夕暮れ 
いつもの通学路で少年は 
独り咲いている 
紅い花をみつけた 

家に帰り 
父と別れた母に話すと 
「 毎日水をおやりなさい 」 
と言うので、次の日から 
少年はいつも ....
日中の忙しさからすっかり静まり返った 
午後九時過ぎの特養老人ホーム

入院先で亡くなった 
Y爺さんの{ルビ亡骸=なきがら}が入った棺桶は 
施設内の小聖堂に運ばれた 

いつもはほと ....
嵐のあと 
歩道に{ルビ棄=す}てられた 
ぼろぼろなビニール傘 

雲間から射す日射しに 
一本だけ折れなかった 
細い背骨が光る 

あのような 
ひとすじの {ルビ芯=しん}  ....
今オバァちゃんが食べ残した
お頭付きの鯛が天に昇っていきます
片身が無いので泳ぐ事も侭ならず
さりとて
昇っていくには
残った片身が重過ぎて
潤んだ瞳を
ますます潤ませ
静かに ....
東京で暮らすために
新宿に降り立った日のことを思い出す
長旅、といってもたった半日だ
タンクトップをねじるくらいで
音楽をつめこんだ鞄を
肩に食い込ませ
その日を酒を探して歩いた

福 ....
丘の上の{ルビ叢=くさむら}に身を{ルビ埋=うず}め 
仰向けに寝そべると 
空は、一面の海 

宙を舞う 風 に波立つ 
幾重もの{ルビ小波=さざなみ}を西へ辿れば 
今日も変わらぬ陽は ....
「 生れ落ちた その日から 
  へんちくりんなこのかおで 
  わたしはわたしを{ルビ演=や}ってきた 」 

という詩を老人ホームで朗読したら 
輪になった、お年寄りの顔がほころんだ。  ....
残業の仕事につかれて夜道を歩いていると、
遠い空の下にいる君の声が聞きたくなり、
携帯電話を持たない僕を、
闇に光る電話ボックスが声も無く呼んでいるようで、
僕は今夜もガラスのドアの中 ....
珈琲店と書かれた看板の奥で少女が泣いているわ
あれ何て季節
グラデーションが眩しくて夕闇が澱んでいて
あれ何て季節

店に入ろうか
そうしたいのは山々だけど
僕らには
金がない

 ....
どうも!
かくれんぼで鬼になったのはいいが。
百数えている間にみんなに家に帰られた事のある。
そんな日の夕焼けが目に沁みて仕方なかった僕がここにいます。


どうも!
当たりつきのアイス ....
鼻毛出てるよと言われた。
まあいずれにしろ出ていたので善しとした。

体調の悪そうな亀みたいと言われた。
まあいずれにしろ亀は好きなので善しとした。

あなたっていつも煙草吸ってるねと言わ ....
『ヨーイドンッ!』
した瞬間に全力でこける。
全力出した結果なので正解。
でも後ろの人に後頭部を踏まれたので不正解。

『グチョッ!』
新品の靴で吐き捨てられたガムを踏む。
他の誰かが踏 ....
あなたの髪に触れるしずくは
花びらのように
キラキラと咲いて散っていく

あたしもそんなふうに綺麗に映ればいい

住み慣れたはずの町が
やけに他人行儀に感じた
折れた傘が
歩道の脇に ....
暁の一瞬

星達が地平の先に落ちて

僕ら鮮烈な赤を見る

スタートの合図 瞬きすら出来ずに

世界が僕らを焼きつけて

日常のフレームに収めても

掌の星は逃がさないで

 ....
黒カラス。
ゴミを漁りて世を乱す。
僕の出すゴミ見向きせず。
嬉しいような。
悲しいような。

階段で。
予想以上に足が出ず。
脛を打ち据え悶絶す。
疲れているなと慰める。
老いた ....
ちちとことせいれいのみなにおいてあーめん

幼い頃は弁当箱を開くと呪文のようなあーめんが現れた
まざーが見下ろす屋根はちいさな囲いに睨みをきかせ
あーめん 指を組まされる

チチトコトセイ ....
冬になれば夏に焦がれて
夏が来ると冬に焦がれる
そんな自分勝手な君を見るのも 
なんだか良くて

ポケットに隠してつないだ左手が
ひんやりと冷えた君の手に僕の体温を伝える
手袋をして ....
その ほほえみは 生理と いわれる

世に 生まれ 立った きみは まだ 3箇月

歓喜の 波が 寄せる と “ にこ ” と わらう

ときどき 声が 洩れるのは 成長が こ ....
裸足で しるされた やはらかい 足跡に

さらさらと 波が 水を しみこませてゆく

その消滅の a・b・c(ア・ベ・セ)たちの

静かに 弾けあがってゆく モノフォニーの
 ....
病窓の 最後の 一枚の 葉っぱ

とは ちがう 美しい まだらな 編み物の

精緻な 空間が 午前の ひかりの なかで

なごやかな シラブルに 響くのを とおく 聞いた

 ....
 




   膝をたたみ 目を伏せて
   思い出すのは
   折りたたまれた空に見つけた夏のかけら
   黒髪が 風を誘った雨上がり

   わたし ここで猫が飼いたいの
 ....
Porterさんのおすすめリスト(729)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「_青い如雨露_」_〜薔薇と少年〜_- 服部 剛自由詩14*07-3-8
「_遺体の顔_」_- 服部 剛自由詩10*07-3-8
「_壊れた傘_」_- 服部 剛自由詩13*07-3-6
天に昇れば- 川口 掌自由詩19*07-3-4
新宿はさようならと言った- soft_machine自由詩23*07-3-4
願いごと_- 服部 剛自由詩15*07-2-28
「_透明人間_」_- 服部 剛自由詩16*07-2-23
また一つ、愛が終わった。_- 服部 剛未詩・独白7*07-2-22
長いお別れ- 黒田人柱自由詩807-2-18
どうも!そんな僕がここにいます。- もののあ ...自由詩45*07-2-14
まあいずれにしろ。- もののあ ...自由詩43*07-2-3
正解と不正解。- もののあ ...自由詩21*07-1-25
置いてきた傘- ku-mi自由詩16*07-1-18
『暁』- しろいぬ自由詩307-1-17
笑って生きてそしていけ。- もののあ ...自由詩24*06-12-26
アーメン- soft_machine自由詩14*06-12-22
ラブソング- 蒼依自由詩906-12-9
エンジェル・スマイル- モーヌ。自由詩18*06-11-29
ろまん・こみっく- モーヌ。自由詩10*06-7-18
詩人の日曜日- モーヌ。自由詩15*06-5-26
落下する、夏の質量- 嶋中すず自由詩4705-9-11

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