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バスには人形が乗っていた
窓の外を眺めるのも
母に抱かれる子供も
ハンドルを握る運転手でさえ
皆、焼け焦げたマネキンなのだ







エレベーターの隅に
風船が浮いてい ....
カーブミラーに映されている神社は
かつても
これからも
一度も存在しない







残された靴を
一室に全て保管してあるという
棚には老若男女の区別なく
薄墨色をした ....
風はプールを波立たせた
濁った水底には幾人もの女が沈み
ゆったりと回遊している
着物の裾を触れ合わせながら
言葉も交わさずに







青いゴムホースで縛られた家
血管 ....
オリーブ


明滅


ギャラリーにて


同居人


夜毎の腕


声たち


鬼火を辿って


地底湖


川辺を行く


夢から夢へ

 ....
待合室でテレビを見ている。様々に体を病んだ人々。肩。頭の中の狂い。テレビではスポーツ選手の病のニュースがとめどなく流れている。ペットボトルを傾けて濁ったカフェラテを飲む。喉の奥に甘い液体が流れていく。 .... 包丁がなまってまったく切れず
庭に出て塀でごりごり研いできたところだ
落ち葉や新聞紙で試すとよく切れる
刃先をゆっくりと撫でてみたい気もして
それはぐっとこらえて
あらためて台所に戻ると
 ....
もう少し眠っていてもいいと
誰かが低い声で囁くのが
薄暗い夢の中でもわかる
本当にもう少しここで
眠っていてもいいのですか
念を押して訊ねてみると
その人は猫を撫でるような声で
眠ってい ....
茶碗だとかライターだとか
触ってないでわたしの話を聞いてください
はい
少しは落ち着きましたか
もういい? そうですか
ところでわたしがここに来た理由は
あなたもすでに察しているかもしれま ....
空気がしんと冷たくて
部屋の家具は然るべきところにある
住人はどこにも見当たらず
先程から大根をすりおろす音だけが
悲しいほど陰気に響いている
緑色の毛むくじゃらの腕が
五本の指で大根をむ ....
喉笛が吹かれて
動物が寄ってくる
空に豆を撒こうとして
油染みた紙袋に
砂利しか入っていないのだと気づく
もうこんなことはやめようか
誰ともなくひとり
ひとりがひとりを重ねて
織り合わ ....
米びつから米をすくいあげていて
底になにか引っかかるものがあると思ったら
しなびた腕がいっぽん
計量カップのふちに指を引っかけていた
取り出してごろりと畳に投げ出した それ
黒ずんだ腕はいつ ....
埋められないもの
菫の青
肩に触れる風
新しい靴底で感じる地面の硬さ
夜にはずっと
夜の歌を
花には静かな
生きることがまだ
残されていた
水を
拭わずにきた
ざわめきの彼方から
萎んだ心臓は
息を送り出し
闇の下生えに隠し
やまいは花を
群生は
水かきの張った手で
がらんどうの
再生を試みている
伸ばせばそこに
 ....
すいせいさんの春日線香さんおすすめリスト(13)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
通り魔たち_3- 春日線香自由詩119-10-29
通り魔たち_2- 春日線香自由詩319-10-24
通り魔たち- 春日線香自由詩319-10-19
地底湖- 春日線香自由詩119-10-11
ポンペイにて- 春日線香自由詩519-2-17
なまくら- 春日線香自由詩516-11-17
漬物- 春日線香自由詩716-10-25
途方- 春日線香自由詩216-5-19
おろし- 春日線香自由詩416-3-8
上野- 春日線香自由詩1*15-1-1
うで- 春日線香自由詩11+14-1-23
夜の歌- 春日線香自由詩513-5-24
水棲- 春日線香自由詩113-4-20

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