上野
春日線香

喉笛が吹かれて
動物が寄ってくる
空に豆を撒こうとして
油染みた紙袋に
砂利しか入っていないのだと気づく
もうこんなことはやめようか
誰ともなくひとり
ひとりがひとりを重ねて
織り合わされたものが並ぶ
あの一枚を欲しいと願う
草の上では布を広げて
一生懸命に作った
食事を並べたらいい
そのはるか地中で冬眠の
人々が踊っていたら
うれしいだろう

午後のひかり
それから動物園
わたしたちは不忍池の畔で
挨拶をするのだ


自由詩 上野 Copyright 春日線香 2015-01-01 15:30:10
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