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火葬がいい
わたしを構成していた炭素原子はリサイクルされ
その二酸化炭素が空へ散布されるのだから
いつものように散歩道を歩いていた
散歩道の上を どこまでも 一人だったけれど
2つ目の駅を過ぎていく時に傾斜を少し越え
そして 角のコンビニの雑誌に触れ
また 私は行くのだろうと思う そ ....
見つけられないものを探している
とっくに失くした何かを
例えば棚で眠っている本に挟まって
頭を覗かせる封筒
歳月に黄ばみ
だが秘められた部分は青白く
ほのかに
呼吸して
机の上で宛名を ....
脚の細い象の背中で
ユラユラしている私の
広すぎる糊しろは
饐えた臭いを放っていた
何も企てない午後を
ユラユラ生き延びた私の
丸すぎる背中には
錆びた罪が生えていた
心地 ....
窓から覗く森がまだ霧に包まれている朝、
僕は一人静かに部屋を出る。
森の木々から聞こえてくる鳥達の囀りが、
昨夜聴いていたベートーヴェンの弦楽四重奏曲の余韻を少しずつ消してゆく。
....
かんがえてみる
あなたの肉にうまった
あなたの背骨のこと
となりにいながら
月面のように遠い
わたしたちの午後
手を握る
頷き わらいあう
影をみつけて
光を逃がす
吸わな ....
くずれた均衡
その静かな吸引力に
はく奪されるわたしたちの人格
キュビズムから滅びの兆しを嗅ぎとる、影の
わたしたちが歩く
男女の別なく
客も、客引きも
リードの犬と同じく
たっぷりし ....
笑ってほしい
人がいるので
私は笑う
元気を出してほしい
人がいるので
私は元気を出す
私より淋しい
人がいるので
会いに行く
耳を傾けてくれるので
他愛ないおしゃべり ....
160219
うんこらしょ
いつもの掛け声がします
それを合図に我が家では
テレビのスイツチを入れます
朝のニュースが見られます
タイマー付きのテレビってあったかしらと
....
カニの脳みそなら
酒のさかなにもってこいですが
私の場合、紙の脳みそなので
ぺらぺら、すかすか
シワひとつないのです
誰かが何かを書き込もうとしている
真っ白な紙に
紅ズワイガニの絵 ....
爪先で
地面をタップする
日常にひそむショートカット
生きることに憧れる
若いというエネルギーが
エコモードへと移行する日々に
時代へのアイコンを作りだす
流されていてもいい ....
藁葺きの小屋であれ
コンクリートのビルであれ
その四隅にはたぶん、
柱がある
その柱の向こうは、果てがなくて
やがてどこまでも丸い大地を離れ、成層圏をぬけだして
宇宙という名の空間をゆくこ ....
光と冷気が青い燃料だった
破れた財布から千円札を出して
印鑑ケースとノートを買う
郵便局には月に一度往く
記憶喪失の犬みたいに
今も雪原から突き出している
枯れ果てた雑草を見ていた
夏の ....
120216
絵の具を全部混ぜたら
何色になりますかと
先生が尋ねたので
暗い灰色になります
と答える代わりに
空色になりますと
自信たっぷり回答したら
×が付いてき ....
週末に作った
不味いカレーを食べる 私
トワイニングの 紅茶を 何杯も飲み
その香りの中で物思いをする
五反田に住んでいた頃からだった
何か作っていた レシピを検索しては
歯医者の検診 ....
トイレで赤い卵を流したあと冷蔵庫から野菜ジュースを取り出そうとして
玉子を床に二つ落として割れてしまった。かろうじて玉子の形をとどめた
まま中身は放り出されなかったので、フライパンで割れた玉子を溶 ....
花粉も埃も取り去った無菌室で
くらしていますが
危険はどこかに潜んでいて
いつも隙をうかがっているのです
みがききぬかれた手すりが
不思議なことに
摩擦をなくしていたり
すべらないゴ ....
あやういわたしは
だだをこねたところで
やはり、あやうい
『ママは怒ると頭からしょっかくが生える』
と姪が言いだした。
『しょっかく?』
思わず聞き返すと神妙な顔をしてうなずく。
....
ここに旗はない
風に弄られ立ち竦むのは
他の何者でもない
東も西も南も北も
微笑んでなんかいない
ただ巡る風の音が
埋まらない空白を告げている
ここに旗はない
足跡は辿らない
....
なんとなく
気配を感じて振り向くと
君は精一杯まん丸い目をして
じっとこちらを見つめていた
一番好きな映画の
一番良いシーンを横目で追いながら
僕は君の真っ直ぐな視線に負けて
し ....
米を研ぐ
それは繰り返される日々の儀式
手のひらにあたる米粒はかたく
米どうしがぶつかりあい
じゃっじゃと音をたてあう
このかたいひと粒ひと粒 ....
わたしは
粒で出来ている
粒は
かなしみも
ぜつぼうも
知らないまま
ただ
あたえられた時間を
あたえられるままに
はずんでいた
ときおり粒は
とどこおる
たとえば寒い ....
まばゆい光も届かない
みどりの風もそよがない
暗くて冷たい土の中
眠る一匹のへび
春の調べをなんときく
小鳥たちのさえずりか
隣で眠る種のうずきか ....
小学校入学するとき、文字を知らないわたくしに父が氏名だけはひらがなで読めるように教えてくれた。(ついでに、’を’も教えてくれた念の入れようだった。親は有り難いものだ。)
持ち物に名前を書いて、自分の ....
なんの魂胆かしらないけれど 鬼って悪い奴じゃなかったよ
たましいにも ふたつある魂と魄って書くんだって
どうやら 魂は精神を支えていて、魄は肉体を支えているらしいよ
どちらにも 鬼がいるよ ....
遥かに広がる大海原に自分の心を摺り寄せてみた。
波の揺らめきは私の魂の鼓動と相まって、
心地良くもあり、息苦しくもあり。
気がつくと私は泣いていた。
人はみな悲しみをその心の ....
白い都会の硬い土塁の中
あなたが灯をかかげれば
わたしは虹を灯す
遙かなやまの森の中でも
あなたが歌えば
わたしもさえずる
海の彼方の小さな島で
あなたが跳ねれば
こころは ....
愛し合っていたのだから
奈落の底まで堕ち溺れ
ポッカリ共に浮上
ソンナコトも
出来たハズなのに
一人だけ先に逝ってしまうなんて
また哀しみ打ち寄せる 広い病室 独り夜
ビニールテントのテラスから遮断された人と人
店の中でこじれる男女の恋愛騒動が綺麗に片付くころ
会社のやり方が気に入らない中間管理職同士のマグカップは
同じ濃さの苦さで話をかき混ぜ 飲み干すこと ....
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