すべてのおすすめ
二〇一六年三月一日 「ブロッコリー」
いま、阪急西院駅の前のビルに自転車をとめたら
めっちゃタイプの男の子が近づいてきて
わ~
さいきん、ぼく、めっちゃ、もてるわ~
ってなこと ....
私の部屋も あなたの部屋も
奥の奥では繋がっていて
世界の扉の鍵が開く
ひとつ飴をちぎって出せば
産声の音符がころんと鳴った
覚えている呼吸の傷み
世界は優しいばかりじゃないってこと ....
押しボタン式の信号が青になったので、
数名の幼児を連れた保育士さんとおぼしき人が声を掛ける
「さっ、渡るよう」
すると先頭の子どもが尋ねた
「どうしてわたるの?」
すかさず若い保育士はこ ....
二〇一六年二月一日 「アルファベットの形しかないんかいな、笑。」
何日かまえに、FBフレンドの映像を見て、いつも画像で、ストップ画像だから、ああ、素朴な感じでいいなあと思っていたら、映像で ....
、!おいサキッポ、おまえ火傷したって?だから餃子は包皮に包んであるんだよ。やってる? 歩け歩け、逝かれて Wong 具?
ダメダメ、ジェルやクリーム、何をつけてもLovejuiceにゃ勝てないか ....
ヘッセら何をしても見えない壁に阻まれているのだから、なのと、ひとり呟きながら果てのない自慰を繰り返しているカールゥとエリアン。 壁の隙間ではベッドに凭れ掛かり、初老のアラン夫妻がお祈りをすませ床に ....
二〇一六年一月一日 「20世紀アメリカ短篇選」
『20世紀アメリカ短篇選』は、むかし上下巻読んだんだった。でも、ひとつも憶えていない。きのう、スピンラッドの短篇集だと思っていた『星々からの歌 ....
連れてきて5年は経つだろうか
当初から敷き詰めた砂を蹴散らしては小さな魚を追い廻す
我が物顔で水槽の中を暴れ廻っていたおまえも
わたしの姿を見つけてはじっと動かなくなる
大きく成長するのも ....
凍えるように
寒い日となるようです
四月の二週目というのは
半ズボンでふるえていましたよ
小学校の入学の式では
輝いていたのは訓示する
校長先生の頭ぐらいで
体育館の ....
20数年も前になるだろうか。たまたま帰り道に寄った駅ビルの居酒屋で、長い木目調のカウンターに腰掛け、惣菜のつまみをちびちびと頬張りながら熱燗を吞んでいた初老の男性と話したことがある。最初は遠慮 ....
二〇一五年十三月一日 「芸術は自己表現はない」
自己の表現と、自己表現は違う。2015年9月29日のメモ「いまだに芸術を自己表現だと思っている連中がいる。きょう、職場で哲学の先生たちがお話 ....
遅れて歩いてくる足音につい気後れがして
わたしは膝をついたまま下向きに歩いて行く
自転には追いつけない針を進める (
) 氷の幕を滑り落ちる 人鳥
乾いた靴の底を ....
とちゅう、
夢があった
道端には
夢が咲いていた
そのあまい匂いの中で
女や、
またべつの女と
いくども寄り道をした
険しい道もあった
転がったオートバイと
鮮血を敷いた少年の死体 ....
原稿用紙100枚400字詰めで4万語描かなきゃいけない
100年の生を貰ったとしたらそれを埋めなければならない
嫌だと言ってもたいした選択肢もないので
義務教育ですくすく育ちすぎたのに
生 ....
誰かの風に乗り 誰かの声をきく
そうしたくないもの そうなりたくはないもの
覚えているかい
小学校の夏休み みんなで寝泊まりした教室の匂い 擦り切れた廊下の窓ガラスの向こう
お ....
どうやら
うつ状態らしい
見かねて
モスバーガーを奢ってあげた
これが
今のぼくにできる
精一杯だ
オニオンリングは
案の定
バラバラになり
だけど
食べてる間
ずっと
ポロ ....
殺風景な教室に
わたしの怒り
先生は多数決をとった
異分子には異分子の
言い分があることは
知っていたはずなのに
優等生のふりで
回避した戦争
擬装の平和に
気付いて ....
闇市に西瓜を買いに出かけたよ
金脈が本物の黄金だとか噂話しで聞いたんだ
途中チンピラに追いかけ廻されては警官に発砲されたり
散々な眼にあったぞ* !あ、こんなところに…
板 ....
僕はチョコバーを一つ取り出して彼に与えた
(ところできみは虐待されたから逃げ出してきたはずだよ、誰に苛められたの?)
一口チョコバーの先を齧るときみは不機嫌な顔して応えた。
(あなたが彼 ....
二〇一五年十二月一日 「毛布」
きのうのうちに終えるべき仕事をいま終えて、これからイーオンに毛布を買いに行く。クローゼットに毛布が1枚もないのだ。捨ててしまったらしい。これまた記憶にないの ....
ビニール袋を
引きさくときの
あの
うれしそうな表情
あぁ
トトはね
さくばん
八木重吉さんの詩を
もくどくした
さめざめとなき
青いてんきりんの柱ノように
しばらくなっ ....
犬
朝の静けさの中で
犬が吠えている
すべてに届くように
昼のざわめきの中で
犬が吠えている
君だけに届くように
夜のささやきの中で
犬が吠えている
すべてを打ち ....
本当は優しい言葉でもかけてあげたいけど
誰よりも覚めた、突き刺すような視線が痛い
テーブルを挟んで座る
手を付けないままのサラダとフォーク
言いたくないなら何も言わなくていい
どんな未来 ....
白く光る田舎の道を
カンカン鳴り響く踏切越えて
海に向かって歩いていた
薫る潮騒、うねる波
空き缶一つ、浜辺に落ちて
わたし独りのたましいが
水平線を覗き込む
遠く船が落ちてい ....
詩集を出したばかりの頃
卒業後初めての同窓会があった
みんなそれぞれの世界で活躍していて
「詩集を上梓しました」と宣伝すべき立場と
疎ましく思われる現実とに混乱した
高1で同じクラス ....
感情が死んでいく
論理の下に埋もれて
死んでいく
ニュースは私を否定した
その論理は
私は排除すべきものであると
私は許されないものであると
私を否定した
いつか私が死 ....
雨粒がポタリポタリと落ちるのを
ショッピングモールの四階の暗い駐車場で
一緒に見ていた
やわらかい君の太ももはあたたかかった
じっと雨粒を見つめているその長めの睫毛は
ぼくにとてもよく似てい ....
雪見障子からの陽は記憶している
あばら家の
たじまはるの中庭には
ミドリガメと田螺と湿っぽいツワブキ
があった
近所の原っぱでは
よく
空がひっくり返っ ....
更けゆく夜はひたすらに
孤独の深い陰影を
白けた顔して曝け出し
薄い涙がつと流れる
薄倖の人、天破り
漆黒の闇に降下する
幼い記憶の光景が
眼前に広がり来たるまで
ひたすら遡行し孤 ....
二〇一五年十一月一日 「海に戻る。」
ぼくはまだ体験したことがないのだけれど、おそろしい体験だと思うことがある。自分がどの時間にも存在せず、どの場所にも存在せず、どの出来事とも関わりがない ....
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