すべてのおすすめ
息を 
わたしたちは潜めて 
東の空の彼方から 
春がやって来るのを 
待ち侘びていた 

夜明けに 
うすい紫の風が
わたしたちの 
頭の上を撫でながら 
通り抜けてゆくとき ....
{ルビ濁=にご}った泡水が浅く流れるどぶ川に
汚れたぼろぞうきんが一枚 
くしゃっと丸まったまま{ルビ棄=す}てられていた 

ある時は
春の日が射す暖かい路上を 
恋人に会いにゆく青年の ....
その日を過ぎると
君の背中から栓が抜け落ちて
とろとろと水、のようなものが零れていった
舐めてみると、海の味がする
帰っていくんだな、なんて思う
薄いお酒を飲みながら
時計の針を見ていた
 ....
そこで溶ける人々の道に
石化する人を送り出す空に
いつの間にか帰ってきた人たちの
懐かしい声がただ優しい
私たちはとても弱くなってしまった

工事現場の迂回する
道の分だけ余計に
呼吸 ....
最後に

君に

最後に


カップラーメンの蓋が邪魔だけど取ってどっかに置くのも嫌だ

あの講義は睡魔との闘い

バイトの時間を間違えて謝り方を5パターンぐらい考える

親 ....
傘を
返してほしい

名残りの雪は
綿のコートには冷たすぎて
ひとりで帰れる自信がないから

あの桜もようの紅い傘は
ほんとうはすこし空々しいから
好きではないのだけれど

 ....
男は静かな眼差しだった
椅子に腰掛けていた
眼鏡の中を覗き込むと
男には目が無かった
代わりに水槽があった
水面は微かに波打っていた
魚が数匹泳いでいた
楽しそうではなかった
 ....
雨の降る仕事帰りの夜道
傘を差して歩く僕は
年の瀬に冷たい廊下でうつ伏せたまま
亡くなっていたお{ルビ爺=じい}さんの家の前を通り過ぎる

玄関に残る
表札に刻まれたお爺さんの名前  ....
農家の母屋を改造した学生下宿が
家賃一万円の住処だった
わたしは床の間のある客間の六畳
一二畳の居間には親友が
離れの六畳には先輩が
隣の六畳と四畳半には後輩が
それぞれ巣くっていた

 ....
旦那に浮気され離婚して一年
一緒に暮らし始めて3ヶ月の妹が

「あたしなんか死んじゃったほうがいい」と泣くので
「死にたいなら死ねばいいじゃん」といったら激怒された

死なれたらこっちは死 ....
  (本日の天気・九官鳥曇り)

天気予報士が少しくぐもった声で言った
昨日の予報では
(スズメのち晴れ)
小さなさえずりは 集まって
高音と 空へ抜ける
清清しい朝に撒き餌して
集ま ....
ベッドの上に君が
座った
誇らしげに
座った

理学療法士に
少しばかり
肩を支えられてではあったけれど
ベッドの上に君が
座った

中二のころの
強い瞳の
君が
座った
 ....
夜明け前に呼吸が足りなくなって
遠い地名を呼びながら目が覚める
ほんの、少し前まで
そこにあったはずの夢に
花を、植えたい
声の鳴る丘、霧降る峠、新しい駅の三番線
いつか出会ったような
 ....
もしも許されないなら 
この瞳を抉り出して捧げますから
貴方の薬指を飾る石にしてください
 
蝕まれてゆくのはいつも正常な意識ばかりで 
何かを伝えようとするたびに奥歯が軋んで
上手く ....
正確な、正確な、階段を
カン、カン、落下、してゆく音で
冬の風が半音上がって
度重なる半音分の痛みが次々に
刺さっては馴染んでゆくこめかみ
更に
視覚
という切れ目へと
 ....
実際の所あれは
鴉のようにも見えたし
人間のようにも見えた

真冬の朝の
まだ明けきらぬうちに
紫色の空を
私たちは見上げていた

凝固につぐ凝固
雪よりも白く美しい
骨を包んで ....
君の言う単なる恋愛に
僕は幾度となく涙を流してきた



君の言う単なる恋愛に
僕は幾度となく命をかけてきた



なぜなら
そこに世界で一番大切な真実があるから



 ....
屈めた背中を ゆっくりと伸ばすように
季節は移り変わる
それは水指に潜む 小梅の性
三寒四温の質感を受けいれては ひとり悦に入る

 
(ああ 春は素敵な季節
(水指の渇望は 
(滴り ....
背なか 背なか
もたれかかった珪藻土の壁には
真昼の温みが宿り
後ろから
春の衣をふうわり掛ける

あし
足もと
埃だらけのズックの下で
蒲公英は蹲り
カタバミが少し緑を思 ....
陽炎ゆらめく金の砂子
彩雲は海風に吹き乱れ
てのひらに燃え立つストレリッチア
放った水際 横なぎにさらわれる

