餃子がね
とっても美味しいんだよ
昔ながらの佇まい
町の人達が
あちらからこちらから
電話も鳴って
店先で
生か焼きかを選んで買っていく
ラーメンとかもあるけれど
餃子二人前とラ ....
乾いた笑い
矛盾した怒り
爪先立ちのプライド
耳後が痛む
言語、知恵、経験
複雑に首元に絡み合い
巨大化する
絞めつけられる頚椎
もうすべてぶち壊して ....
川を境に
夜が半分しか明けない街から
人は次々に去っていった
半分の灯り 半分の雨
空には
鳴らない鈴がかがやいていた
何も無い朝が
星の跡を押しのけてゆく
乳 ....
じかんがないから、
時間を減らす。
くちにできないから、
乳首をしゃぶってみる。
こえにならないから、
耳をふさいでみる。
めにみえないから
視界を凝らしてみる。
....
瓦斯ヒーターのファンが
しばしの平安を息づくなか
真冬日が その真っ只中で
卒寿にたどりついた
独り暮しのまどろみを誘う
前半生で水にながした
....
のんべんだらり
日長一日 だらだらと
ソファーの小舟で
文庫本が櫂に
目が疲れたらひと休み
音楽の風に吹かれながら
好きな時間を小舟に乗せて
無為の海を漂流しよう
のんべんだら ....
嫁さんと
息子が
まったく何不自由なく
暮らしていくためには
ただひたすら
頭を下げるときは下げ
憎まれるときは憎まれ
こんな奴
私生活では
絶対に付き合いたくない
と思われても
....
紙で作ったお星様を
手のひらでつぶして
うまくいかなかったらつぶして
そういうことつぶさに
ひろいあげて持ち込んで
昨日のこと持ち込んで
俎にのせられた魚の気持ち
目が死ん ....
大きく息を吸って
吐いて吐いて
世界をとりこんで
世界を拒絶して
夜空より青空と雲を見て欲しかった
そんな暗くて恐い足元より君の優しく温かい手を見て欲しかった
辛過ぎた目の前より先にあった ....
聞こえてくる潮
宇宙からの光に反射する水面
ゆっくりと手を耳元へ寄せた
絶対ということは
それぞれの人間に与えられた生きる期限だけ
そう母なる海は言っているようだ
泡立つ波打ち際に ....
悲しみのぶん氷切り出している
わたしが
とても小さなこどもだった頃
なにも知らない
知らないということが許されていて
それが
どんなにか幸せだったかということさえも
知らなかった
笑うたび頬に
くぼみを作っていた頃 ....
光のすじを避けていく
その海草の揺らぎ
海流の流れ
追い風にならず向かい風
体の力が抜けていく
落ちたしずくは
泡になり
海月のすそを広げ
ゆらゆらと再び宙へ向かう
あの海月 ....
早すぎた春の収容所
鉄格子が霧雨に濡れている
彼らの髪を切るのが
仕事だった
茨の芽、今日、若すぎる者たちが撒き散らす劇画チックな血
茨の芽、昨日、年嵩の者たちが演じた痛みのわかりやすさ
春、触れよと誘う
茨の芽、千差万別の宿命に満ちながら春に生まれる ....
野菜を買うときは
いくつか何気なく
ひょいひょいと
持ち比べてみる
手に持ち近づけると
重さや鮮度
身が詰まっているかどうか
おぉずっしり鮮やか
今日は此奴を使って何を作ろうかなんて
....
悲しい歌はもう止めよう
きっと神様も望まない
苦しみから解放されたいなんて
消すかのように加工を繰り返す
子供の落書きのように
泣かないでと声がする
逃げてるのはいつまでも自分で
拭 ....
まだ自転車に乗れなかったころ
ともだちの自転車を借り
田舎の緩い坂道をおそるおそる降りながら
何度も練習していた
不思議なことにあるときすっと自転車が自分のものになる
そんな瞬間を体験し ....
川嶋医院の
門柱までの石の階段を
ケンケンしながら昇って行く
昇った先に待っている懐かしい顔
随分と草臥れたセーターを着ている子や
今日おろしたてのジャンパーが
砂や泥で白くなってしまった ....
私のてのひらの雨雲を
誰かに届けるために
来たのかもしれない
役割は
私が与り知らぬところに
あるのかもしれない
笑うかもしれない
怒るかもしれない
まっすぐな犬のように ....
人間の蛮行を悲しむのは
人間だけなのであろうか
諸々の神を世に送り出し
それを受け入れた者達は
神に事の真意を問い続け
贖罪の何たるかを尋ねて
今日もまた祈り続けては
神の悲 ....
ひとがつくるものには
一方通行がある
どうしても越えられないものが
必ずできあがる
やまも
うみも
そらさえも
むこうがわへゆく道があるのに
とざされる
とざしてる
ひとは ....
汚れたところを
柔らかいスポンジで優しく
洗っても洗っても
濁った色をして
落ちないから
固いたわしでごしごしと
擦っても擦っても
こびりついたまま
お ....
吹く風に逆らわない。
それは吹かれるまま
流されてしまうのではなく、
その風を味方につけて。
風はきっと良い所に運んでくれる。
きっと素敵なことが待っている。
今ま ....
鬼の金棒をそっと質屋へ
猫になる理由は無数にある
仕事がイヤになったとか
満員電車がツラすぎるとか
一人になりたい時があるとか
どこかに行ってしまいたいとか
生きてく理由がわからにゃあ
どうするべきかわから ....
ひとつも
うまく言えない気持のする
2月
ぼうと立ったまま
こころのなかで
頁を繰って
見つけます
いとしいかわいいやつら
あなたはもうあなたになりましたか
森の手前でと ....
希望の道、
なにやら宗教ぽくなってしまうのが残念だが、希望の道、だ
言葉として容易くは使えない、希望の道、だ
できれば魯迅ぽく、希望の道、だ
うちのめされて
どんなに ....
おにはそと
豆をまきました
力いっぱい
豆をまきました
おにがいるなら
でていけと
豆をまきました
大きな声で
豆をまきました
夜なのに大声で
おには悪いのか?
しら ....
喚き立てる音を無視して
救急車が行く
ああ、あの車に乗りたい
ああ、同じようになりたい
私とあなたの同じ生活は
破綻した
同じようになりたい
あなたと同じようになりたい
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19