すべてのおすすめ
暑中お見舞い申し上げます
今年は母さんの新盆だから
せめて墓参りにくらいは帰ってきなさい
父より
追伸
そういえばクロがおとと ....
白鳥は冬の渡りの鳥
"冬の白鳥"
なんにも不思議なことはない
けれども白鳥は夏の星座
南十字とともに
銀河鉄道のもう一つのステイション
北の十字
冬至間際の日 ....
ましかく な
雨
つち の
少し 上
ころっと
笑ったの
沈む
柔らかい
折り畳まれた
船
流れる
朝
ひ
ルビーロウカイガラムシに寄生し、殺す
ルビー赤宿小蜂の生態を観察することは
体操の技、コバチを見ることよりも
大切なのかもしれない
あれっ
お客さんも うそ をお探しですか
うちはもともと まごころ屋 なんだけどねえ
ええ いいですよ
お代の方は 必要な時間だけ
お客さんの寿命で払っていただきます
軽い ....
スケッチが好きでした
絵画ではなく
スケッチが、
という人でした
鉛筆が好きでした
絵の具ではなく
鉛筆が、
という人でした
それなのに
画用紙は、嫌いだ
という ....
自由になりたい
自由になりたい
っていうのが
口癖だったわけ
そしたら朝起きたら
翼がついてたわけ
そりゃもう嬉しくてね
飛びましたよ
ぐるぐる
ぐーるぐる
で ....
思いきって体を展開
次のうち正しく人体となる展開図はどれか選べ
ア
イ
ウ
エ
の中に答えはあるのか
さらに思いきって
らせんを分解
写真1のヒトを示す遺伝子の正確な塩基配列はどれか ....
バスケットコート
ゴールネットは木枯らしに揺れていた
とどきそうな気がして
ジャンプした
もちろんいつもと同じゴールネット
とどくわけもなく
きっと中指のもうひと関節ながければという距離で ....
黄色いまだらな生き物は
首を伸ばして
鍋に盛られた青草を食んでいる
青草には黄色い花ものぞいていて
ぎざぎざの葉っぱなど
なかなか新鮮そうだ
黄色いまだらな生き物の故郷 ....
自動販売機に 百円いれて
みんなで同時にボタンを押そうと
あの娘が言った
あの娘はオレンジジュースの前
僕ら8人の小学生は
それぞれ適当なところに立って
いっせいのーで
ミルクセ ....
ボートから転げ落ちて溺れた
一人目の男は
すぐに飛び込みすくい上げてくれた
ボートから転げ落ちて溺れた
二人目の男は
携帯電話で助けを呼んでくれた
ボートから転げ落ちて溺れた
三 ....
あんちゃん大学出の新人か
ゆくゆくは幹部やな
まあ研修期間は「ご安全に」やな
あ〜
かっこ悪う
そんなピチっとした作業服にするさかい
ちょっと踏ん張っただけでケツが破れてまうねん
ま ....
ある人はいう
空がくらくなるのは
日が眠るときに
よく眠れるように
空があかりをおとすからだ
と
ある人はいう
空がくらくなるのは
日がさるときに
次に会う瞬間を
空が恋こがれ ....
(十八歳のノートより。走り書き。)
整然と暮らす人々への激しい憎悪
違和感が劣等感でしかないことを理解して私は身悶えた
一時もここにいてはならないという強迫観念
しかし他にいるべきところもない ....
みんなおらっちのこと
さんらー
ってよんでるけど
おらっちはもっとちゃんとした
せいとく
っていうかっこいいなまえがあるのに
でもかんじはかけないからさ
さんらー ....
お姉ちゃんが
こまぎれになって
道路に落ちていた
わたし
ひきずる
お姉ちゃんの右腕
ずるずるとひきずって
「はやく帰らなくちゃ」
アスファルトに
右腕が描いた
赤 ....
笛の音
振り返らない君には
耳鳴り
笛の音
振り返るばかりの僕には
聞こえず
笛の音
誰もが通る道をただ歩いて
行くだけ
笛の音
....
おれは見たい、
赤錆びた鉄塔の頂きに
鳥のように爪先立って
人影のなくなった都市を見たい
きみとだ
おれは見たい、
太陽のとなりに炸裂するもうひとつの太陽の誕生を
塵からつくられ ....
譲治は
転んでもすぐには泣かずに
ひざ小僧の痕を
ひとつふたつと
数えていた
数えているうちに
血が滲んできて
滲んでくる血を見ているうちに
お婆が寄り添ってきて
....
あてもない夜を歩いていると
石門だけが残った丘の門番に出会った
夜も長いので空の話を聞かせてくれ
という ので
十二番目の石から昇る太陽について
ありったけの知っていることを語ってみた
そ ....
悲しみは忘れた頃にやってくる
悲しみの上にも三年
悲しみ盆に返らず
千里の道も悲しみから
咽喉元過ぎれば悲しみ忘れる
悲しみの悲しみによる悲しみのための悲しみ
....
本島中部の小学校で よくあるように
高台を開いた土地に建てられていました
二年生の教室だけは校庭をはさんだ東側に
平屋建ての校舎でした
その校舎の裏に緑の小さな森山(ムイ) ....
{引用=ヒバリの声}
天気の良い休日
芝生に寝転がると
無造作に配置された
数基のパイロット・プラントに吹く潮風は
いつも違う声を響かせた
石炭液化システムは
あの頃の技術研究の ....
値段はおいくらですか
空から澄んだ声がする
木の葉が静かに舞っている
晩秋の並木道は
人通りが無いのに
かさこそかさこそ
賑やかな気配がする
値段は、
いくらでも構わないのです
....
サイレンが変なメロディつけて鳴っていて
校舎の窓にほおづえついていると
校庭ペンギンが
横目でこっちを見てる気配
すべりだいの隣のやつ
昨日ノリちゃんが
すべりだいの時にパ ....
夕焼けの頃)
机の上、広口ビンの透明な壁面には
「真空」と書かれている
私はただ、じっとそのビンを見つめているだけだった
あなたはそんな私を若かったのだと笑うだろうか
あるいは、 ....
踏んだ
二度、踏んだ
違う
全然、違う
今、キリギリスの話は全然していない
自分の名前がついてるとも知らず
いわしは
雲を見ていた
自分の名前すら知らないままに
その赤く染まるのを
君とアリス・ドライブの途中
蒼い森の入り口で白い車の息があがった。
僕は
車のボンネットを開けてしたたかに朝の蒸気を浴びる
ナビ・シートでは彼女のソウルが
コールタールの音をたてているんだろ ....
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