わたしたち皆雨の中子供だった
帰りを待つ子供達の群だった

誰が帰ってくるの? しらない

わたしはしってたから叫んだのに
雨の中誰もわたしの話をきかない


雨がやんだら大人になっ ....
ものを書き捨てて行く
爪やヒフや肉などを
少しずつ来た道に落としていく
いつか元いた場所に
帰り着きたいと思っている
それがどこかもう忘れてしまったけれど
わかってる
母のおなかの中だ
 ....
沼に立つ
沼のふちに立つ
黒ぐろとした水の
その下に何があるのか
考えたり考えなかったりしながら
今まで生きてきた
たった今も
これからもたぶん

時々手を差し入れる
私を決して拒 ....
万年筆をなくした
千円でカートリッジ式のやっすいやつだけど
ここのところ頼りっぱなしだった
机に散乱する
紙切れの上のどうでもいい書き置きも
ちょっといい店で買った
分厚い表紙のノートの中 ....
祖母に忘れられる夢をみた。
夢のなかちいさな手を握り
かなしくて泣いていた。
かなしいと言って泣いた。

目がさめて
祖母はもうとっくの昔に私を忘れていることを思い出した。
ほっとした。 ....
ただしぜん手を繋げる女の子がいて
信じるとか、信じないとか
もうないから
そこにいれば手を繋ぐ


「すき」を信じるのはほんとうに骨が折れる
時間とコストがかかる
もうきっとそんなたっ ....
わたしの脳みそを
たべてください
すべて台なしに
してください

満足も
不満足も
ない地平へ
向かうあしを止めぬまま
わたしは台なしになりたい

そのとき、
言いかけたせりふ ....
すみぬり教科書を使ったのは
なにも
昭和に
限ったはなしではなく
ゆとり教育の時代にわたしたちは
せんせいに言われるまま
指導要領からはずれたところへ
だまって
すりすりと
線をひい ....
許されるような気がしていたのは
僕たちだけだった
足音の聞こえるものと
聞こえなかったものがいて
僕たちはたぶん後者だった


足音が聞こえるだろうか君には
夜のうえを歩き
昼の風を ....
わたしの手にとてもよくなじんだキーボードで、
いのち、と打って、
変換で、命、と出ないから、
めい、と打って、変換する、
いのちはどこへ、行ったのだろう。

いのち、と打つと、
胃の血、 ....
病的な雨音が
日ようびをぬらしていく


あの雨にあたれば
きっと細胞の何千個かでも
溶かされてしまうって
そう思っている
雨なんか降ってないけど


恐怖に首輪をつけて
わた ....
どうやらまつげをいっぽんいっぽん
抜いていく夢ばかりみる


癒すべき傷は
なんだかもう見当たらない
みわたすかぎり荒野には

わたしのほかに
だれもここへ傷をつけることはできないの ....
遠い未来の2010年で
あのひとは手をふっている


おとなになっても
ちゃんとおぼえてるよ


みつからなかったけど
どこかにあるはずの
遠い未来の2010年に
わたしは両手を ....
きのうパパに捨てられた焼鳥弁当の
とむらいはどうしたらいいかしら
丸いっぽん残っていたつくねのぶんの
とむらいはどうしたらいいかしら

わたしはつくねのとむらいに
いったいどれだけのつくね ....
うしろをついてくるわたしは
いつかの母のような顔で
わざとらしくとても傷ついている

そのつめたい手を
振り払って歩く
後ろでぬるい呼吸をするわたし
いそいで呼吸をしているわたし

 ....
美しいもののために
わたしの泥がたちあがる


言葉は手段になり
舌も歯も唇もメディアになる
ぜんぶ私のもの
だったのに


どうしてだろうわたしは
どうしてだか
人間になって ....
ひとりきりになると
蝋をとかす匂いが
わたしの気道をふさぐので

雑踏をさがしに行きます



なんでもないふうにして
ポストへ落としたのだけれど
だけど、まだすこし
わたしの指 ....
日曜びだから
空をとべるような気になって
ベッドの上で
シーツを掴んでいる

