悲しみのぶん氷切り出している
採氷をいつもと違う角度から
鬼嫁は阿修羅の如く豆を撒く
残業の夫に代はりて豆を撒く
豆撒の猫に被せる鬼の面
もう数を数へたくなく年の豆
節分やコンビニで買ふ恵方巻
豆撒の鳥が来てゐる朝の庭
....
鍋のふたぐつぐつぐつと幸せが
箸の先鱈もほぐれてほろろ酔い
熱燗の熱に融けいる人の情
食って酔いうどんも餅ももう食えぬ
見苦しや宴の後の冷えた鍋
だったらと
こうだったらと
詮無いこと
歩く道
外れたまま
歩いてる
輪の中に
入れてもくれぬ
閉じたドーナツ
烏帽子形兜のごとき冬芽かな
鬼、羊、猿の顔あり冬木の芽
冬木の芽テンポの早いプレリュード
冬木の芽世界の殻を破らねば
太陽に一礼したる冬芽かな
冬木の芽頑固親父の如き顔
透明度の上がりたる水寒蜆
色彩をなくしたる街寒蜆
湖の奏でたる音寒蜆
寒蜆鍋に命を落としけり
同じ玉ばかり吐き出す福引器
福引のちぎれた餅へ紅い塩
福引の紐に左の手も添える
初富士を背に巨大広告そびえけり
複数の茶柱の立つ初句会
向日葵の咲く通学路笑い声
青嵐鍔を折りたる学生帽
福引のティッシュの塔の崩れけり
ポッケから溢れる福引のティッシュ
待合室で延々流れるNHK
鳩尾の奥まで灯る冬至粥
冬至粥湯気で曇った伊達眼鏡
那智黒の碁石ポッケに冬至粥
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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