なるべく中心から離れていないとだめだ
気づいたらこの世には内輪受けしか存在しなかった、
ただのファンでいるためにはあの世まで遠征しなくては、というふうに
なってはこまるのだ

そとがわからみ ....
平和を平和にすごせない
安心は不安を生む
不安は不安を生む
いつからか正のフィードバックへ変わり
リセットできない


時間と空間を超えられる
存在しないものにさわることができる
だ ....
孤独という
張り詰めながら、それでもたゆたうこのことばは
いったいどこからお出ましになって
ここに鎮座ましましているのだろうか


けして拒絶しないやわらかなグレイ


みたこともな ....
私は東京の人になった
東京の人は傘をさす

おちてくるものから身をかくし
熱の拡散を厭うている



私は東京の人になった
どこへ行ってもだいたい
東京の人だと思っていたが
ここ ....
おしまいに向かって
呆けたからだは歩いていた筈だった
私の知っていたおわりはもうとうにすぎて
知らないおわりと
知らないはじまりが
叩きつけるように吹いてくるのを
ひとつもつかまえられない ....
真夜中の台所の暗闇を手探りでさがして
やっとみつけたスイッチを押したら
なにも起こらなかったとき
なにかを間違えてしまった気持ちになる


アイボリーのしかくいこれには
スイッチ以外の名 ....
簡単がわずらわしくて、快速を降りて隣の各停に乗る


「天才」でも「落ちこぼれ」でも結局のところ生まれるは、ただ劣等感


卑屈だと言ってくださいそうすれば、もう少しだけ卑屈になれる

 ....
たとえば、目の前に
誰もいないことにして黙りこむのは簡単なのに
誰かいることを認識するのは存外むずかしい

いないふりをするのは比較的楽なのに
いることを知らしめるのはあまりにむずか ....
いつからか 独り言がふえて
よけいな言葉は
詩をつくらなくなった


目がさめたら
黒板は白く埋まっている
「もう充分です」
だからもうかえりなさい
言外に、言外へ


言葉 ....
定刻でないのにチャイムがきこえる
たとえばデジタル表示が17分を示していたって
耳の中から注意を喚起するような

それは隣のテーブルの女子たちのけたたましい笑い声や
街頭演説や
夕方の店内 ....
ことばが死産する
なまなましい胎児のあしが
私の穴からぶら下がる
無様なすがたに笑いもせずに
がらすの砕けたような瞳で
股の間を見下ろす私を
私が笑い
なるべくやわらかく慰めてやる あき ....
きっと しぬなら
ここが いいな
口許に両手で
まっすぐに支え持つ

大切なものが
ひとつも目に入らないようなのがよい
最初からいままで何も知らず
何も持たなかったかのように
最 ....
「期限、切れてるよ」
で、笑う、
そのレスポンスが
現実であると
人の中で生きていると

赤いイヤホンが
耳をふさぐ
電車ではいつも
ドアの横に立つ
ひとりきりであると
人の中で ....
変質した皮膚の
いろ褪せるよりはやく
感情には羽根がはえて
山のむこうへおちていく

