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小さい頃 
目の前に立ちはだかる 
でっかい親父と向き合い 
パンチの練習をした 

額にあてられた 
ぶあつい手に 
視界を覆われ 
打っても打っても届かない 
小さい拳 

 ....
わたしはいつも欠けている 
あなたもいつも欠けている 
欠けた互いがむきあうと 
こころのさびしいすきまには 
風のふしぎが吹きぬけて 

別々だった 
あなたとわたしは 
ひとつです ....
「 誕生 」という地点から 
「 死 」へと結ばれる 
一本の糸の上を 
わたしは歩いている 

頼りなく両腕をひろげ 
ひとりきりのサーカス小屋の舞台上を 
よろよろつなわたる道化とし ....
数日後 
フランスへ旅立つ友の 
亡き母親の面影を 
就寝前 
闇の天井に想い浮かべる 

「 わたしがほんとうに 
  求めるものは、何でしょう・・・? 」 

胸に手をあて念じ続 ....
うつぶせに寝る 
一週間分疲れたからだを 
ほねつぎの先生は 
大きい手の親指で 

 ぐぃっ ぐぃっ 

とのばしてくれる 

「 マッサージしてもらい 
  すじがのびると 
 ....
椅子の並んだ暗い部屋
映写機の背後に立つ人が 
かちっとスイッチを入れる 

 闇をつらぬくひかりの筒 

スクリーンに映し出す 
交差点を行き交う 
無数の人々の足 

試写室の ....
異国へ旅立つ 
彼の背中を 
小さい額の中から 
いつまでも 
亡き母はみつめていた 

手前に置かれた花瓶の百合は 
あふれんばかりに咲き乱れ 
いくつかの細長い{ルビ蕾=つぼみ}は ....
汗をかいたグラスの前で 
ケーキが跡形無く姿を消した 
白い皿の上 
スプーンとフォークはうつ伏せて 
優しく寄り添っている 

昨夜の別れ際 
握った君の手のぬくもりを 
思い出す午 ....
テレビをつけると 
瓦礫の山から掘り出され 
額に血を流した中年の女が 
担架から扉を開けた救急車へ 
運び込まれていた 

その夜 
テレビの消えた部屋で 
歯を磨き終えたぼくは 
 ....
転がりそうで 
転がらぬ 
歪んだ花瓶に生けられて 
まばらに咲いた 
ひまわり達 

打ちひしがれて、皺くちゃに、 
首を折って{ルビ俯=うつむ}く者。 

背丈を伸ばした頂で、  ....
夕暮れ 
母校の校庭の隅に立つ 
{ルビ巨=おお}きい{ルビ欅=けやき}に額を押しつけ 
涙を絞って泣いていた 

この木のまわりに穴を掘り 
子供だった僕等の宝を入れた 
卒業前のあの ....
犀川の 
芝生の土手に腰を下ろし 
静かな流れをみつめていた 

午後の日のきらめく水面には 
空気が入ってふくらんだ 
ビニール袋が浮いていた 

近くで
ぴちゃりと魚が 
跳ね ....
よく晴れた日 
玄関を開くと 
小さい{ルビ向日葵=ひまわり}の植木鉢が 
倒れていた 

恋に傷つき震える 
君のようで 
ぼくは{ルビ屈=かが}んで 
倒れた鉢を両手で立てた 
 ....
ぼくの頭の修理を頼んだ 
大工のたけさんが通った 


「 ぼくの頭はやかんなので 
  やっぱり治さないでだいじょうぶ 」 


「 あぁそう ならば
  ちょっと不思議な部品を ....
ざざあ 


ながしに水をすてる 


空っぽの 
やかんの中身をみていると 
わたしの頭のようだった 
風船の顔をした 
君の彼氏が 
口先ばかりの愛を囁くので 
「 死にたくなった 」と 
君は深夜のメールをぼくに送る 

驚いて、瞳もぱっちり覚めたので 
深夜の散歩で月を仰いで 
川 ....
森に架かった木の橋に 
父は手にしたカメラを構え 
木漏れ日と葉陰の揺れる{ルビ袂=たもと}に立つ 
妻と娘をレンズ越しに覗いた 

シャッターを押した後 
肩を並べた三人の後ろ姿は 
 ....
「 この世の外なら何処へでも ! 」 
という最後の詩句を読んだわたしは 
「 転居先 」について考えていたが 
そんな場所は、何処にも無かった。 

日常から逃れるほどに 
毎夜訪れ 
 ....
路上に{ルビ棄=す}てられて 
崩れた米の{ルビ塊=かたまり}  

割れた破片のまま 
空の雲を映す鏡 

何事も無い顔で 
わたしはそれらを通り過ぎる 

遠く置き忘れた 
砕 ....
窓辺の{ルビ日向=ひなた}に置かれた{ルビ壺=つぼ}は 
ざらつく{ルビ表面=おもて}を 
降りそそぐ日にあたためて 
まあるい影を地に伸ばす 

