?

これであなたに会うのは最後だろう、
と悲しい言葉も浮かびます

そんな事を考えて、一瞬で蒸 ....
群っていう字は君の隣に羊がいるね
名前に羊を持つ私たち二人は
未年に群れをなし干支ひと回りするうちに
何も変わらないことなんてあるわけがなくて

私の名前は父がつけてくれました
ゴシック体 ....
たどりつけない浜辺に
たどりついたものが
ひとり花を詠んでいた
たずねてもたずねても
花は
名のることはなかった


花の後ろの絵を
忘れた
はじまる前の
世 ....
  丘にぽつんと咲きました

  海が少しだけ見えます

  キミの声が聞こえてきました
  耳を澄ますと
  キミの指に摘まれました


  カーテンの隙間に
  ボクをかざると ....
 港町を照らす外灯が昨日の過ちを優しく包み込む。
 日ごと繰り返される真夜中の徘徊に彼は意識を組み込もうとしている。
 苦しみは土着し、天を仰げば悲しみに満ちていた。
 振り向くと死が彼の背 ....
見上げれば桜花の天蓋
わたしは樹の下の死骸
たたかいに敗れねむる
幾千の同胞と共に
春の梢に再会を誓い
散っていったものたち
空の眼窩が見つめる先に
真白き桜花の天蓋がある
     きらきらと
     ひかる星たちかくしもち
     きみは泣く
     ちからのかぎり
     きみは泣く
     まっすぐに
     ひたむきに
     た ....
フリーマーケットにはまさかフリーダムは売ってはいないが
団地の夏祭りのフリマに無職の37歳
嫁に食わしてもらっている松岡君と出店することにした

家に眠っている書籍が主体で
売り上げの半分は ....
             濁りを澄ました
   女性の立ち話が さざ波を打っている
     梅雨明けの 蝉しぐれのなかから
 
      近くの広場からは 時を忘れて
わらべの甲高い嬌声 ....
           ――D.K.へ

あなたは穏やかな光の輪を、都市の人々の瞳の裏側から見つけ出しては、一つ一つ連ねて一冊の純粋な本を作った。始まりも終わりもない劇のクライマックスで、錯綜し ....
僕にとって今最も重要なイメージは、暗い星空の中を真っ直ぐにふわりと落ちてゆく灰白のクジラの死骸です。胸鰭は空気に押されて持ち上がり、細かな屑をその身から剥離させながら、そうしてそれらの屑よりほんの少し .... 馴らされた日々に漂ってくる
なにげないコーヒーの匂いに
ふっと 救われるときがあるのだ
どんな舟も決して満たすことのなかった
完全な航海を ゆっくりとわたしは開始する

宇宙を辷るひとつの ....
真理を見たのです
燃えて輝く光を
そうして心は石と化し
硬く刻まれて死の使者となりました
冷たい墓石のセールスマンが
来世を高らかに謳うように


ある日ミミズが降ってきて
声のよう ....
木影に影を重ね 静かに見送る 
蟻たちに運ばれて往く
ことば 肉から零れ落ち

    熱い 取っ手を掴んだ

わたしは夏に生まれた
きっと夏に死ぬだろう
光の色彩が教えてくれる

 ....
いっちょまえに
子(娘)が親(母)に意見(もんく)をいう
いっちょまえに
子の方が稼ぎが多くなってきた――

一緒に道を歩いていたら
いきなり娘に腕を掴まれた
「なにするん?」
背後か ....
季節は停まったままなのに
何かの遷移があったかのように
すべてが熱にうなされ
憂鬱の涙が豪雨として流れる
世界のどこかで木の葉が青らんだ
それだけの微細な亀裂が
瞬く間に感染し ....
「とある作家が自殺した後、
その作家が住んでいた部屋から毎晩、酷い油の臭いがした。
隣人たちはそれを理由に、ついに家賃交渉で大幅な値下げに成功した日、私は産まれた。