追わないことにしたんだ
みな 飛び去ってしまえばいいさ

私はここで
入り口みたいなきずの痕を ....
鈍く
重い
灰皿のふちを
舐めたかった
かわいた舌で

逃がさぬよう
一心に
ただ
かわいた舌で

呼ぶことが
できなかったから
ただ
かわいた舌で

誰かでなく
私 ....
月の  沙漠を
ひとくち  掬って
きみは  とても
「おどろいた」  ような 顔を して
呟いた言葉は
こう反響した


  まるで―――――…



ふわんわんわん。
ろくしょう だ


つめたい痛みを
しっている
触れずとも
知らなくとも
夢にみなくとも
しっている


もう銀いろではないちいさなつまみが
いつか銀いろであったことを
だれ ....
さくらんぼには
種がなかった
私の穴の空いた歯には
それでもとても痛かった


くだものの話をすると
こうやってなんでも
比喩みたくなってしまうね
痛かったのは本当だけれど


 ....
煮こごりを
あなたが 掬う
のが 見えた



かたまって
ふるふるになる息が
あった



ゆめみたい と
呆けた声だけ
となりに居た



夢は足元と
 ....
ドアを開ける。




廊下


渦巻く
すべての白が
クリーム色になりたくなかった/それは薄むらさきだった
漂白剤はもう
ひとかたまりになって それから朽ちて


 ....
手のひらと手のひらを合わせて
ぎゅうと押しつければ
肉と骨の二枚貝から肉と骨の枝が飛び出して
醜くてたまらない私が客観的に見える


大丈夫だろうか、まだ平気だろうか
酸性雨でたましいは ....
もうすこし ふるえていようか
みつけてもらえるように


何を言ったんだろうか
かすかに見える振動の
その残滓が
言葉の残り香を伝えてくるのだけれど

部屋じゅうに張りめぐらされた糸 ....
(鉄道信号機が故障・停電の際に赤を示すのは
止まる という安全側に働きかけるためである。)











歩けども歩けども青信号ばかりで
空も海も本当は青くないのに ....
私の頬から飛び出して
パソコンの光でキラキラと輝いている膿を指し
あなたは「うつくしい」と言った

プログラミングをまちがえてしまった
キラキラしたものがぜんぶうつくしくみえるあなたは
と ....
ぺかぺか

あなたは最初にそう言いました




指折り数えることは嫌いだと言っていたのに
ついつい、不幸の数を数えてしまったから
自分への戒めにあなたは指を4本ずつ切り落として
 ....
あたりまえといわれそうで投稿をためらっていた文章。








母は、私が幼いころ、産まれたときのことを覚えていたと言う。
幼い私は、そのときのことを、おみずがざばーってなっ ....
あともうちょっと
という人の目は
いつも遠くを見ていて
その眼をぼんやりと見つめている私の目も
きっと遠くを見ている

こんなにもだだっ広い「ちょっと」を持っていながら
私はここに
ミ ....
18という年齢を
しろい両手で握りつぶす


生きています、
ひとりひとりに、貰った分より多く返さぬよう

前を向かずとも、
後ろを向かずとも、
起き上がらずとも、
一日中茶碗を見 ....
不意に、もうひとり帰ってくる気がする


母は家にいて
私も家にいて
弟が帰ってきて
もうひとり弟が帰ってきて
それから父親が帰ってきて


机に張り付いて私は耳を澄ま ....
コンタクトとあるく

壁、街灯、空、あと、電柱

顔のないものにさえ
こんなにも融和を拒まれていることなど
とくに知る必要はなかった
だけど毎日確かめないと歩けない

これがないと私 ....
因子(113)
タイトル カテゴリ Point 日付
希望的観測自由詩210/3/2 1:50
フィードバック自由詩010/2/22 16:36
個と孤自由詩110/2/13 10:21
雪ぐに自由詩510/1/21 16:53
わざと引きずる脚がもうない自由詩309/12/22 15:41
スイッチ自由詩5*09/12/20 19:59
恨めない節短歌009/12/19 12:58
でんわ自由詩3*09/8/21 0:33
化石の寿命を自由詩609/8/15 18:22
定刻自由詩009/7/11 18:56
肺で呼吸するいきもの自由詩109/5/20 16:21
スターバックスコーヒーで死にたい自由詩509/5/12 11:31
はこばれるいきもの自由詩209/5/2 14:23
山のむこう自由詩109/4/11 9:23
灰皿自由詩509/3/15 23:42
月の沙漠自由詩009/3/15 20:01
緑青自由詩409/3/14 23:20
瑞々しい嘘自由詩1*09/3/11 21:26
煮こごり俳句009/3/11 20:28
廊下自由詩209/3/6 15:14
皮のなかみ自由詩409/2/28 21:04
ふるえる糸自由詩4*09/2/26 16:37
ブルーデビル自由詩2*09/2/23 0:01
ロボット自由詩4*09/2/19 21:32
light the light自由詩1*09/2/16 8:10
覚えていない記憶のことを散文(批評 ...209/2/11 15:59
ミクロ分析自由詩1*09/2/9 8:24
ゆく、かえる自由詩1*09/2/6 22:08
もうひとり帰ってくる気がする自由詩20*09/2/2 9:57
コンタクトとあるく自由詩209/1/31 12:32

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 
0.08sec.