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線が
思惑に触れて角度を変える
その鮮やかな反応
点々と落ちる
幾つかの俗情を振り払い
歩き出す私たち

今日もまた
背の後ろで翻った背に
声を掛けることさえできず
握り締めた ....
二十もしたの女にあらゆる猥褻を注いでいる

女に命令をする

女に触れずに女をいじめる

人工衛星から夜の日本を見つめている

青いバイブがふたつの穴をほじる

日本がライトアップ ....
空港に来たのは
会いたい人がいるから

友達は皆先に相手を見つけて
残されたのは私一人

私の目当ては人気者で
大勢のファンに囲まれていて
ふさわしくないと思ったから
声も掛けずにそ ....
色素のない目で
晴れた日を煮ている
寒い日でも
ビールを飲んでいるのは
腐った体の中で
黒い陽が
沈もうとしないからさ

分厚いパーカーを
スタジアムジャンパーの内側に着込んで
 ....
力を籠め
直角を形作る釘を抜く

秋の初めの陽射し
うっすらと汗をかき
 N釘 和釘 五寸釘
 丸釘 ステープル
 亜鉛鍍金(めっき)の太め釘
あらゆる釘を抜いてしまう
すると匣(は ....
 
 
熱帯植物園の温室に
雪が降り積もる
さっきまで君と話をしていた
多分、話をしていた
メリーゴーランドの馬たちが
干し草を食む
クジラが次のバス停を目指して
暗い海を航行する
 ....
首を垂らして歩けば
私の影で縁取られた道路が見える
雨上がり、ミミズが這い上がって
そこいら中でダイイング・メッセージ
無性に腹が立って
傘をぶん投げる

私のこと、好きになってくれよ
絶望があるのと同じように
希望も存在する

楽しみが永遠に続かないように
苦しみも永遠に続かない

人生を希望の方向へ
希望の方向へと
向けていきたい
太陽に向かうひまわりのように
 ....
忙しそうな街を
60年代のジャズを聴きながら人波に乗る

風の無い街に人は似合わない

行き交いが生む風で人は活きる

その中で私達は生きている

風は吹いているか?

その中で ....
友達と遊んで別れてひとりきり
空はとっぷりと日が暮れて
すっかり遅くなった帰り道

お家に帰りたくないよう
きっとお{ルビ継母=かあ}さんに叱られる
きっとお{ルビ継母=かあ}さんは怒って ....
最近はほとんどの時間を
記憶を食べて過ごす

口に含み
よく噛んで飲み込む
そして、
次の記憶を口に含む
板46まい
釘まあまあいっぱい
サランラップいっこ
ネジ4つぐらい
蝶番4こ
ドライバー、マイナス、プラス
ガムテープ
のこぎり1こ、みんなで5こ

幸せには

これくらいあれば ....
1限の講義は起きた時には終わっていた
2限の講義は遅刻してまで出たいと思わない

何となく携帯電話をいじっていたら
絶好のタイミングで彼女から着信

出るの早いねってそりゃそうだ
ちょう ....
けたたましい音で
強制的に手に取るはめになる
iPhone
壮快ないたずら電話
壮快で軽やかないたずら電話


けたたましい味で
強制的に涙するはめになる
トウガラシ
壮快なトウガ ....
陸橋に佇む豚がこちらを伺っていました
以前どこかで会った気がしたのです
毛並みに見覚えがありました
豚と目が合い 気まずい思いがよぎったので
そそくさと その場を後にしてしまいました
豚の目 ....
まどろみの中で

あなたの体温を感じる

猫みたいに
ちょっと足先を
太ももの間に触れる

気がつくと
あなたの脚に足先は絡んでいた

胸に置かれた
右手には
あなたの左手が ....
ロケットが突き刺さったあの丘は
今日も明日も照らされたまま
火星人の去った夜に
一人泣いているモニタの少女
差し伸べられた手は
もう何万年も前のこと
そんな時からディスプレイで一人
ロケ ....
僕にとってはどうだっていい
人間が思うことなんて
言葉もなく 流れた
詩には いつも
目的など ないだろう
垂れ流されるだけ
頭痛をもよおす
暗い部屋の ノートの上に
寂しい言葉を書い ....
お腹をこわした程度で、と思われるかも知れない
健康には全く気を遣わず
「夜中に食べるからジャンクフードは価値があるのだ」と
チーズのたらふく振りかけられたハンバーガーを嗜み
それでも今日までこ ....
人の会話がクルクルと
風に混ざって私を取り巻く

見えない心は
見せない心は

どこに舞っている

忙しく通り過ぎる感情の歯車に
私の心は振り回され

疎外感だけが
心を支 ....
つながれっぱなしの犬がいる
中型雑種茶色の犬だ
散歩してるのを
一度も見たことがない

コンクリートの駐車場の中
小さな犬小屋で暮らしてる
動けるのは鎖の長さだけ
その空間の中で
お ....
私はひとみしりだから
貴方はシャイだから

なかなかことばを交わせないね

たまたま目が合ったその一瞬に
私は貴方にたくさんのことを伝えようとしているけれど

私は目がわるいから
貴 ....
一つの石があった
河に投げた
波紋が広がった

一人の人間がいた
思いのたけを投げた
波紋が広がった
真昼の目蓋の裏は

オレンジ

上映まで

もうしばらく

お待ちください
本は絶対に怒らない先生
解らないのを怒らずに
読み返しさえすれば
何度も根気よく教えてくれる

だけど絶対怒らない代わり
間違っていても正してはくれない
それは生きている先生じゃないと
 ....
(変態のパート)
  誰にも知られず
  傍に近づいた
  一方的な恋なら
  嫌われもしようが
  ああそれでもいい
  君ひとすじ
  誰よりも誰よりも
  君を愛撫す

(被 ....
  一台のテレビがゴミ棄て場で
  ずっと雨に濡れている
  その画面の
  モノクロームの砂嵐の奥に
  きみの分厚い唇がうかびあがり

   散文で語ってください、
   散 ....
薄絹の衣を纏い 緑の髪を櫛梳り
蒼き唇に 朱の紅をさす

青磁の香炉 紫煙立ちのぼり
伽羅麝香 甘き獣の匂いに包れる

萌黄の胸に 恋情を抱きしめれば
一途に慕うは 愛しい男だけ

 ....
わたしが
波になるから

あなたは
なみうち際になって

いろんなものの
死骸が
流木のように
なめらかにうちよせる

そろそろ
語り合うのは
おしまいにして

あた ....
狼が疾風となって駆けるのを
ぼくはただただ見送るばかりだ

(ぼくには強靱な脚がない)

狼が鋼となって獲物を狩るのを
ぼくはただただ見守るばかりだ

(ぼくには牙がなく爪もな ....
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