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押入れの中で目覚めると
いつものように優しくなってる
手も足もおもいっきり伸ばして
指先の細かい部品までもが
思いやりに溢れている
感謝の言葉は誰に対しても
正確に発することができ ....
父は歩き続けた
角を曲がったところで左腕を失い
コンビニの前で右腕を失い
市営住宅の駐車場で両足を失った
やがてすべてを失い
最後は昨年まで歯科医院があった空地で
一輪の花になった
 ....
たくさんの人が眠っている
重力に抗うこともできずに
背から腹までのわずかな高さの
影をつくって
僕らの毎日は孤独な戦いだ
星の中心へ向かおうとする力との
今日もまた爆音が響き
崩れていく ....
日々の営み
食べかけのマンゴー
砂のようにどこまでも
ずれていく少年
手段を知っている僕たちは
まだ本当の悲しみを知らない
日々の営み
食べかけのマンゴー
それが癖であるかのように微笑 ....
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅 ....
言う男 の 言う が
ぷかぷかと空に浮かんで
言う の 雲になり
言う の 雨を降らせる
言う男 は 言う の雨にうたれながら
言わない
言う男 の 言わない は
地面にこぼれて ....
錦糸町では世界が
落下を始めていた
世界は徐々に
錦糸町に収束し
凝縮し
一点の穴から
落下している
俺は子供の頃
家のものに連れられ
錦糸町駅で降りた
公園ではルンペンが ....
ため息が汽笛となり
涙は色の無い雨となり
配膳車で旅をする
乗っているのは
おまえたちというより
俺たち
港町
哀歌
巨大なカウンターに腰掛け
俺たちは
おまえたちの肩を
そ ....
ふでばこを開けると
アフリカの草原が広がっていて
夕日に向かって一人
お相撲さんが
四股をふんでいる
何故あの日
僕はふたを閉じてしまったのか
守るべきものなんて
まだほんの少しだ ....
人さらいは人をさらったことがない
これからもさらう予定がない
けれど人さらいは人さらい
それは何の比喩でもなく
人さらいが人さらいであるということだ
何故人さらいは人さらいなのか
生まれた ....
妻と二人で梅干を漬ける
台風が近づいている
空はまだ晴れているけれど
窓から入る風は生暖かく蒸し暑い
梅の実の良い匂いがする
水洗いした梅の実をタオルで一つ一つ拭き
ヘタを楊枝でほ ....
馬鹿ターボ
全開で帰宅する俺
髭をたくわえ少しワイルドな俺に
おかえり、を言う娘は少しワイルドな俺に少し慣れ
一番星が出始めた空の下で縄跳びの練習中
綺麗でしょ、綺麗でしょ
いや、 ....
船の停泊しない
図書室には
匂いがない

ブラインドの隙間から
斜陽
カウンターに落ちた
向こうで
司書が背中の羽を
二度動かす

白い付箋のはられた
いくつかの椅子は ....
スチュワーデスさん、とスチュワーデスに声をかけると
私にはケイコという名前があるんです、とそっぽを向かれる
今度こそ間違いの無いように、ケイコさん、と呼ぶのだが
ケイコは押し黙ってしまう ....
このままどこかに行ってしまおうか

帰りの車中でそんなことを言っていた二人は
どこにも行けないことは知っていたけれど
その言葉だけで十分満足だった

今、僕らは三人になって車も一回 ....
卵をひとつ落として
夕焼けは夕焼けへと帰っていきます
さよならを言うのが嫌で
いつまでもふざけていたのは
言葉を越えられるものは
言葉ではないと
ある日ふと知ってしまったから
ちびた ....
ひつじが鳴いていた
ひまわりが咲いていた
人がいた 好きだった
目を閉じる
陽だまりのなか
明日なら
死んでも良かった
女は
胎内に新しい生命を宿したら
「母親」になるというのに

男は
新しい生命が誕生してから
「父親」になる権利を得る
のだろうか

それは
目の前に細く頼りない道が一本
 ....
このバスはどこに行くのですか?
運転手さんに聞くと
どこにも行きませんよ
と答える
もう走り出しているというのに
どこにも行かないとはどういうことなんだろう
不思議に思っているところで目が ....
今朝、レモンを産んでしまった
それは、色も形も匂いもレモンそのものだった
もし産んだのが卵だったら対処のしようもあったろうに
なんでレモンなんか産んでしまったんだろう
レモンに耳をあてると ....
ほの暗い駅
列車の中で一点を見つめている
あなたの眼差しを見送る

”お気をつけて”

その一言だけが伝えたかったのだけれど

ベルが鳴り止んで動き出したのは
列車ではなく
ホ ....
悲しみは忘れた頃にやってくる

悲しみの上にも三年

悲しみ盆に返らず

千里の道も悲しみから

咽喉元過ぎれば悲しみ忘れる

悲しみの悲しみによる悲しみのための悲しみ

 ....
ネギを買いそびれて
僕たちはネギの話ばかりしていた
こんなに真剣にネギの話をしたのは
何年ぶりだろう、なんて

今でもネギを見ると
あの日のことを思い出す
だから僕は
ネギを食べなくな ....
「うみ」
と書けば
白い波が寄せて返し

「そら」
と書けば
どこもでも青く

「もり」
と書けば
木々が香り

「とり」
と書けば
それは翼をもって飛びまわり

「ま ....
マッドビーストさんのたもつさんおすすめリスト(24)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ドラえもん- たもつ自由詩9406-8-3
父の日- たもつ未詩・独白16*06-6-18
戦い- たもつ未詩・独白10*06-6-16
微笑- たもつ未詩・独白9*06-6-9
七人の男(手を振る男)- たもつ自由詩41*05-7-12
言う男- たもつ自由詩905-6-13
錦糸町では世界が- たもつ自由詩805-6-11
演歌- たもつ自由詩1005-6-10
ふでばこ- たもつ自由詩1305-6-9
人さらい- たもつ自由詩1805-3-30
梅干- たもつ自由詩32*05-3-9
団欒- たもつ自由詩2505-3-1
図書室- たもつ自由詩3704-10-21
スチュワーデス・ケイコ- たもつ自由詩5104-8-25
どこかに- たもつ自由詩3204-8-4
童話(夕焼けのポエットさん)- たもつ自由詩18*04-7-19
ひねもす- たもつ自由詩30*04-7-3
入学式前夜- たもつ自由詩35*04-6-28
行き先- たもつ自由詩2304-6-2
レモンの日- たもつ自由詩4204-1-30
発車ベル- たもつ自由詩3203-12-18
悲しみ- たもつ自由詩1403-11-28
ネギ- たもつ自由詩1603-10-30
「___」に言葉を入れてみろ- たもつ自由詩3203-9-17

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