プール前の花壇に
コスモスを見つけて喜んでいた そのくせ
君は、緑色のため池に沈んだ季節を
あまりに切なげに指す
わかってる 
君も、僕と同じ色が好きなんだろう
空のいろ、でもなく ....
 
 
あまりに静かなので
どうしたものか
耳を澄ますと自分が
階段になっていることがわかる
踊り場には
温かい春の光が落ちて
多分そのあたりに
思い出はあるのかもしれない
遠くで ....
稲刈りをしたら稲についた菌が
米粒を石のようにころころにしたのが
意外と多く
出荷前に手作業でつまみだす
ついでにゴミも

ゴミ
と言っても うっと手が止まる
米の中 菌のころころと一 ....
   1

真っ直ぐな群衆の視線のような泉が、
滾々と湧き出している、
清流を跨いで、
わたしの耳のなかに見える橋は、精悍なひかりの起伏を、
静かなオルゴールのように流れた。
橋はひとつ ....
異国へ旅立つ 
彼の背中を 
小さい額の中から 
いつまでも 
亡き母はみつめていた 

手前に置かれた花瓶の百合は 
あふれんばかりに咲き乱れ 
いくつかの細長い{ルビ蕾=つぼみ}は ....
荒涼とした原野に
流転の種は解き放たれ
十五夜の月が
黄金色の蜜を
大地に垂らし
豊潤の実りを
見つめている

舞う種は地に根付き
芽は硬い殻を破り
一息呼吸する ....
世界中の誰も知らない理由で
あなたの小脳は壊れてゆくらしい
あなたの父親がそうだった
あなたの子どももそうなんだろう

昨日わたしは清涼飲料水の検品をして
二万本に一本の割合で出るという
 ....
二十歳の黒髪のような、
ブルックリン橋から、曙橋を繋ぐ空が、
未踏の朝焼けを浴びてから、
青く剥落して、雨は降ることを拒絶した。
とりどりの青さを、さらに青く波打って、
空は、傘を持たずに、 ....
 注意・・・あくまでも私の主観ですから、笑い飛ばして下さい。
ズバっと言ってしまう系が苦手な方はお控え下さい。
ノークレームでよろしくお願いします。

毒舌指数★★☆☆☆☆



第一 ....
最初の 真昼の 星が

ことばの 紀元前に またたいて いる

やってきた 9月

地には ことしの 豊穣を

やくそく した 稲穂たちや 曇った空

透明な 稲びかり ....
かつて潔く閉じた手紙は風を巡り
伏せられていた暦が息吹きはじめている

朽ちた扉を貫く光は
草の海を素足で歩く確かさで
白紙のページに文字を刻みはじめ
陽炎が去った午後に、わたし ....
やめたいと言うと
やめちゃいなと君は言う
そんなに簡単じゃ無いよって言うと
いつも簡単だよと返される
いつか君は僕をやめるのか
いつも簡単みたいだから
とても恐ろしい
一先ず君の胸に耳を ....
愛にカタチがないのはね

きっと カタチがあったら 壊れてしまうからなんだよ
馬でも風邪を引くらしい
何だかひと安心したりして

年末だったかな彼氏に連れていかれた
新宿南口の場外馬券売り場で見かけたのは
レースに夢中な父親とはぐれた幼い兄弟
通路に散乱する外れ馬券 ....
  「コンクリート・リゾート」


最後に僕がここに立った日
それはきっと、セピアンブルーの日
変わったものといえば
角のコンビニエンスストアの名前くらいで
もしかしたら ....
夏は
山がすこし高くなる
祖父は麦藁帽子をとって頭をかいた


わしには何もないきに
あん山ば
おまえにやっとよ


そんな話を彼女にしたら
彼女の耳の中には海があると言った
 ....
テーブルに置き忘れたメモが朝を捉え損ね
誰かの起こした風に遊び散る
それは断層にしがみついた学者の手の中で
ありふれた三葉虫や瑪瑙にうまれ
ひとつとして同じ気配でないが
またとない程の発 ....
夏ごとに
おしゃれになってゆくおまえが
自慢のミュールで前を行く
{引用=
(なぁ、おまえが選んだっていう
(このお父さんの水着
(ちょっと
(トロピカル過ぎやしないか

いつか
 ....
どこにでも手に入る
いつでも目に入る
そんなモノに囲まれて
いつも当たり前だと思っている

けれども
それを作る工場は
最初はそれが何であるのか
さっぱりわからない

何も関係なさ ....
キラキラキラ はじける光
これは涙ですか
叶わぬ恋が残したものは
夏の名残りと痛みだけ

サラサラサラ 気まぐれな風
あれは嘘ですか
ささやいた言葉が風を伝って
まだ耳元でこだまする
 ....
1*

あなたとつきあっている

もっぱらの噂よ

そんな事実ないのにね

でも 知らないでしょう

そんな現実を求めている

私の姿を







2*
 ....
1*



きずつきながらも

みんなから認められなくても

がんばってみるよ

すべては君のため

きっと振り向かせてみせる






2*



 ....
ホントのことなんだけど
ウソみたいに思えて
日記なんかを読み返す

すべてのことは虚構ですと
主体の意識がそそのかすので
はい、そうです 夢だったんです ゴメンナサイ

イザカマク ....
玄関の向こう側で
人の声がする
それは私の知らない人の声

玄関の向こう側で
行き来する自動車の声がする
それは忙しいと街が嘆いている声

玄関の向こう側で
ジェット戦闘機の声がする ....
汗をかいたグラスの前で 
ケーキが跡形無く姿を消した 
白い皿の上 
スプーンとフォークはうつ伏せて 
優しく寄り添っている 

昨夜の別れ際 
握った君の手のぬくもりを 
思い出す午 ....
眠れない朝にあなたを思う


夜を通り抜けて
窓越しに出逢うあさやけは
そこはかとなくかなしい


あなたを抱きしめるだけの日々に
空で時を知ろうとしなかったから
この ....
その日の夏が始まる
トンボが空をすいすいと
気持ちよさ気に飛んでいる
空は泳げることを
初めて知った
昨日も見たというのに

その日の夏が折り返す
繁る木々の葉がさわさわと
軽いリズ ....
髪を 切った 襟足の ひみつ から

娘たちは 飛んで ゆくと いう

純朴な 神話が 解かれて いる

風祭を 孕んだ {ルビ帆用飛行艇=はんようひこうてい}の 陶酔は

 ....
あの人のうたはいつも悲しみに満ちていて
僕のちっぽけな悲しみを一緒に包み込んでくれるんだ

あの人のうたはきっと全てが苦しみだけど
僕のちっぽけな苦しみをどこまでも引き連れてくれるんだ

 ....
べれいれん…だなんて
あのひとが新聞に目を落としたまま
ひとりごとを言ったような

ヴァンヘイレンがどうしたのだなんて
おまぬけな返事をしてしまった
わたし

べ平連
ベトナムに平和 ....
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