あの辺を転がってく
サクラ紙みたいな柔らかいの
さっき2人で食べた
カッ ....
ある友は移動中のバスで吊り革に今朝もぶら下がり
車窓が雨に濡れるのを見つめながら
渋滞で出勤時間の近づく腕時計を見て{ルビ苛=いら}ついていた

もう一人の友は勤務先の病院で
昨日の眠れな ....
日はこの時ついに陰ることはなく

交叉点の信号が
青ざめて進めという
曲線に添った産声が
白い手で羽ばたき
円周率へ視線をおくり

目をふせた
ふせないで
みつめて
林檎の赤
 ....
塾の講師なんて仕事をしていると
子供の心に触れてしまうことがある

前に受け持っていた女子生徒が
授業中に突然飛び出して
二階のベランダから飛び降りようとした

「死んでやるー!」と何度 ....
薄明かりの店内に客は僕ひとり 
喫茶店を営む初老の夫婦は
カウンターに並び夕食を食べている

時々{ルビ片言=かたこと}の言葉を交わすふたり 
幾十年を共にした歳月を物語る
並んだ背中の沈 ....
一家全員がそろったのは
昨年の正月以来だろうか
兄嫁が妊娠したという話を聞くと
父はたいそう喜び
押入れからアルバムを取りだし
いつもの昔話をする

それは色あせた一枚の集合 ....
私が生まれるより前に
戦地に赴き病んで帰って来て間もなく
若い妻と二人の子供を残して世を去った
祖父の無念の想いがあった
 
私が生まれるより前に
借家の外に浮かぶ月を見上げて
寝息を立 ....
夕暮れの空にはむくどりが群れて
毎日あんなことしてて
むくどりは飽きないのだろうかと思う私も
飽きもせず夕飯をつくる
いや飽きてるんだけど
夕飯に飽きても
生きてるのに飽きても
生きてな ....
大きな街のお空には 
本当の空は無いと言うのに
太陽が高く射す昼休み
呼吸をふーーと吐き出して
皆が窓を開けた
深呼吸する時間 一斉に


大きな街のお空には
化学記号が飛んでい ....
靴下を洗濯籠に投げる
途中、失速して
僕の知らない野原に落ちる

しばらくすると
一匹の美しい横顔の生き物が
くわえて行ってしまった

もう何も無くさないようにと
決めていた ....
正月に日本酒を飲みながら詩を書いていたら
火曜日に詩を教えているキムからskymailがきた


「幹さんやばいっす、オレ犯罪犯しちゃいそうです」
『ちゃんと詳しく説明してミソ』
「ちんこ ....
tonpekepさんの自由詩おすすめリスト(1074)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
春はあけぼの- 落合朱美自由詩4006-3-3
ぼろぞうきんの春- 服部 剛自由詩18*06-3-3
栓抜き- 霜天自由詩1006-3-2
往復書簡- 霜天自由詩706-2-28
最後に- ふるる自由詩7*06-2-27
余寒- 落合朱美自由詩2406-2-25
眼差し- たもつ自由詩406-2-25
光の滲む雨の夜道を- 服部 剛自由詩18*06-2-24
二台の洗濯機における青春の一考察- たりぽん ...自由詩37+*06-2-23
ノー- モリマサ ...自由詩11*06-2-23
あぁいを_叫ぶ!- 千月 話 ...自由詩12*06-2-21
ベッドの上に君が- 草野大悟自由詩7*06-2-21
花を植えたい- 霜天自由詩1406-2-21
破綻- 落合朱美自由詩22*06-2-19
通過電車- A道化自由詩1306-2-19
冬の風景- 和泉 輪自由詩17*06-2-19
ラブレターを書きつづけた男の遺言状- 恋月 ぴ ...自由詩32+*06-2-19
小梅のエスキス- 恋月 ぴ ...自由詩26*06-2-15
春まだ浅き- 銀猫自由詩21*06-2-14
汗の匂い- とうどう ...自由詩19*06-2-11
明日の朝も僕等は- 服部 剛自由詩7*06-2-10
(ペチカの黙秘)- こしごえ自由詩13*06-2-7
知らないことを知っている- ベンジャ ...自由詩42*06-2-6
夫婦の情景- 服部 剛自由詩7*06-2-5
一族- たもつ自由詩806-2-4
私が生まれる前に- 服部 剛自由詩18*06-2-1
鍋が煮え立つまでの即興- 佐々宝砂自由詩12+*06-1-25
懐かしの詩- 千月 話 ...自由詩15*06-1-23
脱衣所- たもつ自由詩906-1-23
金(キム)- 馬野ミキ自由詩90+*06-1-22

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36