ピアノは弾けないから
頭蓋のふちに立って
波立つ脳の海を
両手ですくっている

そろそろ
時間を積み ....
夜はくるのだろうか
何度目を覚ましても外は明るい



詩人は平易な言葉をならべて
わたしにわからないことをいうけれど
とくに支配したいとも思わないから
べつに、それでいいと思う

 ....
とうとう一度だって
私を嫌いだと
言ってくれなかった君に

私の一部はまぎれもなく
深く、君由来だという事実の
どうしようもない申し訳なさに

あの子が初潮を迎えたときに、
心の底か ....
その手に触れたら
現実がずれた






街に潜らないと独りになれない
名前と顔のないものが適当数、ほら
いま地に足が着いている

そろそろ去っていきそうな虚像
昨日のひと ....
わたしのあたまの中に恋人がいて
日になんべんも死ぬ

わたしは足がおそいから
いつも置いていかれるんだ
今日も今日とて自習室難民

テキストを開いている時間より
さまよっている時間のほうが長い
席の空いているスターバックスを
すわりごこちのよい席の空いているスターバックスをさがして


 ....
目を、閉じていて
まぶたがシャッターをきらなくても
なにかにさわれる


まだここに居たいくせに


ひかりの間を泳いでいく
木漏れ日ばかりを切り取っていく
さむい日 でも
わけいってもわけいっても古い本


この家の主はすべての本に番号をつけて
それが災害でぐちゃぐちゃになってしまってからというもの
番号通りに並べなおすことにのこりの人生を費やすつもりでいる
 ....
空洞をなぞろう
わたしたちはゆっくりそれをできる

ひびくものがすきなのは
とどくまでの空間があるからだ
あそこからここまで
いったいどれくらいの波が
どれくらいおし寄せたのかな

 ....
彼は人並みだ
情も愛想も
必要がないからすこしずつなくしていく

空から降ってくるようなmarchを
追いかけるほど、日々に怯えていないから
今年も淡々
見送っていく

明日にはもう ....
ゆるして
あたまのうしろの
いちばんやわこいところを
食べてしまったこと


知らない間に
食いしばるのが癖になっていた私の歯は
削れてひどく不格好になり
喋れば口内を傷つける
春 ....
ふと

足を止めたのは
なにかあったからでなく
なにもなかったからだった


足の裏になにかをうったえようとする
灼けた砂のいろがわかる
まわりの景色とおんなじはずだ
きっとそうだ ....
わたしの鼓動が
皮膚をつきやぶり
同心円状に
あらゆる事象の表面をすべっていく



こまやかで確かなひとつひとつを
機械にかけること、
解析すること、
それはかなしくなるようない ....
因子(113)
タイトル カテゴリ Point 日付
雨の中子供自由詩114/8/7 23:29
ヘンゼルとグレーテルとまともさん自由詩613/11/10 19:13
沼に立つ自由詩213/11/10 18:51
万年筆をなくした自由詩413/11/10 18:45
物語になってしまう自由詩213/5/3 18:13
凝集自由詩213/5/2 23:49
脳みそをたべてください自由詩313/3/11 17:49
ゆとり自由詩613/1/4 1:20
ゆるし自由詩212/3/25 23:28
いのち自由詩511/9/10 2:27
雨音自由詩211/5/15 17:58
いっぽんいっぽん自由詩311/4/11 22:30
遠い未来自由詩2*11/2/1 0:11
つくねのとむらい自由詩4*11/1/3 3:42
あれ自由詩010/10/27 17:20
引力の場所自由詩510/9/20 0:51
自分の手を離れていった手紙のことについて自由詩310/9/15 0:42
なにもない自由詩210/8/1 13:11
よる自由詩410/7/18 0:44
もう会わないから言うけれど自由詩310/7/12 23:20
在る自由詩3*10/7/4 23:01
白い絵自由詩510/6/18 2:50
Sentimental centimeter自由詩2*10/6/6 21:20
木漏れ日カメラ自由詩1*10/5/27 9:00
書物の家自由詩4*10/5/20 10:38
ラ・カンパネラ自由詩1*10/4/21 22:41
The march in March自由詩2*10/4/1 18:18
許せない春自由詩8*10/3/24 22:54
ふと自由詩3*10/3/20 22:21
自由詩1*10/3/9 20:09

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