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献血に行ったら
貴方の血は夕焼けなので
輸血用には使えません
と
断られたことがある
16歳の頃の話だ
『血液奇談』
今は何の因果か
私は血液職員として献血車に乗り ....
百万本の薔薇
咲きほこっている
そう言ったところで
それが造花であることをあなたは知らない
一匹の狼が 肉をはんでいる
そう言ったところでしかし
その肉が何の肉か
あなたは知らない ....
猫のいる家は{ルビ密=ひそ}かな契約の匂いがする
猫を飼うときには年季を言い渡すきまり
人の家に長く居すぎると
{ルビ猫又=ねこまた}になってしまうのだ
こどもらが自分の部屋を持ち
夫婦だけ ....
やりたいことがあるならば まず目標を定めて
自分の棚卸をしなさいと
本に書いてある
棚卸とは会計で使う言葉で
自分が何を受け取ったのか
自分が何を支払ったのか
自分の元手は何か
自分の返 ....
流すというよりは
こぼれるという感じ
涙が線を
引いていく
まるで上から下へ
潤いを運ぶ川のように
一筋の流れがかすかに伝い
(ぽ、と)
....
紅葉の気配が深くなった
山の端も入れず
ただ 高くなる青の中に
馴染めないこの身の
煩わしさを
どのようにして
拭えばいいのだろうか
右端から赤とんぼ
群れをなし
やがて青に融け ....
しがうまれたころから
ぼくらのことばはこきゃくだいいち
あまごいしてあめがふらなければ
ぼくらはころされてきたのだから
いちばんゆうめいなひとのなまえくらいしってくれなきゃ
おまじ ....
山里深く
美しい女が独り
淋しく庵を結んでいるとの噂を聞きつけ
伊達男や
誇り高い益荒男どもが
我こそはと
鼻孔をうごめかせつつ尋ねて行ったが
その度に女は
こんなときを ....
壁に塗り込められてしまった!
この近在では、向かふところ敵無しの大やもりの俺様が、あらうことか漆喰の中に閉ぢ込められ、身動きがとれなくなってしまった。
このボロ家に迷ひ込んだのが運の尽きだった ....
あなたにメールをおくったあとは
ねこのさかな
ぼくのけいたい
ぎゅっとにぎってつかれちゃう
から
ゆかにおく
しばらくしたら
ぼくはせいざ
けいたいに むかって
のぞきこんで ....
佐々木好(ささきこのみ)って、知ってますか?北海道出身のシンガーソングライター。急に思い出して、ネットで検索してみたよ。
するとね、ちらほらヒットはするんだけどさ。でもたとえば楽天などでも、タイ ....
魔王は 生まれるだろう
余人の吐息を嫌って選ばれた修道院の建つ
青空のように堅い岩塊の園から
誰もが逃れられぬ「人称」を彼もまた大気に放ち
口伝えの反復に摩耗したイコンも
魂の生き延びる道を ....
父の日に夢を見た
§
大地震があった
私は、すぐには故郷に帰れなかった
車も電車も無い
やうやく故郷に帰ると、或る男がかう言った
あんたの家は無いよ
全部盗られちまった ....
今朝、校舎の前で
無口な少女を見た
目が合うと
少しだけ笑って
そのまま自転車の
静かなスピードで
追い越してった、八時十五分。
無口な少女の
名前を知らない、
先生が出席をとっ ....
満月ぽっかり
いや
ぽっかりじゃないな なんだか
もっと
おろーん
満月おろーん
いや
しかし
おっきいなあ今夜のは
なんだかおまえに食べさせたい
イグアナに
イグアナの ....
岩木山の
奇妙に底抜けた反射が
冬の林檎樹を
切り絵の風景にする
小泊に向かう一本道のそばで
その昔、十三の湊が
あったという
巨きな黒鏡が夜を
地吹きの中で待っていて
ため息を飲み ....
の丘に
咲いたダリアの一輪の
唇の頬のうなじの太ももの蹄鉄の
隠された場所の
の丘に
びっしりと生えそろう数億のダリアの一輪の
唇の頬のうなじの太ももの
暴かれた場所の
の丘
....
ママンが僕を殺しに来る
大きな拳銃を手に
銀色の拳銃を手に
小奇麗な喫茶店であなたは突然の告白をする
「俺って童貞なんだよね」
人生の先輩である貴方は
どうしてそんなに悲しい眼をし ....
教父が恐怖した歌を聞きながら
アパートのベランダ三階から視える宇宙、スバル散開星団が胸中に宿り
踊る蛇のLSD 林檎を取るイブの子孫、虎の息吹く徒ライブの
マドリガル、窓から覗くガルーダの眼がダ ....
いちばん
すぐれた楽器は
わたしたちの耳である
どんな音でも
鳴らすことができる
もっと
すぐれた楽器は
わたしたちの心である
どんな音でも
きれいにすることができる
....
その舌の根の
乾かぬうちに
あやしく
くるしく
はじまる わたし
ホット・ペッパーください
く、くださいませんか
クーポンついてますから
剥いたブルー・チーズですから
まだ、だ、でしょうか
え、駅前のあなた
く、くだい、ってば
というより、ください ....
きよらかな恥辱を
浪費して
おしまいに
わたしよ わたし
薔薇と咲け
それは
濡れた樹々の梢に透かし見た
緑の扉
明るい庭先のその扉を夢見る
光と影を刻み憧れにたたずんで
あるいは移り変わる街の喧騒の中に
待ちくたびれて
人知れず錆びついていたあの扉
そ ....
まっていたおもいすらする懐かしい驚きは
鼻の奥から桃の実の香をともなって
額のさきへとつきぬけふきだした
馴染みぶかいあの痛苦のみなもと
乳白と鮮赤の漿と沫がまじりあい
桃色の滴となって地に ....
先週教室のみんなで飼っていた「リス」が死んだ
死んだというか「窓」から逃げたのだ
クルミを食べるときに動くほっぺや小さな歯
かごの中を走ったりしているときの爪のかりかりする音
たいそう人気者の ....
ホントの詩を語りに
風のなか 集まろう
みんなが いっせいに
この指 つかんだので
ぽっきり 折れちゃった
「樹を」
折れてゆく私の直線をめぐって溶け出す樹々、の泳ぐべき海の直線。泳ぐのは海、ひらくのは海。樹の斜線は海を分解して新しい樹々の斜線を生産する。いくつもの遠さに囲まれながら樹はかわくのをやめない ....
手をつながない
なかよくしない
月のうらがわを
のぞいても
とびこんだりしない
あそこのT字路に行きあたると
追突注意の看板があるんで慎重に横切ってください
と
交通整備しているお兄さんに早口で言われます
もしかして
牛
もしかして
太ったおばさん
もしかして ....
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