窓辺の日向に置かれた壺は
「何者か」の手 ....
窓辺には 
ガラスケースにしまわれた 
誰かの心臓が置かれている 

真夜中の無人の部屋に現れる 
今は亡きピアニストの面影 

奏でられる旋律に 
永い眠りから覚めた心臓は 
脈を ....
 背後の空に 
 {ルビ烏=カラス}の群が旋回していた 

 丘の上の広場で 
 寄りかかる柵から身を乗り出す 
 
 目の前に広がる凪いだ海 
 正午の日は
 無数に{ルビ煌=きらめ ....
木々が立ち並ぶ隙間の向こう 
若い女が赤いグローブはめて 
いかつい男がかまえる黒いグローブに 
パンチを連打していた 

背後の一本道からやってくる 
よれよれのマラソンおじさん
木陰 ....
終電前の 
人もまばらなラーメン屋  

少し狭いテーブルの向こうに 
きゅっ と閉じた唇が 
うれしそうな音をたて 
幾すじもの麺をすいこむにつれ 
僕のこころもすいこまれそう 

 ....
空の曇った暗い日に 
ざわめく森の木々に潜む  
五月の怪しい緑の精は 
幹から{ルビ朧=おぼろ}な顔を現し
無数の葉を天にひらく 

わたしを囲む森に{ルビ佇=たたず}み  
ベンチに ....
 今僕は、ロッテリア上大岡店の地下1階にいる。まだ開店して間
もない朝のせいか、店内には地味な女性と、テーブルに立てかけた
桃色の傘が1本。椅子に座るやいなや、早速手にした携帯電話を開
いて小さ ....
休日の静かな午後 
図書館で借りた
図録の頁を{ルビ捲=めく}っていた 

今は亡き画家が 
キャンバスに描いた野原に 
ぽつんと立って 
空っぽの{ルビ笊=ざる}を両手で持ち 
木苺 ....
目の前はすべて  
煙に覆われていた 
幾層も掻き分けた向こうに 
握った拳を突き上げた人影が 
腕を下ろすとこちらへ歩いて 
すうっ と 
わたしの内側に入った 

  * 

 ....
三十過ぎて 
忙しさを言い訳に 
すっかり運動不足の僕は 
最近腹筋をはじめた 

しばらく鍛えてなかったので 
体を起こすたび 
床から上がってしまう両足を 
しっかりと抑えてくれる ....
とんこつラーメン屋のにおいが 
真昼の生ぬるい風に運ばれる 
新宿の雑踏を歩いていたら 
ポルノ映画館の看板下で 
自転車に乗ったおばちゃんが転んだ 

どうしていいかわからずに
ぼくは ....
Porterさんの服部 剛さんおすすめリスト(59)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
シャドウボクサー- 服部 剛自由詩607-11-26
(_無題_)__- 服部 剛自由詩307-11-24
彫刻の顔_- 服部 剛自由詩6*07-11-14
空の破れ目_- 服部 剛自由詩207-10-14
「_ほねつぎ_」にて_- 服部 剛自由詩7*07-10-11
空の映写機_- 服部 剛自由詩607-10-7
Ave_Maria_- 服部 剛自由詩4*07-9-30
Tea_Time- 服部 剛自由詩607-8-6
掌の上に_- 服部 剛自由詩13*07-7-17
「_ひまわり_」_- 服部 剛自由詩707-6-17
夜の校庭_- 服部 剛自由詩11*07-6-15
犀川_- 服部 剛自由詩18*07-6-12
白蝶_- 服部 剛自由詩13*07-6-5
やかん_〜2〜_- 服部 剛自由詩707-6-4
やかん_〜1〜_- 服部 剛自由詩507-6-4
不思議な交際_- 服部 剛自由詩14*07-6-4
汚れた庭球_- 服部 剛自由詩807-6-2
日々ノ契約_- 服部 剛自由詩11*07-6-2
門_- 服部 剛自由詩707-6-2
日向の壺_- 服部 剛自由詩10*07-5-24
窓辺の心臓_- 服部 剛自由詩12*07-5-24
海の見える丘にて_- 服部 剛自由詩6*07-5-23
木ノ声- 服部 剛自由詩2*07-5-23
ゆげのむこう- 服部 剛自由詩19*07-5-21
森ノ潮騒_- 服部 剛自由詩13*07-5-18
日常の革命- 服部 剛散文(批評 ...407-5-8
麦藁の少女_- 服部 剛自由詩14*07-5-6
夢の人影_- 服部 剛自由詩9*07-5-4
風の声_- 服部 剛自由詩23*07-4-29
新宿小景_- 服部 剛自由詩8*07-4-29

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