私は自殺した作家 ....
何かに咬まれた指を握り
真昼を渡り海岸に着く
砂浜には紙を追う鳥
波と共に現われ消える


海沿いの径に車は無く
皆ひとりひとり歩いている
砂の丘がつづいては途切れ ....
ナニ、か、腐った臭いが立ち込める部屋で、老女が横たわっている。毎日堆く詰まれていくソレらに、埋もれて隠れたモノ。老女が自分の背中のジョクソウと、タオルケットとの間に挟み込んだモノ、が生きたまま腐ってゆ .... 長い雨のレースを開けて
六月の陽射しが顏を出す
反射して散らばる子供たち
ビー玉みたいに素早く駆けて

ひとり離れて
シロツメクサを編む
首の細い少年

意識されることもなく
満ち ....
遺蹟

奈良の友人の結婚式に列席したついでに
飛鳥の遺跡を畏友のK士と巡る

石舞台
酒船石
猿石
高松塚古墳

でも駅前で立ち寄ったうどん屋の
出汁がしっかりきいて品よくかるく ....
だれかが
冷たいという
雨にぬれている

だれかが
優しいという
雨にぬれている

わたしは
ひとりでぬれている

まわりには
傘をもたないいきものたちが
なにも言わずにぬれ ....
 絶望のたゆたう夜空に黄緑色の言の葉は寄り添い、
 音楽を友として今まさに昇天しようとする魂よ。
 君のその美しい羽はなんであるか。
 此岸より望む大河の流れに身を任せるのか。

 ああ ....
絵画的恋愛物語

偶然の出会い 

必然の別れが訪れるページに挟んだ 栞

必然の待ち合わせ 15時33分

道路に架かる白い梯子の向こうで

手を振る しおり が立っている

 ....
美術展巡りが趣味だから招待状は珍しくないが、無の絵画展とはからかわれたものだ、初めて訪れた会場は歴史的格式もある重厚なホールだった

高い壁面は淡く白く、波打つことを拒絶しながら横にどこまでも続い ....
宣井龍人さんのおすすめリスト(2601)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
音楽の効能- ただのみ ...自由詩16*15-8-1
図書館- 葉leaf自由詩415-8-1
群がる- かんな自由詩6*15-7-31
「おーい_おーい」- イナエ自由詩15*15-7-31
女の子ったら- 瑞海自由詩5*15-7-30
他人が好き- 水素自由詩515-7-30
群がる/即興ゴルコンダ(仮)投稿.58- こうだた ...自由詩6*15-7-29
めぐり_ひつぎ- 木立 悟自由詩515-7-28
オール_デイ_ロング- ひさし自由詩715-7-27
横浜港にて- ヒヤシン ...自由詩6*15-7-25
花かんむり- 高原漣自由詩1*15-7-25
きみの星- 石田とわ自由詩14*15-7-24
フリマの夏- 梅昆布茶自由詩1315-7-24
老いの演繹(九)- 信天翁自由詩215-7-24
報告- 葉leaf自由詩215-7-24
独白- dopp自由詩315-7-24
夜のサテライト- 伊藤 大 ...自由詩615-7-24
律法- ただのみ ...自由詩14*15-7-22
消失の夏術- ただのみ ...自由詩17*15-7-20
【_いっちょまえに_】- 泡沫恋歌自由詩16*15-7-20
- 葉leaf自由詩415-7-20
群青色におはよう- よるのま ...自由詩215-7-19
青と音- 木立 悟自由詩315-7-19
けむる、浄化- 為平 澪自由詩615-7-18
六月回廊- ただのみ ...自由詩25*15-7-18
遺あるいは- 梅昆布茶自由詩1415-7-18
水のなか- 朧月自由詩415-7-18
夜会- ヒヤシン ...自由詩11*15-7-18
栞(しおり)- 佐白光自由詩1*15-7-18
無の絵画展- 乾 加津 ...自由詩6*15-7-17

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