古いのや新しいの
ひびだらけや穴ぼこだらけ
人の生活
車が走る
すき間から雑草が伸び花を咲かす
犬がくんくん歩いている
今日もどこかで工事している
せっせと耕して平らにするけれど
....
遂げられなかった
君の夢は
星になった
その光は
誰かの夢につながっている
はず
そんなことさえも
守ってやれない僕らが
ときどき
泣いている
....
友を偲びつつ
窓辺によれば
窓ごしに見らるる春の四方
散りし桜の梢
若葉の木々
去りし日の想ひ出が
木々の梢にいざよふ
友を偲びつつ
窓辺によれば
窓ごしに見らるる春の空
乙女 ....
艶かしい指先で情愛を確かめる人がいる
悪戯な指先で逢瀬に流れる人がいる
刃物にした指先で誰かの痛みを喜ぶ人がいる
血流滲む指先で過ちを諭す人がいる
その指先でリストカットをする人がいる
....
鈴の前だから
見せられない
すぐ鈴がくる
待てまずいだろう
まだ歪みは残り
素肌とはいえない
ままよママとダンス
仮名にして名を消せ
何をしても悲しい
悲しすぎて何も手につかない
俺はろくでなし
悲しむために目を覚まし
悲しみながらパンを食べ
枕を濡らして寝てしまう
いつのまにか
一匹の犬になっている
明後日の方角に ....
さむい納屋のなかで 菫色の図形が
次第に数を増していく 害のない菌のように
いつしか 石塀から剥がれおちた 西陽のつくるあなたの影
それは いつまでも 母屋の外に置かれた ....
なぜなら真新しい渕に一枚のはがきが落とされたから
なぜなら古い日記帳に挟まれたかつての友人からの手紙が鮮やかだから
なぜなら花は美しいだけでなく春は温かいだけでないから
なぜならどこ ....
きみたちには
失望した
何故、立ち上がらなかったんだ
このままでは
この国は
豊胸も含めて
巨乳ばかりになってしまうぞ
日本人本来の
奥ゆかしいやや貧乳は
完全に廃れてしまった
今 ....
生き抜く命であるために
海外での独り旅に駄賃を
ポケットに包んで
二十歳で渡った地球儀の向こう
できれば
旅先で覚えた
スラングで話したいよ
病気を乗り越えて生きるために
隣人の苦 ....
ひとりツイスターゲームで脱臼
ウォーク。
最前線の気配
爪のツミレ
羽ばたくには早い
覚えるには遅い
出来損ないの音楽
単なる背教
僕と遺書を囲んで
グルグルと疑いを深めてる
ウォーク。
罪のないものば ....
毎日毎日の繰り返しで
見知らぬ気色に憧れる
虚しくそんな自分を鑑みる
明確な答えなどないとわかっているのに
もどかしくて、また苦しんで
止まない雨はないなんて誰かは言う
行き先はわから ....
湯船に
お湯を溜めている時間
時間はゆっくりと進む
湯船に
身体を投げ出す
目を閉じて浮く
時間を忘れゆっくり休む
身体を洗い
湯船に浸かる
つやつや朗らか
声を出して声を ....
独り 楽しむ と記し
独楽(コマ) と読む
独り楽しむためには
独りで己を支えなければならない
独りで支えるためには
日々 回り続けなければならない
そして回り続けるためには
己 ....
涙はがまんをしませんでした
「子ども達を徴兵させる…」
―――子ども達が軍事訓練をする姿など
考えたくもございません
この子達は何もしらない
ご飯をたくさん食べて
明るく優しい子になってほ ....
なぜだろう
わたしたちはこんなに熱いのに
まちはまだ冬をしている
あんなにしろくふやけてしまって
あれじゃあ型もとれないね
あれ、
それは
わたしのことですか
ナッツみたいに香 ....
ささがきに思い出すのは小刀で鉛筆削った美術室/午後
ごぼうのささがきは、どこか鉛筆の芯を削ることに似ている。
違っているのは、ごぼうに求めるものは皮と実の部分であって、鉛筆に求めるものが芯の ....
大きなひとかたまりの石の下
あたしたちはゆっくりと
水を
手放している
昨日より
今日
ことさらに
ひたむきに
あたしたちはゆっくりと
命というものを
凝縮させている
逃げてはいけない
なんてことはない
中途半端に逃げるから
追われるんだ
どうせ逃げるなら
逃げて逃げて
逃げまくれ
何からも追われなくなったとき
それを孤独と思うか
ゴー ....
50年まえの工場が
いまじゃ膨らんで傾いて
崩れ落ちてしまいそう
それに面した道を
その端っこを歩いていた
太陽の塔がはみ出していた
嘘くさい万国のダンス
あ ....
救急車が 走り回る
寝静まった街を 音もたてずに
誰かが 泣いている
悲しい出来事は もうないのよ と
地下街の換気口から ため息
焼かれた鶏の モツになった牛の
生暖かい ....
冬の寒い空
空が澄んでいて
星が輝いている
清らかな気持ちが
コポコポ湧いて
シュワシュワ
浮いて弾けて
飛んで星になる
夜空に浮かんでいる
星々は親しげで
すぐそこまで行 ....
君が
嘘はつかないという
嘘をつくように
僕は
もう夢は見ないという
夢を見る
明日は
ずっと雨のような
晴れがつづく
君に包まれて動けない
君に見つめられて目を閉じられない
君に塞がれて息ができない
君がいるから不自由になる
僕がいれば君は何になる?
僕がいなければ君は何になる?
君がいなければ自由になる
森の奥のある秘密
僕は古ぼけた写真のような丘陵で
羊達を眺めながらその妄想にかられた
あの森の奥には知られざる野生の生態があり
僕は抵抗するすべもなく焼かれてしまうのではないか
そこにあ ....
もしかしたら
言葉は音になって
空気中を漂い
あなたの耳から侵入する
かもしれない
もしかしたら
言葉は文字になって
どこかに刻まれ
あなたの目から侵入する
かもしれない
....
西の山に陽が近づいて
1日が終わろうとしていた
男は川面すれすれに延ばしていた竿をあげ
帰り支度を始めた
ゴカイを川に返し 椅子をたたむ
通りがかりの人が声を掛ける
「連れましたかね」
....
とりどりの人がいる
顔、瞳、髪の色はもちろん
おそらくは心の中や
境遇までも
透明の涙が私を取り巻く重いものを流してくれる日もある
透明の涙が
さらに粘度を増して醜いゼリイになって ....
あなたがあなたのかたちをしてわたしに向っている
こんなにそのままだらけの まちに 何が
必要だろう
ビルをぜんぶたおして もぐらたちは
みえない目を かざるための
はでな眼鏡を 買いに
....
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