錦糸町では世界が
たもつ



錦糸町では世界が
落下を始めていた
世界は徐々に
錦糸町に収束し
凝縮し
一点の穴から
落下している
俺は子供の頃
家のものに連れられ
錦糸町駅で降りた
公園ではルンペンが
うずくまっていた
店のようなところでは
傘が売られていた
なぜ錦糸町にいなければならなかったのか
なぜ何も買ってもらえなかったのか
ただ俺はうつむいたまま
錦糸町は禁止
そんな駄洒落を
ずっと考えていた
錦糸町では世界が
落下を始めていた
錦糸町から世界は始まり
錦糸町で終わる
けれど世界のすべてが落下しても
錦糸町は決して落下しない
白く塗りつぶされた地図に
ぶらり
ぶらさがってる
錦糸町は遠くにありて思うもの
けれど錦糸町は俺から遠くなく
近くもなかった




自由詩 錦糸町では世界が Copyright たもつ 2005-06-11 17:25:43
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