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タンスの引き出しを開ける
中には冷たい水族館がある
死んだミズクラゲが二匹、三匹浮いている
私は係員ではないけれど
係員であるかのように網ですくい上げる
これをどうしようか思っていると ....
みずすましが
水を滑る
虫の比重は
水より軽い
あなたの舌が
私を滑る
あなたの声は
水より軽い
あなたの中に
潜ろうとする
私の比重は
水より どちら
あなたの浅 ....
世界中の積木が音もなく崩れ始めた頃
特急列車の白い筐体が最後の醗酵を終えた頃
口笛を吹いていた唇がふと偽物の嘘を呟いた頃
少年から剥がれ落ちた鱗は一匹のアキアカネとなって
ハーモニ ....
みかんをむいて父に食べさせると
ぼくはみかんではないのに
お礼を言われた
咳をするしぐさが
父とぼくは良く似ていた
植物に無関心なところも
石鹸で洗う指先の先端の形も
他 ....
傘のない世界で
きみに傘の話をしている
小さなバス停に並ぶ他の人たちも
そぼ降る雨に濡れて
皆寒そうにしている
ぼくは傘の話をする
その機能を
その形状を
その色や柄の ....
もずく酢しかない部屋できみは
なくならないもずく酢を
ただひたすら食べ続けている
そんなきみの背中を掻いてあげたいのに
きみには掻くべき背中がない
それよりも前に
ぼくは夕 ....
ぼくが遺書を書く
きみがそれを紙飛行機にして飛ばす
そこかしこに光は降り注ぎ
そこかしこに影をつくっている
紙飛行機が草原に不時着する
文字の無い白い翼のところを
蟻が ....
もっと簡単にあなたを愛したい
複雑な手続きなど経ることなく
もっと簡単に
もっと簡略に
僕は僕の皮膚を越えて
外に出て行くことはできない
僕から出て行くのは言葉
それは様 ....
光が蒸発していく駅舎
待合室の隅のほうで
一匹のエンマコオロギが
行き場をなくしている
他に行くところのない子供たち
髪にきれいに飾られた赤いリボン
鼻から伸びているチュー ....
キッチンで君と二人
こんにゃくをちぎっていく
娘は一人、二階で
静かに宿題をしている
こうして手でちぎると味がよく染みこむのよ
君が母親から教えてもらったように
僕は君から教えてもらっ ....
このこんにゃくを探しています
家族同様に可愛がってました
見かけた方はご連絡ください
という貼紙が電柱にあった
家にあるこんにゃくに良く似ていたので
書かれていた住所のところ ....
スタンバイ、夕暮れ。涙はぬるくなり、あな
たは融解する。手遅れになる前に、手を、届
けられぬままに。言葉は無い、書き起こされ
る文章の中で、葉は散るように。ここは、規
則正しく揺れる箱の中だ。 ....
こんにゃくの降る街を
君と歩く
手をつなぐのは
二人に手があるから
理由はそれだけでよかった
子どもたちが積もったこんにゃくで
だるまを作ろうとしている
それは無理なこと ....
どこかの外れのような野原に
ひっそりとメリーゴーランドはあった
白い馬にまたがると
むかし死んだ友だちが背中を押してくれる
メリーゴーランドがきれいな音楽とともに
ゆっくりと回り ....
手紙を出す用事があって
エレベーターを待ってる
扉が開く
エレベーターの中が
こんにゃくでいっぱいだったので
乗らずにに見送る
あんなに沢山のこんにゃくを積んで
あのエレベー ....
こんにゃくを買いに出かける
いつものスーパーでは売り切れだった
少し遠くのスーパーでは見つからなかった
少し遠くの別のお店では
こんにゃく以外のものならあるのですが
と残念がられ ....
静かの海に来る前に、晴れの海に寄ったんだ
月の海、そうこの大きな穴ぼこ、クレーターは月の内部から湧き出してきた溶岩で覆われている
僕の銀色の船についている小さな窓からのぞいていると
ちょうど灰色 ....
砂時計の砂が落ちていく
のをあなたは見つめている
すべての砂が落ちてしまうと
黙って逆さまにする
一日がその果てしない繰り返し
あなたにとって時間の単位とは
どこまでも続く ....
上り列車の中を
下り列車が通過していく
線路脇の草むらでは
無縁仏となった墓石が
角を丸くし
魂と呼ばれるものの多くは
眠たい真昼の
些細な手違い
ひと夏を
鳴くことで生 ....
泡の中に階段
階段の突き当たりに崖
飛び込んでごらん、ウールだよ
と言って
飛び込んでいく民兵たち
砕け散ったポケットの中に
鉄屑
こぼれ落ちた鉄屑の雫で
埋め尽くされた野 ....
夜半から降り始めた砂が
やがて積もり
部屋は砂漠になる
はるか遠くの方からやって来た
一頭のラクダが
もうひとつのはるか遠くへと
渡っていく
わたしは椅子に腰掛け
挨拶を忘 ....
ハワイは1年に3cmずつ
日本に近づいてるんだって
と君がいう
うん、いいね
とぼくたちは笑う
9才の君が
どんなに長生きしても
せいぜい3mか、そこら
それでも
いいね、とぼく ....
{引用=月の無い空に踏み出した
僕らの星が降る
綺羅星よ、名も無い僕のカタルシス 溢れるきみの瞳を舐めれば
吐く息が溶けてきらめくこの町の 空を見上げるまなざしのおと ....
僕たちが狩りをするのは
生き残るためだったはず
いつのまに
狩りをするために
生きていることになったのだろう
などと僕たちが
思うはずもない
僕たちは今まさに
狩りをしているのだか ....
◯
青い、窓は6時台、大きめ自動車/の過ぎる音、宅配、動き出す鳥たち、
短いリズムで返答、背中に抱えてる物差しを長考、
誰を、誰が始めたっていいだろう、次の行く先では、誰だって、夜に、いなく ....
遺影と目が合う
私がまだここに在る
万年筆と腕時計の
青青とした言葉の繁みを
刻みつつ書いて行く時を
その者は、見守っている
いまもなお続く道を。
視線は歩む
心の遺伝子を携えて
....
{引用=
鉛色の風が
立ち竦む香りをわたしの額に浴びせる
(さざんか さざんか)
嘘つきたちの赤い舌びらが
一面に敷かれるこのアスファルトの上に
膝をついている、足を汚している
....
レモンドロップと
夜の闇
そこを裂いてゆく
クラリネットの高い響き
五線譜がからまったような
電線の群れを越えて
かぐわしい音色
跳躍し
飛 ....
十二月の
さみしい水の底から
きみのささやきに
耳を澄ませる
ふるえる感情の
ひとつ ひとしずく
その波紋
その不自由
どうして人は
急ぐのだろうね
日時計の影が
伸び縮 ....
不可逆な時間を恨む、物置の隅にある
四角い箱に心臓を入れた
ことを忘れた、欠如した感覚の数える
時間の経過が雨をポロポロと、降らす
岬を越えていく、嘴の長い白い鳥の
羽が一枚一枚 ....
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