父の日
たもつ


父は歩き続けた
角を曲がったところで左腕を失い
コンビニの前で右腕を失い
市営住宅の駐車場で両足を失った
やがてすべてを失い
最後は昨年まで歯科医院があった空地で
一輪の花になった
雑草のように白く小さく咲いた
花のことを何も知らない父らしかった

(2006.6.17)


未詩・独白 父の日 Copyright たもつ 2006-06-18 14:15:39
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