すべてのおすすめ
杉の木の地肌には
落雷の焼け跡があって
炎の枝を広げたその後に
彼は大きな枝をまた伸ばした
彼の肌には苔のいい匂いがあって
失ったてっぺんを補うくらいの広い枝を
私 ....
二〇一五年六月一日 「こころに明かりが灯る」
以前、付き合ってた子が遊びにきてくれて、二人でDVD見たり、音楽聴いたりしてた。世界いち、かわいい顔だと、きょうも言った。「きっと、一週間 ....
夜、
暗緑色の
霧に覆われた
小さな凍った湖に、
静かに霧を割って
一羽の
羽の弱った小鳥が
落ちてきました。
すると湖は音もなく割れ
やさしく
....
二〇一五年五月一日 「HとI」
アルファベットの順番に感心する。Hの横にIがあるのだ。90度回転させただけじゃないか。エッチの横に愛があるとも読める。もちろん、Iの横にHがあるとも、愛の横 ....
綿の毛が風に飛ばされ
小麦の穂は枯れていく
見よ、紙幣と言われた紙屑が宙を舞う つまり
誰かがシュレッダーにかけてビルの屋上から撒いたのだ
これは、ま ....
お星さま
聞いてくれるかな
祝福を受けながら
全ての人は生まれてくると
どこかで聞いたけど
そんなのは嘘っぱちだ
誰もが知っているのに
口に出さない
出せないだけ
だから ....
クレジットカードが何でその金額を精確に洩れなく銀行口座からお金を
引き落とせるのか、については(むにゃむにゃむにゃ)、説明出来ない。
wi-fiを使ってインターネットに接続して、映像サイトの映 ....
キャンピングカーに乗って
行き当たりばったりの旅。
その街の人々を眺め
その街の人々を感じられる場所に行き
一緒の事をして
一緒の物を食べる。
そんな生活をして
暫くして ま ....
二〇一五年四月一日 「少年はハーモニカの音が好きだと言った。」
これは、『ゲイ・ポエムズ』に収録した『陽の埋葬』の一つに書いた少年の言葉だった。ぼくがまだ20代だったころの話だ。なんで思い出し ....
静けさ
ちょこんと
座っている
気付けば
夜底に
座っている
私は寝床を整える
不眠の夜を払うように
新しいシーツで敷布団を包み
黄色い朝の喧騒に
心の奥処の祭壇が
荒らされ ....
張り巡らされた枝の投網を
小鳥はすり抜ける
月の形に貼られた和紙が
空の水色を透かし
細い絵筆を並べたような
ポプラの ....
よる
あふれる
かなしい
ゆめだけ
あさ
こぼれる
いとしい
ことばだけ
ひる
みちる
うれしい
ひかりだけ
二〇一五年三月一日 「へしこ」
日知庵で、大谷良太くんと飲みながらくっちゃべりしてた。くっちゃべりながら飲んでたのかな。ケルアック、サルトル、カミュの話とかしてた。へしこ、初体験だった。大 ....
二〇一五年二月一日 「樵」
30年ほどむかし、毎週土曜の深夜に、京大関係の勉強会かな、京大の寮をカフェにしていて、関西のゲイやレズビアンの文学者や芸術家が集まって、楽しく時間を過ごしていたこと ....
二〇一五年一月一日 「初夢はどっち?」
ようやく解放された。わかい、ふつう体型の霊が、ぼくの横にいたのだ。おもしろいから、ぼくのチンポコさわって、というと、ほんとにさわってきたので、びっく ....
つまりは嘘になるから
すべてをさらしてみたいとは思わない。
書いていると気は楽になるけど、
、友や家族を前にして言葉を発したことがないのよ
なんで照れちゃうるのかな。
それ ....
二〇一四年十三月一日 「宝塚」
18、9のとき
ひとりで見に行ってた
目のグリーンの子供と母親
外国人だった
子供は12、3歳かな
きれいな髪の男の子だった
母親は栗色の髪の毛 ....
二〇一四年十二月一日 「イエス・キリストの磔刑」
イエス・キリストが磔にされるために、四条河原町の交番所のところを、自分が磔にされる十字架を背負いながら歩かせられていた。それほど多くの民衆が見 ....
早朝駅に向かう下り坂で
後ろから女性の悲鳴が聞こえたので
振り返ると
小学生の男のガキが
老婆のバッグをひったくって
逃げて行くところだった
その時私の頭に浮かんだのは
「今、このクソガ ....
風になびく
ススキの穂が
水面を滑る
眼差す太陽にギラリと光り
到来した冬は
情け容赦なく
すべてを裸にし
覚醒の輪郭を
与えていく
透徹として刄の ....
例えば夏の夕暮れに
線香花火を眺める若い男女は
それだけで美しいので
そのままで固まっていて欲しい
一歩もその枠組みからはみ出すことも
言葉を交わすこともなく
ずっとそのままでいて欲しい
....
繭を羊毛を麻を綿花を紡ぐよに
するすると解けてきたのならいいのにね
糸巻き巻きを歌いながら
とんとん しゃー
とんとん しゃー
ひと目ひと目
一段一段
頭に図柄を描き
まだ ....
二〇一四年十一月一日 「She’s Gone。」
風水って、よう考えてあるえ。
そなの?
東西南北すべてに地上があって宇宙があるのよ。
東に赤いもんを置くのは、あれは、お日さんがあが ....
{引用=『ことばにできない宇宙のふしぎ』48番目のセンテンス「太陽は典型的な恒星〜The SUN IS A TYPICAL STAR」に次のような記述を見つけた。
「太陽は、毎時82万8000k ....
二〇一四年十月一日 「ネクラーソフ『だれにロシアは住みよいか』大原恒一訳」
血糖値が高くて
ブタのように太ったぼくは
運動しなきゃならない。
それで
自転車に乗って
遠くのブックオ ....
陽の照る日、日は冬日、あかるい日に、
日の陽の光の広がって
あたりいちめん純白の原
ときはとけてうずをまき
めくるめく永遠の瞬間を
垂直に切り開いていく
陽の照る日、日は冬日、あか ....
二〇一四年九月一日 「変身前夜」
グレゴール・ザムザは、なるべく音がしないようにして鍵を回すと、ドアのノブに手をかけてそっと開き、そっと閉めて、これまた、なるべく音がしないようにして鍵をかけた ....
はなしを食べたおかあさん
おとうさんはまだ会社にいる
ボクは画用紙にクレヨンをはしらせる
えんぴつでなまえのつづきを書いている
いろはたのしい
赤や青や黄色
た ....
出会いはどこからやってくる
そびえる山のむこうから
やさしい流れ 川岸の散歩から
自分を隠して通信交換から
きっかけはどうでもいい
自分の知らなかったこ ....
月の灯り陽の光り
誰もいない銀の馬車
不幸など誰が予測できるだろう
誰も予測できないから不幸ではないのか
あの人たちも
傍らで見覚えのない家族が啜り泣いている
....
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