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【マルボロ】

かあさん あのね わたしがうまれた世界って
本当の本当は しろい正方形だったのでしょう
そこはとても清らかな場所だったのでしょう?

エタノールで消毒した 清らかな ....
 
 
白線の内側に下がってお待ちください。

白線は自分で引いてください。

内側と外側は自分で決めてください。

白線の外側を
一匹のシオカラトンボが横切っていく
軟らかくて
 ....
 

雨が花の形を整えていく
わたしたちは共通の言葉で話し
共通の言葉で
触れるべき場所に触れる

民家の前にぽつりと置かれたバス停で
傘を差してバスを待つあの二人は
親と子なのだろ ....
 
 
光は屈折し
やがてその先端は
壁の末期へと続いていく

何かあってはいけないので
あなたは洗面所で
数を数えている

川幅の狭い橋を渡ってきた、と
わたしは告げ
手を握 ....
 
 
砂でできた掌が
記憶の水に
崩れていく
そしてそれを受け止めようとする別の
掌がある
赤茶けた鉄路は
臨海の工業地帯へと続き
大きくカーブする
その付近で
群生する草の穂 ....
五月の橋の上で
生まれ変わったら
何になりたいと聞かれた

ねことか
とりとか

雨の日の林の中の
きのこ
なんてどうかなあ
ぷつぷつとうたうたう
春の腐植の土たち
立ち上がろ ....
 
 
ページをめくる
本の中にたくさんの
文字が落ちている
こんなにたくさんの文字を
いったいどこの海から拾ってきたのだろう
時刻表を見ると
海行きの最終列車はもう三分ほど前に
近 ....
 
 
卵に言葉を教えた
教えた言葉を
卵はすべて覚えたけれど
口がなかったので
話をすることはなかった
雲が形を変えながら
夏の空に消えていく
わたしが生まれてから
何度も見たそ ....
 
 
門のところにクラゲが大量に発生していた
透き通ってきれいな形をしているのに
触手に毒のある種類なので
外に出ることもできない
裏門から出ようとしても
この家には裏門がないし
裏 ....
 
 
先生はもう液状になって
黒板の海を
白墨で汚している

本当は海の生き物たちが
みんな住んでいたはずなのに
僕の皮膚には朝から
いろいろなものが刺さって
痛くはないけど
 ....
 
 
世界の果てに
ベッドがひとつ
ぽつんとある
父が横になっている
わがままばかり言って困る、と
母から連絡を受けた僕が
その隣に立って
父を怒鳴りつけている

親に向かって ....
公園の水たまりが
薄くひらいて
境界線が
ゆらいでいる

記憶も

楽しかったこと
寂しかったことが
薄くひらいて
たとえば
晴れた日に
振り向いたとき

もう
あなたは ....
 
 
習ったばかりのルートの記号を
少年はノートに書きました
丁寧に書いていたはずなのに
最後に記号は壊れてしまいました
わずかな隙間から覗き込むと
自分が幼少時を過ごした町の海が見え ....
 
 
桜の花びらに見えましたが
それはお墓でした
とても小さな墓石でした
とても小さな人が
入っているのだと思いました
ところどころ緑に苔むして
たしかにそれでも
桜の花びらに見え ....
 
 
ぬめぬめとした悲しみが
晴れた空から降っている
ものとものとが擦れ合う音や
ぶつかり合う音が記号のように
いたる所にありふれている
スクランブル交差点を渡る人々は
無秩序な足取 ....
 
 
鳥かごの中で
小さなキリンを飼ってる
餌は野菜だけでよいので世話が楽だし
時々きれいな声で鳴いたりもする

夕焼けを見るのが好きで
晴れた日の夕方は
日が沈むまでずっと西の空 ....
 
 
学習机の上で勉強されているのは
パラジクロロベンゼン

パラジはパラダイス
クロロは苦労人
ベンゼンはベンゼン大使
みな、一様に春を待ってる

勉強しているのは
ナオミキ ....
 
 
軟らかな自転車に乗って階段を下りる
ハンドルが人の手みたいに生温かく汗ばんでいる
階段の下には民家と民家に挟まるような形で
小さくて細い劇場がある
切符売場で数枚の硬貨を出すと係の ....
 
