書こうとしたことを忘れてしまって
空をノックした
誰も出てきてはくれなかった
書こうとしたことを忘れてしまって
目を擦った
視界がさらにぼやけて
手からしょっぱい匂いがした
書こ ....
雪の音が
ふわふわり
ねぇ
耳を澄ましてごらん
きっとアナタにも聞こえるよ
ふわふわり
ふわふわり
この地面に落ちて
溶けてゆくのに
ふわふわり
ふわふわり
....
あたいはしがないエレベーターガール
箱に入って一日上がったり下がったりしている
こんなんじゃ彼氏だってできやしない
あたいは孤独なエレベーターガール
人件費削減の為に
近々箱を追われ ....
時折カラオケでシナトラのMy Wayを
米語で朗々と悦に入って歌い上げるひとがいる
しかもシナトラの歌い方を真似てブレスまでそのままに
しかし わたしは問いたい
あなたはレコードでもなくC ....
君は泣く
必ず泣く
人は涙を流す生き物だから
失くして
悔やんで
許されて
こみあげるものを抑えられない
涙をたたえた瞳で見る世界は
ひどくゆがんでひどく美しい
二度 ....
たとえば
悪意であったなら
オブラートに包んで飲み込む
たとえば
優しさであったなら
丁寧に蒸留したあと
春色のカプセルにして
冬に打ちひしがれた小鳥のために
蒔いておく
た ....
「ママ!ママぁ!」
真夜中私を激しく呼ぶ声の元に行き
いつも通り右手を差し出すと
大事なお人形を愛でるかのように
それを自分の胸の前でぎゅっと抱き締め
再びすやすやと寝息をたて始める
....
恋をさせろ
現ナマで新品の恋をスーツケースに入れて
港の第三倉庫まで持って来い
さもなくば
お前の足の指がぜんぶ深爪になるぞ
目玉焼きをつくる時かならず黄身がつぶれるぞ
わかっ ....
埃だらけのコンクリートに影を焦げつかせ、
立っているひとりぼっちの後ろ姿を見つける
のに君がずいぶん手間取ったのは、二歳の子
には高すぎる太い鉄柵がちょうど君の視界を
遮り、そこからコンクリ ....
冬がくると悲しくなる
きっと悲しくさせる要素が多いから。
雪原にぽつりと立ち竦んだ自分を想像するだけで、不安になる。
この町はわりと豪雪地帯で、
ドカドカ雪がふる。
朝になるとつもっ ....
心に眠る思い
曝け出すには
それなりの勇気が必要で
誰かが傍に居てくれたなら
そう願ってみても
空中に ふわり 浮いてしまうだけ
ねぇ
ねぇ
この声は誰が受け止めてくれる? ....
私はこの歳まで生きてきて
分からないことがたくさんある
まず「正しい」という言葉の
意味がよく分からない
「正しい」ってどういう意味ですか?
知ってる人は教えてください
「間違い」の反 ....
言葉、とは
不思議なものだ
スリッパだと覚えれば
スリッパ以外の
なにものでもなくなる
寒い冬
人の足をあたためて
踏みつけられているくせに
そのいでたちは
ほんのり可笑しみを含 ....
ぼくとつ
一人のぼくとつを見た
五十手前のぼくとつは
頭を低く低く下げ
ただ芸を身に付けようと
足掻いておられたもくもくと
「芸を極めるか
家族を愛するか ....
冬をついばむ
くちばし
幼い蕾が
羽ばたく季節の夢をみている
今はまだ色を持たずに
たくさんのおみくじが
今年の枝に結ばれて
羽ばたく明日を待っている
少し前まで
小さな ....
知恵の完成と理解される。
常に知識では無く、知恵の追求。
サーラ樹の下、ごーだま・しったーるだは
完成を目指した。身分も捨て、己の究極。
彼岸に至る事を求め至る。
成し遂げられたと彼は単純に ....
手に入れた吉光を手に走り出す
啜ってるうどん 一刀両断
新車のブレーキワイヤー 一刀両断
作業中のPCの電源コード 一刀両断
禿の残髪 一刀両断
あやつの動眼神経 一刀両断
何だかよく ....
奇跡のひと、
とはヘレンのことではない
奇跡のひと、
とはサリバン先生のことだ
私は奇跡のひとではなかった
奇跡を起こすまえに涙ぐむ
私はふるえる者だった
ヘレンは先生に7歳になるまえ ....
人間 いつだって
便利に移行するときには寛容なくせに
一つ不便の階段を下るごとに
愚痴が増える生き物なんだねぇ・・・
★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°
四人で卓を囲む麻雀には
勝利の女神がいかに気紛れかも分かるし
隠されていたそのひとそれぞれのひと柄が出る
石橋を叩いて割れてしまっても渡らない
慎重そのものだと想っていたひとが
意外なと ....
雪を水に入れると 水になるように
水は氷に 雪水はつららになるように
死ぬことも生まれることも生きることも
体を通るものの 変質なのだろうけれど
心は 消えても響く
共にと思う幻想に支えられ ....
NO BEER,NO LIFE.
飲み会は もうすでにはじまっているらしい
約束していた時間は とっくに過ぎている
そんな時に まだ僕ときたら会場から
電車で1時間くらい掛かる 遠くの場所 ....
雪の日に
しんしん積もる
雪の日に
私の命が降りてくる
私の分身
私の死体
しんしんとしんしんと
降りてくる
懺悔と
嘲笑と
甘えと ....
何者かが
地球を破壊しにくる夢をみた
それは人間だった
それは私の愛しい人の顔をしていた
私は
戦う決心をしていた
それが一番 今 悲しい
ねぇ
知らないとは思うけど
いつもの笑顔じゃなくて
ふとした時にだけ見せる
相手を本当に慈しんでいる表情が
あたしは好きなの。
ねぇ
知ってると思うけど
....
いつも見つめることすらできなかった
マグロを食べた 僕は シーチキンの缶詰を開けていた
特に 心境に 変化は現れない
うわべだけでは物足りなかったーー
好きな女と 飲み明かしていた
い ....
手を貸さない優しさが
君の中から
溢れだし
依存させない優しさが
僕の中から
こぼれ落ちた
いま、
重い夜が明けはじめ
眩い光がひろがってゆく
それはきっ ....
年季の入ったステレオが
不意に歌いだした
インディゴに沈む
コンクリートの部屋で
遠い国の流行歌
綴りも知らないけど
こぼれ落ちた無声音は
冷たい床を浸していった
誰かが作った ....
【 Window 】
ブラインドを上げて
窓を大きく開けた
そこから新鮮な空気が流れ込んでくる
青い空 鳥の囀り 風の音
明るい陽の光 そこに希望があった
掌を伸ばせば届きそうな楽 ....
あなたのかたい頬
思いのほかやわらかくて
その冷やかな瞳にも
熱い涙は宿るのだが
心の奥深くに一つの扉があって
それは故郷へと繋がっている
絶対零度の沈黙
この地上の何よりも冷たい場 ....
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