 
61
 
窓口で明日のことを聞く
明後日のことはわからないと言う
 
犬の尻尾を握ったまま
数日が過ぎた
 
公印の刷り込まれた
きれいな色の証明書が届く
 
 
 ....
つぶやく、と、言葉が
僕をポケットにする
だから何でも入るし
ピアノだって上手に弾ける
ピアノを弾くと父はだんだん丸くなり
丸くなった背中を母が高く馬跳びする
着地したところはす ....
 
 
クラゲの夢の中で
わたしは一輪のタンポポでした
ぽかんと風に吹かれて
空を見上げているばかりでした
タンポポさん、と幼い声で
男の子が手を振ってくれました
わたしには振り返すた ....
 
 
雨上がりの軒下で
兄はひとり
シュレッダーになった
わたしは窓を開けて
要らなくなったものを渡す
最新式なのだろう
やわらかな音と振動で
兄は細断していく

ダイレクトメ ....
 
 
僕の中で爆発する
バクとハツ
バクは奇蹄目バク科バク属に含まれる哺乳類の総称である
ハツは架空の人物、性別は女、推定年齢七十歳前後
幼少の頃、本家から分家に養女に出される
分家の ....
 
 
明日晴れたらさ
勝浦に行こうかな
仕事なんて休んじゃってさ
海が見えるよ
朝市だってあるよ
そんな時間には
着かないかもしれないけれど

外房線に乗るんだ
上総一ノ宮行き ....
  

深海魚の朝
濃くなる陽射しが
少年とベッドとの境界線を
徐々に明確にしていく
窓を開けると
雨上がりの観覧車と
同じ匂いがする
生まれてくる場所を
間違えたわけではないと思 ....
回ることをやめた
ライン
過程と工程の
限りない
狭間で
先端で

血小板の
ひとつひとつまでもが
記憶している
置き去りにされた
メモ書きの表面がたてる
微かな音を
 ....
身体が温かくなる
身体が柔らかくなる
私は自覚する、
私の挨拶を
葉の裏をスカイ
色をした特急列車は走り
指からの分泌物で
私は窓ガラスに
ひとつだけの
さよなら、を描く
そし ....
 
 
横隔膜、という膜がある
橋の上を歩いているときに
初めて知った

何かの香料の良い匂いがしていた
早く帰りたかった
知っていることが増えて
もっと上手に嘘がつけると思った
 ....
 
 
夏の正午に駅が沈む
誰かが思い出さなければ
なくなってしまうかのように

向日葵が咲く、その近くで
若い駅員が打ち水をしている
息づかいは聞こえなくても
肩を見れば呼吸をして ....
 
 
深夜の冷たい台所で
古くなった冷蔵庫が自分で自分を解体していた
もう冷蔵庫であることに
いたたまれなくなったのだ
時々痛そうにはずしたりしながら
それでも手際よく仕事を進めていっ ....
望月 ゆきさんの自由詩おすすめリスト(2609)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
マルボロ- るるりら自由詩26+*10-6-18
白線- たもつ自由詩1110-6-12
抜け殻- たもつ自由詩2210-6-6
- たもつ自由詩10+10-6-5
穂先- たもつ自由詩610-6-2
五月の流れる水の上で- オイタル自由詩9*10-5-27
会釈- たもつ自由詩710-5-20
夏の雲- たもつ自由詩22+*10-5-12
- たもつ自由詩1310-5-10
水を買う- たもつ自由詩1210-5-6
世界の果て- たもつ自由詩23+*10-4-30
拡散- umineko自由詩4*10-4-29
童話(波音)- たもつ自由詩1210-4-10
童話(おやすみなさい)- たもつ自由詩1710-4-5
都会- たもつ自由詩610-4-4
鳥かごのキリン- たもつ自由詩2510-3-29
パラジクロロベンゼン- たもつ自由詩510-3-22
劇場- たもつ自由詩1010-3-19
「その海から」(61〜70)- たもつ自由詩510-3-14
ポケット- たもつ自由詩1010-3-11
童話(タンポポ)- たもつ自由詩1010-3-9
名残- たもつ自由詩810-3-8
爆発- たもつ自由詩810-3-5
勝浦- たもつ自由詩1110-3-1
朝の場所- たもつ自由詩8*10-2-28
ライン- たもつ自由詩410-2-27
指先- たもつ自由詩710-2-26
香料- たもつ自由詩510-2-24
秘密- たもつ自由詩910-2-21
手紙- たもつ自由詩2510-2-16

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